1塁側ベンチ
「監督、あのピッチャー意外といい球投げますね」
「あぁ、女子のシニアでは活躍した選手だ。
確か、硬式女子野球部のある強豪高から、スカウトを受けてたはずなんだが、
女子野球部のない都立へ行ったんだよ」
「そうなんですか?」
「高校で野球はやらないと言ってたらしいんだが、こうしてマウンドに
立ってるからわからないもんだ」
「監督、詳しいですね」
「ははは、知り合いから聞いたんだ」
「制球力もあるし、変化球のキレもいいから、うちの2軍にはいい練習になるだろう」
「はぁ、そうですか。」
「シニアでは、エースで4番だったはずだ。このチームでもそうだろう。
でもな……コールドにはするなよ」
「はい。そう伝えておきます」
「うむ」
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内野の守備練習
下連雀一守斗視点
女子チームに入って試合をするなんて、俺、ここで運を使い果たしたかも。
円陣? を組みながら、監督の話しを聞いてたんだけど、なんか
いい匂いがして、くらくらしてきた。
みんな可愛いし、野球やってて良かった! って思ったよ。
でも、監督の話しを聞いて、守備練習してないって聞いた時は
あー、何点入っちまうんだろうなーって思った。
1回コールドとかないよな?
なるべく長く試合していたいから、頑張って貰いたいなーとか、この時は思ってた。
守備連に入って、ファーストの子がゴロを転がして、サードの子が
ファーストに投げたんだけど、びっくりした!
グランドが使えなくて、守備練習が出来ないって言ってたのに、なにコレ?
めっちゃ上手いじゃん!
肩も強くてノーバンでファーストにキレイに返してた。
次は俺の番。いつもやってるから、普通の事なんだけど、ファーストにいるのが
女の子ってのが、普通じゃなかった。
カッコつけるつもりはなかったんだけど、ついニヤけてたらしい。
1塁側から野次が飛んできた!
「しもれん! カッコつけてんじゃねーぞ!」
はははは、うらやましかろう!
じゃんけんに負けたお前らが悪い!
なんて思いながら、ゴロを捌き、ファーストへ投げる。
決まった! やばい、ついニヤけてしまう。
次はセカンドだ。
ファーストの子は声も可愛いなー
セカーンっていいながら、ゴロを転がした。
セカンドの子が、ゴロを捕ってファーストへ投げ返す。
こっちも上手い!
見れば分かる。華麗な動き。
なんだ、練習してんじゃん!
もう、そう思わないと、この動きは説明がつかない。
何回か、ゴロをファーストに投げ返す練習をした後、
ファーストの子が、5、4、3! って言いながら、サードにゴロを転がした。
サードの子がゴロを捕る間に、セカンドの子が2塁ベースに走りこんでいる。
捕った球を走り込んでいるセカンドの子に投げると、セカンドの子は、
ベースを踏みながらキャッチして、そのまま、ファーストへ送球した!
流れる様なゲッツーコース!
マジか!?
めっちゃ練習してんじゃん!
監督のうそつき!
そう思って、3塁側ベンチを見ると、女の監督が手を叩いて喜んでいた。
「すごーい! 出来んじゃん! ナイスサー! ナイスセカン!」
とか言ってる。
うーむ。
1塁側を見ると、おー! すげーうまいじゃん! とか言って、女の子達を褒めてた。
まぁ、そうだよな。
次は俺の番だ。
ファーストの子が、6、4、3! って言いながら、ショートにゴロを転がしてきた。
セカンドの子が2塁ベースに走りこんできている。
俺はゴロを捌くと、セカンドにトスをした。
セカンドの子はトスを受取り、2塁ベースを踏みながら、ファーストへ送球!
初めてのコンビなのに、めっちゃキレイに決まった!
「すっげー!」
「セカンドの子マジうめー!」
1塁側からも、歓声があがってる!
みんなびっくりだよな。
3塁側ベンチにいる女の監督もキャーキャー騒いでた。
うーん……
守備は堅いかもしれない。
なんて思った。
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