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89.ユミとアベリア
世の中には、超がつくほどの優秀な人間やスーパースターと呼ばれる人間がいるが、ある意味、それらは規格外であり、我々凡人が標準であって、劣っている訳ではない。
サトルもユミもその道の専門家ではあるが、チート能力を持っている訳ではなかった。
神様も普通の人間が頑張って生きる世界を作ろうとはしていたのだろう。
俺はユミにアベリアを紹介した。
「彼女は占い師で薬師であるアベリアだ。」
「アベリアです。そんな薬師と呼べるほどではなく、たまたま処方箋をもってるだけです。」
そう言って、アベリアはユミに処方箋を見せた。
それを見たユミは、ちょっと見たあと、急にページをめくりだした。
「こ、これは・・・、文字は私の文字では有りませんが、内容は私の書いたものです。」
旧遺跡(最初の国)の品々はいくつか残っており、それは古代アーティファクトと呼ばれている。
そう言う意味では、この処方箋も古代アーティファクトだったのである。
ユミが王宮に献上して保管されていた物が、何らかの経緯をたどって、例の占い師に渡り、その複製品が全国の占い師に生き渡ったのだろう。
「私が知らないうちに、何十年かの間、この世の中のお役にたっていたのですね。」
ユミはまたしても泣きそうな顔になってしまった。




