火行
今日は2話投稿です
12時
18時
に予約入れてます
一の祠の前の広場
今日も鳥の羽がそこら中に落ちていた!
『毎日来てるな……
結界は大丈夫だったのかな?』
「安心せい、結界は破られておらん。」
とりあえず、祠の中に入り、おへその無事を確認した。
あたし達は、いつも通り掃除をして、水を取り替え、お祈りをした。
このまま外に行くのかと思っていたら、雷様がおへそを
懐へとしまった。
??
「雷様、おへそ持っていくの?」
「うむ。
回路を刻むのに必要なんじゃ。」
「ふーん、そうなんだ。」
そう言われると、そうなんだとしか言いようもなく、
あたしは、雷様の後をついて、祠を出た。
滝の裏の洞窟
「今日は、滝行はしない予定じゃ。
洞窟の奥の祠に行く。」
「はい。」
『うへーまたあの小鬼を祓うのかな?』
なんて考えていたら、返事がきた。
「そうじゃな。最初はそれからじゃ。
その後、回路を刻む。」
「スイッチ入ってなくても、刻めるの?」
あたしは、思わず聞いていた。
「うむ。今のままでも刻む事は出来る。
使えないだけじゃな。」
「なるほど。」
そこからは、雷様の後を何も喋らずについて歩いた。
真っ暗闇の中、LEDライトの明かりが照らし出す岩肌を見ながら、あたしは
もくもくと歩いた。
雷様の手には、松明が握られている。
ゆらゆら揺れる明かりが幽世の門を照らしていた。
「では、沙有珠は外を頼む。
わしは中を祓ってくるでな。」
そういって、雷様は、背負っているリュックの中から
わさわさを取り出して、渡してきた。
「はい。」
また、あれかー! と思ったけど、最後の方は慣れてきて、掴まれたりしなかった。
わさわさがあれば、なんとかなる!
そう思いつつ、幽世の門の中に入っていく雷様を見送った。
LEDライトの明かりは、前方を照らしているが、あたしは、視覚に頼ること
無く、感覚を信じて全神経を集中させた。
眉間にスパークが走った!
左ななめ後ろに鬼!
あたしはわさわさを振った!
ぶわっさ!
鬼の顔面にわさわさがヒットし、鬼を黒い煤に変えた。
始まった。
右下! 左前方下! 右後方上!
スパークが走る度に、わさわさを振る!
1体ずつ来るやつらは、一撃で黒い煤に変えられる。
問題は、2体同時とか、3体同時に襲いかかってくるやつらだ。
囲まれない様に身体を動かしながら、わさわさを振るけど、避けられたり、
1体をおとりにして、掴んできたりされると、さすがに対処しきれない時がある。
あたしの身体に黒い煤がついて、直後、猛烈な疲労感がやってくる。
動きづらい……
でも、ここで動かないと、畳み掛けられてしまう。
無理やり身体を動かし、わさわさを振る。
2分だ。2分我慢すれば、元に戻る。
こうなってる時に掴まれると、更に時間が伸びてしまう……
鬼になりたくない!
その一心であたしは頑張った!
眉間にスパークが走る!
囲まれない様に常に動きながら、わさわさを振る。
これをしている時は他に何も考えられない。
どのくらい経ったのか? 分からない……
全神経を集中させながら、動きまわる。
再び、眉間にスパークが走った!
気配のする方へと振り返ると、小鬼とは比べようもないほど強力な鬼の気配がしている!?
まただ!?
この前と同じ。
気配は、幽世の門と言っていた所からしてくる。
身体の震えを抑えつつ、わさわさを握る。
張り詰めていた感覚が突如、消失感に襲われた。
消えた?
ふっと見ると、松明を持った雷様が門から出てきた所だった。
「終わったかの?」
「うーん……どうかな?
途中から数えられなくなっちゃって。」
『鬼の気配はもうしないけど、さっきのが気になるな。』
なんて思っていたんだけど……
「鬼はいないようじゃ。
頑張ったの。前回よりは触られていないみたいじゃし。
どれ、沙有珠よ、少し頭を下げるのじゃ。」
はいと言って頭を下げると、雷様は、リュックの中からわさわさを取り出して
前回同様、あたしの頭の上をぶわさっぶわさっと振るって、黒い煤を落としてくれた。
「よし、いいようじゃ。
少し休むか?」
「うん……」
あたしはそう言って、地面に腰をおろした。
あたしが落ち着いたのを見計らって、雷様は、立ち上がった。
「では、始めるとしよう。」
松明を左手に持ち、右手をいつもの指の形にして、
「唵!」
と一声。しゅしゅっと素早く指を動かして、なにやらぶつぶつ言い出した。
さっきまで小鬼と戦っていた広場に、松明の明かりが、灯っていく。
あんな所に松明があったなんて知らなかったよ。
真っ暗闇だった広場が、薄暗く照らされて、雷様が、ぶつぶつ言うたびに
その姿が顕になっていく。
『なんだこれ? 凄い!』
床にも何かの模様? の様なものが現れ、ぼうっと光りはじめた。
しばらくして、雷様がぶつぶつ言うのをやめた。
どうやら、終わったらしい。
「沙有珠よ、回路を転写する。」
「はい。」
「光っている紋様の上を歩くんじゃが、大丈夫かの?」
雷様に、大丈夫とか言われると心配になる。
「何かあるの?」
聞いてみた。
「うむ。
一度歩き始めたら、途中で止める事は出来ん。
道を外れたりすれば、2度と戻って来れなくなる。」
『ひぇー、なにそれ!?』
「紋様が示す道を外れなければ大丈夫じゃ。」
うーん……
あたしが悩んでいると、雷様が声をかけてきた。
「やめておくかの?」
「んーん。」
あたしは首をふった。
やるしかないって分かってる。
ただ、ちょっと怖くなっちゃっただけ。
「歩くだけだよね? 鬼とか出ない?」
「歩くだけじゃ。鬼は出んぞ。」
よかった。ほっとした。
よし! やってやる!
「雷様、あたしやります!」
お読み頂き有難うございます!
よろしければ、ブックマークと評価の方も宜しくお願いいたします。




