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創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話【復路】  作者: 井越歩夢


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其の五「ある日、山の中の廃トンネルにて」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



久しぶりに今回は、読者様からいただいた本当に怖い話です。


私も実家が山の中という表現で間違いない田舎なので、「今は本当にそういうことあるよね」と妙に納得したあと、「ゾゾゾゾ感」に背筋を震わせました。


◇◆◇


これはバイク好きな読者様から頂いたお話。以降Kさんとします。


バイクに乗りながら撮影した動画をYouTubeに上げるのを趣味にしている彼が、その日向かったのは自宅から四時間ほど走った場所にある心霊スポット。


普段は観光地を中心にバイクと撮影、地元グルメを楽しんでいるKさんですが、この時は何故かそれほど興味のない心霊スポットへ行ってみようという気になり、重ねるように何故かそこに向かっていたといいます。


早朝から走り始めたため、現地に着いたのは午前9時。少し山間の場所にあるそれは“とある廃トンネル”。廃トンネルだけあって昼間でもその雰囲気はおどろおどろしく感じるものの、やはり昼間という時間的事実が怖いという心理を強くは働かせないようで、Kさんはその場所を特に怖いとは思わなかったそうです。


様々なトンネル怪談でよく耳にする「天井や壁に浮かぶ人影」「通ったあと車の窓に無数の手形」「その場ではあり得ない物音や声」。それを気にするようなこともなく、トンネルに入ったKさん。


トンネルの総延長は500m。出入り口側とも僅かにカーブしているため、トンネルを抜ける頃まで出口が見えない中、ゆっくりバイクを進めていくKさんでしたが、そのときふと前方に黒い塊のようなものが見えるのに気が付きました。


何だろう?そう思いながら少しアクセルを緩めてそのまま走っていくと――

それが何であるか気付いたKさんは、とっさにアクセルを全開にしてその黒い塊の脇をすり抜け、ミラーを確認することなくトンネルを抜け、しばらく速度を上げてその場から離れました。


トンネルから少なくとも10kmは走ったと思われる頃、Kさんはやっとミラーを確認し、その黒い塊が見えないことを確認して、ホッと安堵のため息をついたそうです。


そして、その黒い塊が「熊」だったことを思い出し、再度ゾゾゾと身震いをしたのでした。


心霊スポットで熊に遭遇した。これはある意味、幽霊や怪奇現象に遭遇するより怖いことだと思います。

最近は街中にも熊が出たというニュースが世間を騒がせています。


特に山の中にある心霊スポットとなれば……そんなこともないとは言えません。


そしてこのお便りの最後には、こんなことが書かれていました。


「幽霊に会うよりもっと怖い体験をしました」


◇◆◇


私も実家が山の中という表現で間違いない田舎なので、「今は本当にそういうことあるよね」とKさんのお便りの内容に妙に納得したあと、熊との遭遇を想像して「ゾゾゾゾ感」に背筋を震わせました。


今まで何度もお話したとおり、私は怖い話を聞くのが大好きな反面、怖いものを見る(心霊番組・ホラー映画)、怖い場所に行く(心霊スポット巡り・肝試し・お化け屋敷)は大の苦手。

私自身、取材でやむを得ない場合を除けば心霊スポットに足を運ぶということはないと思っています。


ですが、このお便りを読んで思いました。


取材でも山中の心霊スポットに行く仕事は断ろう――


心霊スポットの怖さは、幽霊や怪奇現象だけではありません。

今回はそれを私に再認識させてくれた、そんなお便りの紹介でした。


この話、本当だと聞いています。

山中へ行くときは、怪奇などのあの世的側面にも、そして現実のこの世的側面にも十分なご注意を――


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