其の壱十参「お盆にまつわる言い伝え」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
地域によって様々だと思いますが、日本の夏の風習に「お盆」があります。
今さら言われなくても誰でも知っているとお叱りを受けそうですが、お盆とは、日本の伝統的な先祖供養の行事。先祖の霊が家に帰ってくるとされる期間。家族が墓参りや迎え火・送り火を行い、祖先を迎えて感謝を伝える夏の風習とされています。
その期間は様々で、七月盆(7月13日~16日)、八月盆(8月13日~16日)。
私の地元では8月1日~3日がお盆で、会社は地元のお盆と一般的な八月盆の2回夏の連休があるところも。
それはそれとして――お盆についてこんなお話、聞いたことはありませんか?
◇◆◇
これは、私の地元で囁かれていたお盆にまつわる怖い話。
8月2日から3日にかけて見た夢を覚えていてはいけないという言い伝えがありました。
小さい頃はそれが何故なのかなど全く知らず、何がどうという気にもしていませんでした。
中学生になった私は夏休み、8月2日に行われる地元の盆祭りに友人3人で出かけ、その帰り、どういう話の流れか“怖い話”をすることになりました。
私、Aさん、Bさんの順番で話していったのですが、最後に話したBさんの怖い話が、まさに私の地元に伝わるお盆にまつわる怖い話でした。
8月2日から3日にかけて見た夢を覚えていてはいけない。
これは、見た夢を全部覚えていてはいけないということではなく、ある特定の夢について覚えていてはいけないというところから始まった言い伝えなのだとか。
その特定の夢というのが“先祖の霊が出てくる夢”。
その夢を見ると、8月3日、先祖の霊があの世に帰るとき、一緒に連れていかれるのだと――
この時私は初めて、この言い伝えの意味を知りました。
そしてその時がちょうどそのお盆の期間です。
8月2日の夜、「おじいちゃんが夢に出て来ないよね?」そんなことを思い、背筋をゾゾゾとさせながら眠りについたのをはっきりと覚えていますが……私は幸い夢を見ることなく8月3日を迎えられました。
◇◆◇
あれからもう……30余年!?
そんな事もあったなぁと昔を懐かしむ。そんな年齢になったのだなあと、どこか感慨深くしみじみしてしまう私。
創作怪談を執筆していなければ、この言い伝えのことも思い出していなかったでしょう。
2026年ももう7月。毎年「10年に一度の記録的猛暑」が続いている夏が来ます。
今年は久しぶりに地元に帰って、まだ続いていれば盆祭りを見に行こうかなと、思いを巡らす私なのでした。
さて、読者の皆様。
あなたの地元のお盆に、何か怖い言い伝えはありませんでしたか?
そしてこの話、本当だと思いますか?




