88.サトルとユミ
まずは二人の日本人が自己紹介を始めた。
「私の名前はサトル。今(石化される前)から10年前に農業と畜産を広めて欲しいと神様に転送されました。」
サトルは日本で農作業中に、馬に蹴られて亡くなったらしい。
いつもは大人しい馬が、突然暴れ出し、今考えてもおかしな死に方だったらしい。
「私の名前はユミ。今(石化される前)から5年前に医療を広めて欲しいと転送されました。」
ユミは過労死ということだ。毎日、夕方になると、決まって急患が運ばれてきて家にも帰れなかったらしい。
(全く、雑な神様だ。)
俺はどうせあの神様が仕組んだ事だろうと、同情に堪えなかった。
「だから、私は死ぬ前の1ヶ月は家のベッドで寝てないんです。」
またベッドの話に戻ってしまった。
「分かりました。ユミさん。コンニャクベッドでよければ、直ぐに準備します。」
俺は二人の部屋にコンニャクベッドを作ってやり、コンニャクプリンを食べさせた。
「あでぃがとうごじゃいます。」
だいぶ憔悴していたのだろう。ユミが涙声でお礼を言った。
・・・・・
ユミさんの場合は父親、祖父、曾祖父と、男性は全て医者だったということだった。
したがって、メガネで観察した結果も、『医者スキルLV12』だった。
なお、守護スキルが高いと即座に実際のスキルが高いというだけでなく、そのスキルを習得しやすいという感じである。
それと言うのも、人間の多くは、充分なスキルを獲得する前に子供を産むことになるため、子供にそのスキルの遺伝子は組み込まれないのだ。
その点、芸事というのは子供のときから修業するため、代々、芸の遺伝子が組み込まれて行くのかも知れない。




