其の六十令「禁忌成願:必ず成就するおまじない」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
これから広まるかもしれない怖い作り話の、往路・復路どちらにも
いくつかこんな話があります。
「興味本位で探さないでください」
それは場所であったり、ネット上に転がる噂や都市伝説であったりと様々ですが……
今回お話するのも、「興味本位で探さないでください」というお話です。
◇◆◇
これは少し前、多分私が花粉症で目鼻が痒いのを薬で何とかしのいでいた頃に、
ネット上に掲載されたオカルト系の記事を読み漁っていたときのこと。
ネット上に数ある、そして世の中に数ある「おまじない」の中に、
“やれば必ず願いが叶う”“思いが成就する”という、
百戦錬磨・百発百中のおまじないがある――そんな記事を見つけました。
その記事の中でも、このおまじないがどんなものなのかは明確には書かれていませんでしたが、
“存在することだけは確か”なのだとか。
では、なぜ詳細が書かれていないのか。
私は興味深く感じ、この件について少し調べてみることにしました。
そして、この件に関する様々な噂話を読む中で、
私は「またか」と思いながらも、背筋がゾゾゾとするのを感じ、手を止めました。
「この件、深掘りするべからず。」
そんな言葉が、ふと浮かんだからです。
◇◆◇
結論を言ってしまうと――
このおまじないで願いを叶えた人は、その後まもなく姿を消している。
願いを叶えて間もない短い期間に、そのおまじないがどんなものかを
記録する間もなく、この世から消えている。
そのため、詳細は誰にもわからず、
「そんなものがあるらしい」という曖昧な噂だけがネット上に残っている。
つまりこれは、「深掘り注意。見つけても責任は持てません」
という話だったのです。
◇◆◇
でも、こういう話って、逆に興味が湧いて深掘りしたくなりませんか?
このおまじないがどんなものか、知りたくなりませんか?
私が思うにこのお話は、怪談から神話、昔話まで様々な物語に登場する
「見るなのタブー」 なのだと思います。
禁止されると余計にしたくなる、見たくなる。
心理バイアスで言うところの”カリギュラ効果”です。
このおまじないの話は、そんな人の心理を突くことで
より深く読ませるための“創作テクニック”だと、私は思っているのですが……
もし、何かの偶然でそのおまじないを見つけてしまったら、
あなたならどうしますか?
私は……まだ姿を消したくないので、
見つけたとしても、そのWebページをそっと静かに閉じると思います。
最後にこの話、嘘か本当かわからないので――調べないでくださいね。




