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創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話【復路】  作者: 井越歩夢


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其の三「幽霊トンネルの一撃」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



都市伝説やUMA(未確認生物)の話の中にいくつかある「巨人」の物語。

最近ですと巨人と言えばあの漫画と思い浮かべる人も多いと思います。


私の思う巨人というと……大きな妖怪、「だいだらぼっち」や「みあげ入道」が思い浮かびます。


今日のお話は、当時20代の若い頃(笑)に私の友人から聞いた体験談。

それは、巨人の幽霊?とも疑いたくなるこんな出来事でした。


◇◆◇


これは20年前、彼(仮にTさんとします)が夜のドライブをしているときに体験した話。


Tさんは当時、車でのサーキット走行を趣味にしていて、週末はその仲間と夜な夜な道の駅に集まり車談義をすることが楽しみでした。(私、風間もこの仲間の一人でした)


その日、夜も0時を過ぎそろそろ解散ということで、各々愛車に乗って家路へとつくのですが……Tさんはこの日の帰り、いつもとは違う道を通って帰ることにしました。


その道は、いつもより近道ですが道幅が狭く街灯も少ない、いえほとんどない旧道。そして途中に「幽霊トンネル」と噂される狭いトンネルがあり、できれば深夜には通りたくない道と巷では有名でした。


ですがこの日は「早く帰りたい」という気持ちが勝り、Tさんは深夜のその道を通って帰ることにしたのです。


車を走らせ10分ほど。確かに道幅が狭く街灯もないためとても暗い。どこか怖い雰囲気ですが、時間も時間なことから対向車が走ってくる心配はほぼ無い。Tさんはカーステレオのボリュームをいつもより気持ち上げて好きな音楽を聴くことで眠気を紛らわしながら、この道を進んでいきました。


それからしばらく走ると道の先にトンネルの入り口が見えてきます。例の「幽霊トンネル」と噂されるそれです。Tさんは、怖い話や不思議な現象、UFOやUMAの話を肯定も否定もせず聞いて楽しむタイプで、ここまで走ってくる間も、怖いというより「本当に何か出そうな雰囲気ある場所だなぁ~」というように、あっけらかんとしていました。


ですがさすがに「幽霊トンネル」を前にすると……Tさんは特に変わることなく車を進めていきます。


この幽霊が出ると噂されるトンネルは、その噂だけでなくとても古いため中は暗く、幅も車一台分しかないことから、その噂がなくてもできれば通りたくないと言われる場所。


大型トラックは当然無理として、車幅の広い車で通るにはかなり気を遣うような狭さ。

幸いTさんの車は十分そこを通れるサイズで、ペースを変えることなくトンネルに入っていきます。


狭い、暗い、でもそれだけだな。愛車のマフラー音が「ドゥー」と響くトンネル内を進むTさん。

それほど長くないトンネルの中盤に差し掛かること――


「ドォォォォォォォォン!」


それは唐突に、しかも地響きの如く大音量でTさんの運転する車内を襲いました。

そんな大音量です。さすがのTさんもビクゥゥゥッと体を震わせ、何事と周囲を見ますが……暗いトンネル内を進んでいる以外何ということもなく、ですがTさんはここからアクセルを踏み込み車を加速させてトンネルの残り半分を早々に抜け出していきました。


「なんだったんだ!?」


そう思いながらもトンネルを抜け、少し車を進めるとすぐに暗く狭い道は開け始め、片側1車線の街灯の明るい道に入り、暗い夜中に明るく光るコンビニの看板が目に入ってきました。


Tさんはそこに車を止め、ホッと息を吐きます。


「ドォォォォォォォォン!」と一度だけ。とても大きな音がした。でも何かにぶつかったような衝撃はなく、ただ大きな音だけがした。それでも――Tさんは、車に何かが当たっていないか確認するため車から降り、車を一周見渡します。


フロントバンパー、フェンダー、ホイール、リアバンパー……あれだけの音です。もし何かが当たっていれば無事では済みません。ですが、そこには傷一つない。何かが当たった形跡は一切ありません。


何だったのだろう?Tさんは訝しげに思いながらもコンビニに入って飲み物を購入し、車に戻ると……


「な(んだこりゃぁ)!?」


そう思わず大きな声をあげそうになったTさんでしたが、「な!?」以外の言葉が出てこないほど驚き、その場で固まってしまいました。


コンビニを出て車に戻ると、そのフロントガラスには「ドォォォォォォォォン!」と一つだけ――

フロントガラス一面を覆うように、一つだけ「巨大な手形」が付いていたのです――


◇◆◇


幽霊トンネルを通ったあと、車の窓を見ると無数の手形が付いていた。

様々なトンネル怪談では、そういう話を聞くことが多々あります。


ですが、「巨大な手形がドォォォォォォォォン!と一個だけ」ついていた話を聞いたのは、私の記憶が確かならこの時一回だけです。一体この手形、何なのでしょう。もしかして、巨人の幽霊の手形?


話を戻し、それ以降Tさんは、いくら急いでいても「旧道」は使わないことにしたそうです。


この話、本当なんです――


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