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69.絶望症候群
ゴブリン達を解散させたあと、俺とユーコは少し離れたところに移動し、ワイバーンのジェットを久しぶりに呼び出した。
「よお、ジェット、元気だっか?」
「・・・」
しかし、ジェットからは何の返事もなく、ジェットはずっと、身体をなめていた。
「あ、あそこ、円形脱毛症。」
ユーコが指差したところを見ると、確かにハゲが出来ていた。
「可哀想に、『絶望症候群』じゃ。わしがいながら、こんなことになってしまって、すまない。」
珍しくユーコが俺を責めずに謝った。
「元々、ギルドから受け取る守護獣は、捨てペットだったんじゃ。」
何でも、赤ん坊のときは可愛いのでペットにする人が多いが、だんだん大きくなるにつれて飼い切れなくなり、ペットを捨てる人が後を絶たないと言う。
しかし、赤ん坊のときから人間に育てられた獣は野生には戻れない。
ワイバーンだけでも、年間500頭ぐらいは殺処分されるらしい。
そこで、ギルドが何頭か預かって育てたうちの1頭が、『ジェット』と言うことだ。
「長い間呼ばれなったので、また捨てられると思ったのか、すまん、ジェット。」
「・・・」
俺も事の重大さに気付いて、ジェットに頭を下げたが、ジェットからの返事はなかった。




