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創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話【復路】  作者: 井越歩夢


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其の六十山「儀式ハウス:わからないほうがこわい」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



これは、私の作家仲間であるAOさん(男性)から聞いた話です。

一見すると、どこが怖いのかわからない。

むしろ「怖くない」と言われても仕方がないような話。


けれど、よくよく考えてみると――

“わからない”ということそのものが、実はとても怖いのかもしれません。


それが、この話を聞いたときの私の感想でした。


では、AOさんが語った「儀式ハウス:わからないほうがこわい」をお届けします。

(聞いたまま文字起こし。本人には了承を得ています)


◇◆◇


これを人に話すのは、風間さんが初めてになると思う。

結論から言うと、「何をしているのかわからないほうがよっぽど怖い」という話。


例えばさ、小さい集団が何かしているんだけど、

何をしているのかわからないと妙に気にならない?

俺はめちゃくちゃ気になるんだけど(笑)


で、2年くらい前にこんな話を聞いたんだ。

場所は教えてもらえなかったけど、県内の山奥にある小さな廃屋で、

友人のM(男性)が“ヤバいもの”を見たって。


当時Mは山師で、仕事中にその廃屋を見つけたらしい。

かなりボロい建物なんだけど、朽ち果てている感じはそれほどでもなくて、

意外にしっかりしていたらしいんだ。


で、その中から――


「カーン……カーン……」


って音が、一定のリズムで聞こえてきた。

何だ?と思って窓から中をのぞいたらさ、中には人が四人いたんだ。


四人は、囲んでいる真ん中の“腰くらいの高さの太い鉄の棒”を、

それぞれ鉄のハンマーで、カーン……カーン……と、一定のリズムで叩いていた。


で、その四人の格好がさ。

丑の刻参りの白装束みたいなんだけど、色が白じゃなくて青。

だから、青装束って言えばいいのかな。


そんな四人が、黙って、太い鉄の棒を、ハンマーで、

カーン……カーン……


Mはそれを見て、中の四人に見つからないように、そーっとその場を離れたらしい。

「何だったんだろうな、あれ」って俺に話してくれてさ。


俺は「何かの儀式なんじゃね?」って言ったんだけど、

Mは「何の儀式なんだろう。訳がわからなくて気持ち悪いわー」って言ってた。


で、俺もそれ聞いて確かになって思ったんだよね。

“何かわからないほうが、ある意味怖い”って。


咲良ちゃんは、これ何だと思う?


◇◆◇


AOさんの友人Mさんは、その廃屋を「儀式ハウス」と呼び、

以降その付近には近づかないようにしているそうです。


話を聞いた私としても、Mさんが気付かれずに

無事にその場を離れられて本当によかったと思っています。


それにしてもです。


青装束の四人が、太い鉄の棒を囲み、

鉄のハンマーで、一定のリズムでカーン、カーンと叩き続ける――


想像してみると、不気味です。

意味のわからない行為を、意味のわからない集団が、

意味のわからない場所で行っている。


怪談をたくさん聞いてきた私でも、この話を聞くのは初めてでした。


そしてAOさんの言う通り、私も同じように思います。

「何をしているかわからない。だから怖い」と。


もし、あれが本当に“何かの儀式”だったとしたら。

もし、その儀式が“見ただけで何かが起こる”類のものだったとしたら。


四人に気付かれなかったとしても、

その場を見てしまったMさんは、本当に大丈夫なのでしょうか。


AOさんに聞くと、Mさんは元気だそうですが、

あの一件以来気味が悪くなり、現在は山師を辞めて市内の会社に勤めているとのことでした。


……私はそれを聞いて、それが“ある意味小さな呪い”のように感じられました。


結局、Mさんが見たあの“儀式のようなもの”は何だったのでしょう。

似たような話をご存じの方がいれば、ぜひ教えていただきたいです。


これがAOさんから聞いた、一見どこが怖いかわからない話。

あなたはこのお話、怖かったでしょうか。


そして、すみません。

私の作品は「怖い作り話」としていますが、この話は――実話なんです。



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