其の壱十四「ひとりの幽霊。あるいは…」
これは、ある心霊スポットに肝試しに行った男女5人が経験した話。
先に結論をお話しすると、その場所で彼らは全員“ひとりの幽霊”を見たという。
はい、もう結論出ているでしょ。
心霊スポットに行った男女5人が幽霊を見た。以上――
……とはならず、この話にはまだ続きがあります。
この男女5人、仮にA君・B君・C君・Dさん・Eさんとします。
それぞれ一人ずつ彼らの話を聞いた霊能者は、首を傾げます。
彼らは“ひとりの幽霊”を見たというのに、それぞれが話す幽霊の姿が全く違っていたのです。
A君が見たのは、仙人のような姿をした白装束の老人。
B君が見たのは、誰もが知る雪女のような姿をした幽霊。
C君が見たのは、幽霊というより妖怪、馬頭の男。
Dさんが見たのは、目をギョロリと見開いた小さな子供の幽霊。
Eさんが見たのは、歌舞伎役者のような幽霊。
これは一体、誰の話が本当なのか。
彼らを見た霊能者さんは語ります。「全員、本当のことを言っている」と。
実は霊能者さんには、彼ら5人の後ろに、それぞれが話す“その幽霊”が立っているのが見えていたのです。
はてさて、彼らは心霊スポットで見た霊を拾ってきたのか。
それとも、心霊スポットに行く前から霊を背負っていたのか。
どちらなのでしょうね。
この話、本当なんです――




