部活ミーティング 再開 西国分寺 昴(すばる)視点
「小金井、力が100万倍強くなる飴とかなめてないよな?」
「ははは、先生、そんな、強力ウルトラスーパーデラックスキャンディー
みたいなの、なめてないですよー」
そう言って小金井さんは、口を開けて中を見せている。
「本当だ。あれはなめている間、力が強くなるからな」
先生はそんな事を言ってる。
わたしは頭を抱えた。
◯えもんのひみつ道具を疑ってるとか、本気か……
「そうか、なめてないか。
ふむ。
ま、いいだろう。
三振しない女子高生もいるし、魔球を投げる女子高生までいる。
190キロの球を投げる女子高生がいてもおかしくないか」
「いや、おかしいですって!
先生もびっくりしてたじゃないですか!」
「まぁ、そうなんだがな。
投げられるんだから仕方ないじゃないか」
そんな会話をしている所に、小金井さんが割り込んできた。
「先生、三振しない女子高生ってなんですか?」
「そうそう、それに、魔球を投げるって、どんな魔球?」
ヤムさんまで会話に入ってきた。
他のお嫁さん達も、興味しんしんといった顔で、先生を見ている。
「お、やっぱり気になるか。
ここ数年の事なんだが、変な記録を持ってる選手がいてな、
中学まで遡っても三振ゼロ。
どんな速球も、どんな変化球も、バットを振れば必ず当たる感じなんだよ」
「黄金バットでも使ってるんですかね?」
小金井さんがそんな事を言うと、
「それな! わたしもそれを疑ってる!」
疑ってるんだ……
◯えもんのひみつ道具を疑ってどうする!
そんな事を思ってると、ヤムさんが急かしてきた。
「先生、魔球は?」
「魔球か。」
先生はじっくりとためを作ってから、言い放った。
「それが、消える魔球なんだ!」
「え!?」
「マジっす?」
小金井さんも、お嫁さん達もみんなびっくり。
あたしは聞いてたから、びっくりしなかったけど。
こくりと頷いた先生は、続きを話しだした。
「実際、わたしも消えた所を見たわけじゃないから
なんとも言えないんだが……
なんというか、見てる分には消えてなんかいないからな」
「え? どういう事ですか?」
「映像にも、ボールは消えずに映ってるんだ。
だが、対戦した選手達が口を揃えてこう言うんだ」
「ボールが消えた
てね。」
お嫁さん達は黙ってしまったが、小金井さんは、
「うわー、打ってみたい!」
と、大はしゃぎ。
まぁ、わたしも同じ気持ちだけど。
でも、話しがだいぶそれてしまった気がするので、元に戻さないと。
「それは、わたしも対戦してみたいですけど、今は
190キロの球を投げる女子高生の話しをしないと!」
わたしがそう言うと、先生が、そうだったと、今、気付いたみたいな顔をした。
「三振しない女子高生、魔球を投げる女子高生、他にもおかしな女子高生が
いてな、どんな球が飛んできても必ず捕球してしまう、エラーをしない女子高生」
「がっちりグローブでも使ってるのかな?」
小金井さんがそう呟いたとたん、先生が同意した。
「そう、そう思うよな! わたしもそう思った」
また、◯えもんのひみつ道具だ。
わたしはすかさず、軌道修正する。
「先生! それてますよ!」
「おぉ、そうだった。すまない。
話しを戻すぞ。
この3人については、危険はないからいいんだが……
もう一人、やばいのがいる」
そこで、先生は、みんなの顔を見回して、誰かがゴクリと喉をならしたのに
満足してから、こう言った。
「デッドボール女子高生、立川 杏。
四死球での出塁率9割!
人呼んで、アンデッドJK」
「なぜか、彼女が打席に立つと、デッドボールになってしまうらしい」
えー!
みんながびっくりした声を上げた。
「キャッチャーは、ど真ん中に構えてたのに、なぜか、この子のお尻に当たってたりしてな」
「その人、自分から当たりにいってない?」
レビンさんが質問してきた。
「最初はわたしもそう思って、色々と聞いたんだが、そんな事はないみたいだぞ」
「バッターボックスも、ベースから遠い所に入るし、当たらない様に避けたりも
してるらしい」
「それでも、デッドボールになっちゃうんですか?」
先生は、こくりと頷いた。
「あたしが、この子と対戦したら、190キロの球が、この子に当たって……」
「うげっ!」
「やばいね! やば過ぎる!」
お嫁さん達も想像しちゃったみたいで、いやーな顔をしてる。
「わたしも、小金井の球を見た時に、この子と対戦したらやばいなと
思ったんだが……
小金井、悪いが試しにこのティッシュを、ゴミ箱に投げてくれないか?」
「へ?
ティッシュをゴミ箱に入れるんですか?」
「あぁ、すまんがお願いする」
先生は、なんの意味があるのかわからないけど、ゴミを捨てて欲しいらしい。
小金井さんは軽く返事をして、先生から丸めたティッシュを受取り、
ゴミ箱に向かって投げた。
びし!
!?
なにあれ! あんなに速いティッシュ見た事ない!
ティッシュはゴミ箱に入った。
先生の目が見開いている。口もあんぐりだ。
さすがのリアクションです。
なんて思いながら、先生を見ていたら復活した。
「うーん……
何を投げても190キロになるとかじゃないよな?」
「そんなわけないじゃないですかー」
けらけらと小金井さんは笑っているし、お嫁さん達も笑ってる。
「そうか、そうだよな。
小金井は、遅いボールは投げられるのか?」
「はい、そーっと投げれば大丈夫です」
何が大丈夫なのかな? とは思ったけど、にっこり笑顔の小金井さんや
お嫁さん達には聞けなかった。
「そうか、じゃあ、あとで見せてくれ」
「わかりました! あたし達、小学校の頃から、力を抑えてきたので
そーっと投げるのは得意です!」
なぬ!? 今さらっと重要な事を言った気が……
「小学校の頃から? 190キロを?」
「いえ、最初は130キロくらいだったかな?」
「何年生の時だ?」
「確か、4年生だったはず」
「4年生というと、9才くらいか。
9才で130キロ……」
先生は眉間に手を当てて、悩んでる風。
「小学校の頃、野球はやってなかったのか?
そんなに速い球を投げられるなら、即エースになれただろ?」
「野球はここで遊ぶ時だけ。
小学生だって危ないって分かるから、人に向かっては投げなかったよ」
!?
そうだった。190キロの球を投げる小金井さんばかり、注目しちゃったけど
その球を捕れるお嫁さん達も、凄いのでは……
そう思ってたのに忘れてた。
「そうか、キャッチャーがいないか」
先生もそこに気づいたみたいで、お嫁さん達を順番に見ている。
「君達もか。
190キロの球を捕れる女子高生。
ちなみに、すば、西国分寺さんは、捕れる?」
「もう、昴ちゃんでいいのにね」
「うん、うん」
小金井さん達は、小声でそんな事を言ってる。
わたしは、ジト目で先生を見ながら言った。
「無理です。それに、マネージャーですから」
そう言ったのに、
「にしこくさんなら、捕れるんじゃない?」
「うん、いけるよ!」
「大丈夫、さうすちゃん、構えた所にボールを投げてくれるから」
「そうそう、捕れるって!」
お嫁さん達がこんな事を言ってくるし。
先生は先生で、お嫁さん達に質問をしてる。
「今、構えた所にボールを投げてくれるって言ったが、外す事だってあるだろう?」
「うーん、無いかな」
「無いよ!」
「あった事無い」
一回も? と先生が聞いたら、みんなが、うんと返事を返した。
なんと! そんなに、コントロールがいいのか?
小金井さんが、得意気なポーズをしてる。
「そうか、じゃあ、あとで、西国分寺さんにも捕ってもらおう!」
「いやいや、それは無理だから!
キャッチャーなんてやった事ないし!」
あんな速い球捕れるわけないじゃん! 恐過ぎる!
「わたし、マネージャーだから! やりませんよ! 絶対にやりませんからね!」
「ふむ。
西国分寺さんは、ピッチャーだし、半分冗談だったんだけど、
そこまで言われると、フリかと思っちゃうな」
小金井さんも、お嫁さん達も、うんうん、頷いてる。
「いやいや、フリじゃないから! やりませんよ、やりませんからね!」
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