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Chapter 002_親子喧嘩

林檎です。

本話、ちょっと短めです。


ご了承くださいましぇ~ ;)

「お母様のバカ!」


お昼の食堂に響いたのは

お母様っ子でしっかり者の次女リチアの叫び声だった…



「ベルナールさんが病気だったって無理させるなって知ってるじゃない!無理させるなって言ったのは自分じゃない!なのに何で!?何で、そんなコトさせるのよ!!」


リチアが…それも、お母様相手に…こんなにも感情的になり、声を上げるのは初めてだった。



「お、お姉ちゃん…」


お姉ちゃんの感情的な様子にビックリしたミーリアはリチアとフォニア。

その間で自分と同じようにオドオドしているベルナール。

厳しい眼差しで腕を組むお姉様。

そして、



「「…」」


唯一、この場を治めてくれるはずなのに…


(われ)(かん)せず


といった態度で、本を読みながらお菓子を食べたり

カウンターの小さな鉢植えに水を与えているマイペースな司書妖精たち



「・・・リチア。彼はもう、病人とは言えないわ。さっき診だ…」「でも病み上がりじゃない!!」

「・・・各船に治癒術師か薬草師が乗り込んでいる。緊急対応ならむしろ、艦隊に乗ったほうが安心よ。」「でも!」


声を荒げたリチアと違い

フォニアはあくまでユックリと。



「でも・・・なに?」


ゆっくりと…



「っ…」


リチアだって勿論、気付いていた。

月天使であるフォニアが彼の健康を気遣って

”いないハズが無い”コトを。

お母様は彼の味方であり、イジワルなんてするハズ無いコトを。


そして何より、お母様はいつも正しい…と、いうか、

()()()()()が正しさの基準で。間違っているのは

自分か誰かか、あるいは社会そのものだというコトを…



「…な、なんでも。ありま…せん…」


感情的になったコト。

尊敬する母に楯突いてしまったコト。

彼の前で、声を荒げてしまったコト…



「…。、。。」


悔しさと恐怖と恥ずかしさでいっぱいになったリチアは

瞳からハラハラと小粒の涙を零した



「お、お姉ちゃん」


その姿にハッとしたミーリアはリチアの涙を自分の頭で隠してから

腕を引き…



「落ち着くまで向こうに行こう。ね…?」


そう言って…



「…」


素直に従うリチアの手を引いて



「リ、リチアちゃん…」


ベルナールの前を、

リチアを隠すように気遣いながら…


彼にも、母にも

顔を合わせ無いまま

足早に食堂から出ていった…





















「・・・」


…母は。

そんな娘達の後ろ姿を追うことなく。


静かに。


リチアが淹れてくれたお茶を口に含み…



『カチャンッ』


…珍しく、大きな音を立てて

カップを置いた



「・・・・・・」


その音に自分でも驚いたのか…

カップを置いた自分の手を見つめ

長い睫毛を『パチパチ』させていたフォニアに



「…で?」


声をかけたのは…



「・・・う?」

「どれくらいの期間?ドコまで行くの?」


不機嫌そうな声で、腕を組んだままの

セルディアだった…



「それは・・・」


フォニアに聞いたのに、フォニアが答えるより先に



「まさか、聞いてないんじゃないでしょうね!?」


向きを変えて、



「うわっ!?」


ベルナールに詰め寄った。

その様子に…



「・・・んふふ・・・」


…フォニアは妖精だけが聴こえる囁きとともに

今度は音を立てずにカップを持ち上げ、



「どーなのよ!?」

「え、えぇと…」


助けを求めるベルナールの視線に

気付かぬフリをしながら、優雅にカップを傾けて…



「なに!?ドコに連れて行かれるかも分からないまま頷いたの!?」

「だ、だって。未踏りょ…」

「無計画で飛空船飛ばすわけないでしょバカ!だいたいの場所くらい”決まってるに決まってる”わよ!!」

「ソレは…」


娘の淹れてくれるお茶を、あと、何回飲めるかなぁ…

なんて、切ないことを考えながら



「というか、あんた、準備しなくていいの!?夕方出発でしょ!?」

「あ、あはは…」

「あはは じゃ、ない!ほら!サッサと準備なさい準備!!着替えに剣に…薬も忘れちゃ、メ!よ!!」

「わ、分かっ…」

「分かったらサッサと行く!ヘイ、ドゥ、ナウ、ハリー!!」

「うわぁ!?」


呆れ顔の司書妖精達の横で、笑顔で、

その様子を見守っていた…

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