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7.Y-4.504 『断罪の因果』:スキル効果❶〜❺

 世界は彩香の敵である。


 日本にいた頃も。

 そしてこの異世界ミグルでも。


 自分は呪われた『厄災の魔女』だったと判明した今では、それが当然の帰結きけつなのだと受け入れざるを得ない。

 謎の少年の誘いに乗って『新しい世界』にやって来たが、彩香を取り巻く環境は何も変わらなかった。

 けれども彩香はここにやって来て良かったと、今では心の底から思っている。

 何故なら周囲の全てが敵なのは日本にいたときと変わらないが、彩香自身は大きく変わったからだ。

 なんせ今の彩香には、『敵』に『報いを受けさせる力』があるのだから。



ーーーーー



「お前のせいだっ!この魔女めっ!!」

「化け物がっ!殺してやるっ!!」

「やるぞっ!村のみんなの仇だっ」


 彩香が異世界ミグル《内側》に来てから100日ほどが過ぎていた。

 場所はダンジョン化した森に隣接する秘境の村の、すぐ外に広がる空き地。

 殺気だった10人ほどの男たちが、武器を手に彩香に襲いかかってくる。

 異世界勇者をあやめたら、命に関わるほどの天罰が下るというのに。

 仲間を失った村人たちには、もはや冷静な判断能力も残っていないのだろう。

 けれども、、、


「やはりわたしには『敵』しかいないのね、、、」


 彩香はそんな村人たちを、冷めた目で見やるだけ。

 近づいてきた者から順に、包丁で返り討ちにしていく。

 ダンジョンの隣という危険地帯に住む村人たちだけあって、それなりに戦闘技能には秀でている。

 それでも十分にステータスに差があるので、囲まれてもそれほど苦戦することはなかった。


 それに彩香は今では、自分の能力(ユニークスキル)、『断罪の因果』を完全に使いこなしている。

 なんせ彩香は傷を負ったとしても、自動的に相手の方により大きな『反射』ダメージが入るのだ。

 もとより村人たちではステータス差によって、彩香に大した傷を与えられない。

 しかも下手に攻撃を当てると、それだけで行動不能になるほどの反撃を受けてしまう。

 彩香としては、自分に近いくらいのステータスを持つ数名だけに注意していればいいのだ。


 その上さらに彩香には、『因果』という能力がある。

 それは彩香を傷つけた相手に、因果の呪いを発生させるという凶悪な力だ。

 相手に生じる因果の強さは、傷の深さや、彩香と相手とのステータス差、などの要因によって増減する。

 そして発生した因果の強さに応じて、レベル❶〜❺までの5種類のスキル効果が発動するのだ。

 もっともレベル❶程度では、そこまで大したことはできない。

 せいぜいが、因果網ネットワークで因果を植え付けた相手の居場所を探知できるようになるくらいである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ユニークスキル: 断罪の因果

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▶スキル効果: 因果

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▶▶レベル❶: 接続

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『悪意には悪意を』

自分を傷つけた相手との間に『因果』を結ぶ

生じた『因果』の情報は『網』で確認できる

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 けれどもレベル❷以上の効果は、まさに凶悪そのものであった。


「くたばれぇぇっ!!」


 彩香の背後から男が襲いかかってくる。

 走りよりながら、農具のクワを頭上に振りかぶる。


「『標的』っ、、、」


 けれども彩香はそちらを見ようともせず、ただ『コマンド』をボソっとつぶやくだけ。

 その直後、男がクワを力いっぱい振り下ろす。

 隣に立っていた友人の脳天に。

 突然仲間に裏切られた村人は、何も分からぬまま絶命した。


「な、、なんで、、、」


 そして友を手に掛けてしまった村人は、顔面を蒼白にしながら、凶器を取り落として呆然と立ちすくむ。

 これが因果レベル❷『標的』の力。


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ユニークスキル: 断罪の因果

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▶スキル効果: 因果

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▶▶レベル❷: 標的

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『苦痛には苦痛を』

自分を傷つけた相手の敵意を、任意の対象に変更できる

※ターゲットに指定できる対象の条件

 ❶自分がリビド《魂》を感知した対象

 ❷相手がリビド《魂》を感知した対象

 ❸因果レベル❷『標的』を付与した対象

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 因果を植え付けた者の攻撃を、別の対象へと誘導することができるのだ。

 男が彩香に向けていた敵意を、別の村人へと押し付けた、というわけである。

 もっともこの男は、戦意を喪失して立ち止まることができただけ、マシなのかもしれない。


「『狂乱』っ、、、」


 目の前の集団の中の1人に向けて、彩香は別の『コマンド』を発する。


「ぐわぁぁあぁぁっ!!」

「やめろ!メノマンっ!!」

「バカぁっ!止まれぇっ!!」


 するとその男は突然デタラメに剣を振り回して、見境なく周囲の人間に切りかかり出した。

 周りの村人たちが必死で呼びかけているが、狂気で塗りつぶされた男は一切止まる素振りを見せない。

 これは因果レベル❸の効果、『狂乱』によるものである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ユニークスキル: 断罪の因果

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

▶スキル効果: 因果

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▶▶レベル❸: 狂乱

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『傷には傷を』

自分を傷つけた相手の精神を狂わせる

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 相手の思考を狂わせ、周囲の獲物に無差別に襲いかかるだけの、狂乱状態に追い込むことができるのだ。

 この時点で彩香を殺しにきていた村人たちは、完全にパニック状態である。

 それでも村人たちのリーダーらしき男はかなりの手練てだれのようで、まだまだ戦意を失っていない。

 彩香さえ殺せば、おかしくなった仲間たちを救えるのだと、油断なく反撃の隙をうかがっている。

 けれども、、、


「その男を殺しなさい」


 彩香の命令で数名の村人たちが、そのリーダーっぽい男に襲いかかっていく。

 これはさらに上位の因果、レベル❹の『支配』によるものだ。


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ユニークスキル: 断罪の因果

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▶スキル効果: 因果

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▶▶レベル❹: 支配

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『破滅には破滅を』

自分を傷つけた相手の肉体と精神を支配する

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 レベル❹の因果を受けたものは、文字通り彩香の操り人形となるのだ。


「なんだっ!?やめろぉぉっ!!」


 リーダーは仲間たちに武器を向けられ、四方八方から攻撃を浴びせられる。

 村でいちばん強かった男は、まともに反撃できないまま、めった刺しにされてしまった。

 そのあとも狂った村人たちは、お互いに殺し合いを続ける。

 程なくして彩香を襲ってきた村人たちのほとんどは死に絶えていた。

 生き残っているのは、大きな傷を負って倒れている男1人だけ。

 その男の前に立った彩香は、冷めた目で見下ろしながら『コマンド』を口にする。


「『断罪』っ、、、」


 その瞬間、男は見えない圧力で潰され、血まみれの肉塊へと成り果てた。

 それは後日ミルベガスの街において、ショモナイが最期を迎えることとなったときと、全く同じ光景である。

 これが因果レベル❺の力。


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ユニークスキル: 断罪の因果

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▶スキル効果: 因果

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▶▶レベル❺: 断罪

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『命には命を』

許されざる罪は、死をもって断罪される

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 コマンド1つで対象者の命を奪い去る、因果の最強・最悪の能力、『断罪』であった。


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人の精神は思うよりも脆いですよね
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