其の五十七「陽気な心霊写真」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
心霊写真。
本来いるはずのない何かが写り込み、超常現象の証拠とされる写真や画像のこと。
その多くは偶然の影や光の反射、ブレ、二重露光などで説明できますが、
ときに説明のつかない不可解な例もあります。
心霊写真は、怪談文化の象徴の一つとして今もオカルトファンを惹きつけているものだと
私は思っています。
私の撮った写真の中には今のところ、そういうものが写ったことはありません。
怖い話は大好きですが、怖いものを見るのが苦手な私からすれば良いことです。
でも、どこか“怖いもの見たさ”な気持ちもあり、自分の写真の中に
何かが映っていないか、ほんの少しだけ期待してしまうところもあります。
◇◆◇
それはそれとして。
今日は、とある心霊写真についてのお話をしようと思います。
先に結論を言ってしまうと、その写真に写っていた若い女性と思われる幽霊は、
ピースサインをして写っているというのです。
表情は鮮明ではないものの、どこか笑みを浮かべているようにも見え、
陽気に手を振っているかのように映っている若い女性の幽霊。
写真が撮られた場所は、とある心霊スポット(場所は控えます)。
その場所で2000年頃に撮られたものらしいです。
ほかにも若い男性の幽霊が写り込んでいたという証言が複数あり、
どれもが 「陽気に、楽しそうに、踊るような様子で写っている」 と言います。
そんな話を耳にした私は、ネット上にその写真が投稿されていないか調べてみました。
すると――ありました。「陽気な幽霊たちの心霊写真」と題された数枚の写真。
若い男女が楽しそうに踊る……確かにこれは、どこか懐かしい雰囲気。
そう、ディスコ。
今の若い人にはクラブのようなものと言った方が通じるかもしれません。
(ディスコとクラブは同じではありませんがイメージしやすいよう例にあげました)
この写真から、私はバブル期のディスコの空気を感じました。
さらに調べてみると、やはりその写真が撮られた場所は元々ディスコがあったビル。
1990年代後半に閉店したものの、“音楽が聞こえる”“何かがいる”という噂が立ち、
やがて心霊スポットと呼ばれるようになった場所だと書かれていました。
◇◆◇
……これは私の想像ですが、もしかするとこの場所、
「人に混ざって幽霊たちも楽しく踊っていたディスコ」 なのでは?
そして閉店後、人が来なくなったその場所には幽霊たちだけが残り、
夜な夜な楽しい時間を過ごす 「踊る幽霊たちの社交場」 になっていたのでは?
だから、ここでは陽気に手を振る楽しそうな幽霊が写り込む心霊写真が撮れるのでは?
そう思うと、ここはまるで、
有名な妖怪アニメの歌詞の一節“夜は墓場で運動会”のようですね。
◇◆◇
これはあくまで私の想像です。
想像なのですが、こんなふうに考えると、あり得ない何かが映り込んだ写真にも
少し“物語”が生まれて、悪くないような気がします。
ただ怖いだけじゃなく、少し楽しい。
そんなオカルトも、私は“あり”だと思っています。
みなさんは、どう思いますか?




