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創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話【復路】  作者: 井越歩夢


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其の七十五「不幸の手紙の正体」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



昨日に続いて今日も怖い作り話ではありません。


著者である私、風間咲良が怖い話を創作するために、

様々な本、動画、テレビ番組に触れる中で知った、

ちょっと意外に思った話を、今日もここでお話しようと思います。


◇◆◇


みなさん、「不幸の手紙」の話はご存じでしょうか。


不幸の手紙とは、受け取った人に

「この手紙を○人に送らないと不幸が起こる」

と脅す内容の手紙が届き、恐怖から同じ文面を他人へ送り続けてしまうという、

都市伝説のひとつです。


1970年代〜80年代に日本で流行したこれは、後のチェーンメールの原型とも言われており、

人の恐怖と不安という心理バイアスを利用した“増殖する怪談”という見方もあります。


しかし実は、この始まりは「不幸の手紙」ではなかったそうなのです。

その始まりはまさかの 「幸福の手紙」。

19世紀末〜20世紀初頭の欧米が発祥とされています。


当時の欧米では、「この手紙を○人に送れば幸運が訪れる」

という前向きな内容の“幸福の手紙”が流行し、それが日本にも伝わりました。

昭和初期の日本では、欧米と同じく「幸せが続く」「願いが叶う」といった

明るい内容で広まっていたのです。


ところが時代が進むにつれ、戦争や不景気、社会不安などの影響で、

内容が徐々に“脅し型”へと変化していきます。


そして1970〜80年代、ついに「送らないと不幸になる」

という“意味が逆転したチェーンレター”として完成し、

現在の「不幸の手紙」として定着したのです。


◇◆◇


2024年からの2年間ほど、私は心理学や認知バイアスに興味を持ち、

本や動画などで勉強していました。


人には「物事のマイナス面に注目してしまう」という性質があります。

それを知っていても回避できる確率は10%程度、知らなければ1%ほどだと言われています。


そして特に日本人は、この“マイナス面に注目する性質”が遺伝的に強いのだそうです。


幸福の手紙が不幸の手紙へと変化したのは、

ある意味、日本らしい変化だったのかもしれません。


それでも――


できるなら私は、

“幸福の手紙”という前向きな都市伝説のまま、

今も続いていてほしかったなと、そんなことを思います。


怖い話とは関係のない雑談でしたが、

怖い話を創作する中で私が見聞きした都市伝説や怪談への思いを、

今後もこうしてお話ししていこうと思います。


この話、本当なんです。



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