其の壱百六「改変チケット」
これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない
いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。
全部で壱百八話。どれも短い物語です。
しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、
時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、
時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。
そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。
これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。
この話、本当なんです。
これは最近、私がインターネット上で見つけた「えー? それ本当?」というお話です。
かく言う私も、この話についてはまったく信じていません。
ただ、もしもこれが本当であるのなら、とても怖い話だなと思いました。
それは、使用者が一度だけ歴史を改変できるという“チケット”が、
世界のどこかに存在するというお話です。
◇◆◇
世界のどこかに存在すると噂される「HISTORY TICKET」。
使用者が一度だけ歴史を改変できるという、この不可思議な紙片をめぐる都市伝説を紹介したい。
チケットは名もない質屋や古書店の奥に紛れ込んでいるとされ、
裏面に“変えたい出来事”を一行だけ記すと、書いた瞬間に世界が書き換わるという。
実際に入手したという人物の証言では、チケットは黄ばんだ薄紙で、印刷は簡素なものだが、
手に取ると妙な重みを感じたと語られている。
興味深いのは、このチケットの“使用回数”についての不明瞭さだ。
世界のどこかで誰かが使った瞬間、別の誰かの人生が静かに変質する可能性があるという点である。
つまり、現在の自分の記憶や環境も、すでに誰かの一行によって改変された結果かもしれないということだ。
さらに、一部の報告では、未使用のはずのチケット裏面に、薄く「次は、あなたの番」と読める文字が浮かび上がったという。
真偽は不明だが、歴史を変える力が“誰かの意思”によって管理されている可能性を示唆する、不気味な逸話である。
◇◆◇
この話、どう思いましたか。
私は、最初に言ったとおり「えー? それ本当?」と、まったく信じていません。
ですが、もしこれが本当に存在したら――
私たちは誰かの書いた「変えたい出来事」の世界を、
何も知らずに生きているのかもしれません――。
もし、この歴史改変チケット「HISTORY TICKET」を手にしたとき、
あなたならどうしますか。
「一度だけ歴史を改変しますか?」それとも「一度も歴史を改変しませんか?」
この話、本当なんです。




