表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話【復路】  作者: 井越歩夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
106/109

其の4「入れ替わり」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



某県某市に新しく建設中のごみ焼却施設。

この文字列で「ああ、あの話」と思い浮かんだ方がいたら、私個人的にびっくりです。


そう、この「これから広まるかもしれない怖い作り話」の第1話『出るらしい』の舞台。

それが、某県某市に新しく建設中のごみ焼却施設で囁かれた噂――地下2階に幽霊が出るらしいという話。


この作品の第二部となる復路が終わる頃、私はWebライターの仕事(取材)のため某県某市に完成したごみ焼却施設を訪れ、その中でここで働く職員さんからこんな話を聞くことになりました。


その結論は、悪戯が本物を呼んでしまったという話。


◇◆◇


場内の案内をしてくださったのは、ここの職員Fさん。

このごみ焼却施設は24時間稼働しており、職員さんは日勤・夜勤の2交代で施設の運転業務に就いているという説明を聞きながら、場内の見学ルートをゆっくりと見させていただき、最後に小さな会議室で私からいくつか質問をさせていただいたのですが、それも終わりに近づいたころ――


「怖い作り話、読んでますよ。風間先生。」


そんな話を投げかけてきました。この日はライターの仕事という頭でいたため、正直そう言われることを想定しておらず、一瞬ピタリと止まってしまった私は「ありがとうございます」と笑顔で返し、取材を終えようとしたのですが……


「風間先生、実はここの職員の中で最近、こんな噂が…」


取材を終えようとした私の心が強く引かれるその一言が、「記事の取材」から「怪談の取材」、Webライター風間から創作怪談作家風間へと思考を切り替えさせました。


◇◆◇


某県某市のごみ焼却施設に勤めているFさんの話。

ごみ焼却施設というとおり、ここには市内から出る様々な廃棄物が運ばれてきます。


その中に、粗大ごみとして「マネキンの頭」が入っていたのを見つけた職員が、「生首が出た!」というシチュエーションを演出しようと、それを施設内の3階、日勤夜勤の設備点検時に必ず人が通る場所に置きました。


夜勤の設備点検時にそれを見て、ぎょっとした職員が何人かいたのですが、ここは様々な機械が動いている施設です。小さなことでもこんな悪戯がもととなって事故が起こってはいけないと、そこに置かれていたマネキンの頭は撤去されました。


ですが――


撤去されたその夜、夜勤の設備点検に回っていた職員Kさん。

点検表を片手に現場を巡回しながら、3階の例のマネキンの頭が置いてあった場所に近づいていきます。


次はマネキンの頭が置いてあるフロアかと、悪戯主である職員のよく言えばユーモア、悪く言えば幼稚さに溜息をつきながらそこに行くと、相変わらずそこには頭だけのマネキンが点検通路の方を向いた形で置かれていました。ただそこでKさんは気付きます。


(あれ?いつもと変わった?)


以前までそこにあったマネキンの頭は、ショートヘアの女性のものでした。

しかしこの日あったのは、長い髪の男性のものに変わっていたのです。


元からマネキンだと知っていたKさんは気にすることなく設備点検を済ませ、4階、5階フロアへと仕事を済ませていきました。


設備点検を済ませたKさんは、施設の運転管理室に戻り、班長に点検中異常なしの報告を済ませます。そして、


「マネキン、別のに変わっていましたねー」


軽くそんな話をすると、管理室内にいた夜勤の職員全員がバッとKさんの方に向きます。

何?何?と驚くKさんでしたが、このあとKさんはそんな事はどうでもいいほどの言葉を聞きました。


「Kさん、マネキンの頭だけど今日の日勤で撤去して、もう無いはずなんだけど。」


撤去されたはずの場所に鎮座していた「生首」。

あれは一体何だったのでしょうか――


◇◆◇


この話を聞いた私は、「これから広まるかもしれない怖い作り話」の中で書かせていただくことの許可を頂き、ショート怪談の台本のように書き直させていただきました。


そしてこのお話について、私なりの考察なのですが――

嘘から出たまことというのが、ピッタリではないかと思います。


マネキンの頭を点検ルート上に置いて「生首の幽霊が出た!」と驚かせようという悪戯。

それを撤去したにもかかわらず、そこには「生首があった」という話。


工事中の建設関係者の方から聞いた話ですが、こういった施設には霊が集まりやすいのだといいます。

運ばれて来る廃棄物に憑いたもの、水を多く扱うことから水に誘われて来るもの、もともとその土地に憑いていたものなど、それは様々なのだとか。


もしかすると、女性のマネキンの頭の撤去後にそこにあった「髪の長い男性の頭」は――

本物だったのかも。いえ、本物なのでしょう。


偽物が撤去されるのを見ていた本物が、「場所が開いたからじゃあここに」と。


この話、本当なんです――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ