表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/24

黒衣×黒衣 第一話:二つの黒衣と、勝者のための一杯

いつも応援ありがとうございます!

第二章「財政の罠」無事に完結いたしました!

今回は、売国奴を倒して大儲けした山下議長が、同じ王都の路地裏にある『黒衣のバーテンダー』蓮の店へとふらりと遊びに行く、お楽しみ公式コラボ番外編です。二人の「黒衣の大人」が交わす、贅沢な夜の時間をどうぞお楽しみください!

売国奴のカネーミ財務大臣を完全論破し、歴史的な大減税を成功させた山下やました 速夫はやお


国を大繁栄させ、自分の秘密口座にもがっぽり裏金が入った彼は、上機嫌で王都の深夜の街を歩いていた。


「フハハ、今夜は美味い酒が飲みたい気分だな。……おや?」 


山下がふと目を留めたのは、普段は誰も通らないような静かな路地裏だった。


 そこには、国から武器の所持すら禁じられた『国家最高聖域』の看板と、ひっそりと明かりが灯る一本のドアがあった。


 カラン、とベルを鳴らして山下が入ると、そこは現実世界の銀座を思い出させるような、静かで最高に美しいバーの空間だった。


 カウンターの向こう側には、仕立ての良い黒いタキシード――「黒衣」を着たバーテンダーのれんが、静かにグラスを磨いていた。


「いらっしゃいませ。……おや、今夜は一段と凄まじい『覇気』をまとったお客様ですね」 


蓮は優雅に一礼した。魔王や公爵を見てきた蓮の目には、山下がただの若者ではなく、国を裏から操る「本物の怪物」であることが一目で分かった。


 山下はカウンターの真ん中にドカッと座ると、不敵な笑みを浮かべた。


「ほう、いい店じゃないか。マスター、俺は今日、国を一つ救って、ついでに大儲けしてきたところでな。最高に美味い、強い酒をくれ」 


蓮は何も驚かなかった。


ただ静かにボトルを手に取る。


「かしこまりました。では、見事な勝利を収めて大金を掴んだあなたに、現代の特別なカクテルをお作りしましょう」


 蓮が用意したのは、高級なラム酒、ライム果汁、そしてほんの少しの砂糖。


それらを愛用のシェーカーに注ぐと、カシャ、カシャ、カシャと、小気味よい音が店内に響き渡る。


その無駄のない完璧な動きに、山下は思わず目を見張った。


 冷たく冷やされたグラスに注がれたのは、淡い白色に輝く、洗練された一杯だった。


「『ダイキリ』でございます。カリブ海の鉱山で働く労働者たちが、一日の大仕事を終えたあとに愛飲した、まさに『勝者のための一杯』です」 


山下はグラスを傾け、ゆっくりと喉に流し込んだ。


 その瞬間、山下は「……ほう」と、深くため息をついた。


口の中に広がるのは、ラムの芳醇な甘みと、ライムのキリッとした強烈な酸味。


そして、喉の奥からカッと燃えるような熱いアルコールが一気に突き抜けていく。


「美味いな、マスター。これほど雑味のない、完璧な酒は初めてだ。……お前、ただの異世界人じゃないな?」 


蓮は静かに微笑み、自身の黒いタキシードの襟に手を当てた。


「ただの、街のバーテンダーでございます。……お客様も、そのスーツ(黒衣)の下に、ずいぶんと重い泥を被ってこられたようですね」


「ハハハ! 言うねぇ、マスター!」 


山下は心底嬉しそうに大笑いした。


政治の泥を被る山下の黒衣と、最高のおもてなしをする蓮の黒衣。


二人の「黒衣の大人」が、王都の夜の底で、静かに交錯した瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ