其の参十弐「嫌なモテ期」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
皆さんのモテ期はいつでした?私は今、モテ期がきているらしいです。
そんな手相診断をしてくださった、手相占い師のTさん(男性)。
手相によると私のモテ期は生涯に3回あって、今が3回目のモテ期なのだという話でした。
風間咲良45歳独身。喜んでいいものかどうなのか。とりあえず「そうなんですねー」と
愛想よく笑いながら聞いていましたが……
会話の中で、創作怪談を執筆していることを話すとTさんは、
それなら一つ、こんな話がありますよと聞かせてくれました。
◇◆◇
それは、Tさんが仕事仲間で占い師のSさん(女性)から聞いた話。
占いで20代後半の男性(Bさんとします)を見たとき、「人生最高のモテ期」が来ているという診断結果が出たのですが、彼はそれを喜ぶことなく、大きな溜息と共に「そうですか」と、ポツリとひとこと呟いたそうです。
その様子から、何か悩みでも?と察したSさんは、彼に聞いてみると
最近引っ越してきたBさんの部屋にはいつも「3人の女性」がいることを話し始めました。
彼女たちは、とても美人なのですが……問題は、3人とも「幽霊」だというのです。
そして彼女たちに「どこか遊びに連れてってー、どこか遊びに連れてってー」と
毎晩のようにせがまれているのだとか。
霊感の強いBさんにはそれが見えているのですが、相手にすると何があるかわからないと考え、徹底的に無視をしていました。
ですが先日、Bさんはついに、こう話しかけられたのです。
「ねぇ、Bさん。どこか遊びに連れて行ってよ。」
美女の幽霊たちは、誰でもなくBさんにどこかに遊びに連れていってほしいと声をかけてくるようになり、それを聞いたBさんは背筋がゾゾゾと凍るような悪寒を感じたらしいです。
何故なら「幽霊に、Bさんという個人を認識されている」ということに気付かされたから――
◇◆◇
「いくら美女3人に声を掛けられていても、それが幽霊では、とんだモテ期だなというお話です。」
「たしかに、それは嫌なモテ期ですね。」
手相占い師Tさんの話を聞いた私の率直な感想でした。
これを私自身に置き換えたら……かっこいい男性の幽霊が「咲良、どこか遊びに行かない?」と声をかけてくる……こんな嫌なモテ期は、丁重にお断りしたいですね(笑)
「そう言えば、こんな話もありますよ。人形に憑依した幽霊とお付き合いしている方のお話。興味ありますか?」
「あります!」
Tさんの申し出に秒で即答する私でした(笑)
Tさんから聞いた様々な怪談は、また追々お話していこうと思います。
この話、本当なんです。




