其の弐十四「東の病院、西の工場」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
ある田舎町の中央に流れる川。
そこは春から夏にかけて、釣りやキャンプを楽しむ人の集まる、知る人ぞ知るアウトドアスポットとして有名なのだが、もう一つここには“全国でも有名な心霊スポット”があることも知られている。
それが町の中央を流れる川の東側にある小さな廃病院。
そのいわくは定かではないのだが、ここでは必ず心霊写真が撮れるという噂が広まり、夏場になると夜な夜な心霊マニアが集まっていた。
だが、噂はただの噂であったようで、ここの訪問者たちから「心霊写真が撮れた」という話は全くなく、彼らは、そこはまるで「意図的につくられた心霊スポット、まるでテーマパークのお化け屋敷のようだった」と語っていた。
そんな話が広まり、ここを訪れる心霊マニアが減り始めた頃、この廃病院は取り壊され、現在そこは更地になっている。
ちょうどその少し前、町の中央を流れる川の西側にあった小さな廃工場も、廃病院の取り壊しが始まる前日までに取り壊され、その土地も更地となったのだが――
後日、心霊マニアたちの中でこんな話が囁かれるようになった。
「本当の心霊スポットは、西側の廃工場。そこに人が入らないよう、東側の廃病院は心霊スポットだという噂を何者かに意図的に流されていた」
この噂を流したのが誰なのかも、その目的も、どちらの建物も壊されてしまった今となってはわかりません。
ですがこれ以降、心霊スポットマニアの界隈ではこんな話が広まったのだそうです。
心霊スポットの中には、本物の心霊スポットに行かせないために作られた「偽物の心霊スポット」が存在する!
この話、本当なんです――




