部活ミーティング3 西国分寺 昴(すばる)視点
飲み物を飲み終わり、片付けようとした時の事だった。
「あ、貸してください。潰してから捨てる様に言われてるんで」
と小金井さんが言うので、空き缶を渡すと、くしゃって感じで握り潰してくれた。
!?
わたしが飲んでいたマイルドココアは、スチール缶だったはず。
あんなに簡単に潰れないと思ったんだけど……
みんなが飲んでいた缶も、どんどん潰していく。
ショートのスチール缶ばかりだったのに、アルミ缶を潰す様に
潰してしまった。
先生を見ると、目を見開いていた。
さすが、先生だ。リアクションは外さない。
「こ、小金井、それ、スチール缶だろ?」
「はい、そうですね」
小金井さんは、何を言われたのかまるで分かってなさそう。
「スチール缶が、プレス機に入れたみたいになってるんだが。
どんだけ、握力があるんだ?」
「小学校の時に測ったら、80キロありました」
「小学校で80キロ!?
マジか……
ちなみに今は?」
「今はいくつかなぁ? 握力計は30キロになる様に握るんで
わかんないです」
にっこり笑顔の小金井さん。
んー、使い方を間違ってるけど……
先生も、呆れた様な表情をしていたが、気になっていた事を思い出したのか、
質問していた。
「そういえば、力を抑えてきたって言ってたな。
どうしてだ?」
「だって、小学生で、握力80キロとか、変でしょ?」
「まぁ、確かに」
先生がそう言ったとたん、小金井さんの様子がおかしくなった。
下を向いたまま黙ってしまった。
もしかして……地雷踏んだ?
先生も気づいたのか、おろおろしだした。
「いや、変じゃない! 変じゃないと思うぞ。
小金井の個性だし、先生はいいと思うなー」
なんて、言い出した。
……
が、俯いていた小金井さんが、お嫁さん達に勢いよく話しかけた。
「ほら、やっぱり変だったんだよ! 先生みたいにおかしな人に詳しい人が
変だって思うんだから、隠してきて正解!
小学校の頃のあたし、グッジョブ!」
小金井さんは、お嫁さん達に、話しかけながら、自分を褒めてた。
地雷じゃなかった……
お嫁さん達は、そうだねーとか、全肯定だ。
「先生、さうすちゃんは、組織に掴まって解剖されちゃうのが恐かったんだよ」
「あ! レビンちゃん、それは言っちゃダメだよ!」
「はっ? 組織? 解剖?
なにそれ?」
先生とわたしは、はてな顔一杯。
特に先生は、なだめようと思っていただけに、置いてけぼりをくらった感じで
置き去り状態。
「小学校の時に読んでた漫画に、変な力を持った子供をさらって、解剖して
改造して、悪の怪人にしちゃう組織の話しがあってね」
「漫画?」
「うん。悲しかったなー、怪人に改造されちゃった子が、組織を抜け出して
両親の元に帰ってくるんだけどさ、姿は醜くなっちゃってるし、しゃべれないから
自分が子供だって分かって貰えないんだよ。
両親からは邪険にされて、警察呼ばれて、追い払われて。
すっごいひどい目にあうのに、絶対に反撃しないんだよ。
この子、すっごい力を持ってるんだけど、優しすぎて、人を傷つけたくないから
力を使おうとしないんだ」
「組織も心の奥の方までは改造出来なかったんだけど、それならばと、
組織は追手を出して、この子の心を壊して、力を使わせようとするんだ。
両親を殺せば、心が壊れると思った追手が、両親を殺そうとするんだけど、
この子は身体を張って助けるんだ!
力を使わずにね。
ぼろぼろの瀕死の状態でなんとか追手を退けて、守りきったんだけど……
この子のお母さんが大怪我をしちゃって、それを見たお父さんが、この子を……」
レビンさんが、漫画の解説をしてくれてたんだけど……
先生は涙目になってた。
それを見たら、わたしも……
「さうすちゃんは、この漫画みたいになりたくないから、自分の力を抑えて
隠したんだ」
「そうか……
小学校の時に、そういう漫画を読んだら、目立たない様にするかもしれないな」
「でも、今、力を見せ始めた? のはなんでだ?
もう組織なんていないって思ったからか?」
それに答えたのは、トレノさんだった。
「それはねー
覆面女子高生っていう配信者がいてね、中学の時、みんなで見てたんだけど
その子、握力が100キロあって、りんごとか握りつぶしてたし、
さっきのスチール缶とかも、小さくしてて、それに、150キロの球も投げてたし
女子高生なら、普通に出来る事なんだなって」
「いやいやいや、普通じゃないから!」
わたしはまた、ノリツッコミをしてた。
「なるほど、それで、高校に入ったら、力を開放しても平気だと思ったってわけか」
先生はわたしのツッコミをスルーして、話しだした。
あれー? その配信者、女子高生じゃないんだけどな……
「それでかーなるほどなぁ。
これで、全部つながったな」
先生は1人でうんうん頷いてる。
「構えた所に投げられて、遅いボールも投げられるんなら、アンデッドJKと
対戦しても大丈夫そうだし、これなら、練習試合が組めそうだ!」
「部活として実績を積むなら、試合をしないとな!」
「え? でも先生、部員が5人しかいませんよ。
それに、わたしはマネージャーだし」
「大丈夫さ、なんとかなる!」
先生は力強く言い切った!
小金井さんと、お嫁さん達の目がキラキラ輝いてる。
「ミーティングは終わりにしよう! 君達の力も見せてくれ」
先生は、お嫁さん達を見ながら、そんな事を言った。
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