57.家宝
その日はギルマスが手配してくれた宿屋に泊まり、翌日、次の王となるアレキサンダー家へと向かった。
「ようこそ、いらっしゃいました。ご案内いたします。」
執事にしたがって玄関を入ると、正面には大きな肖像画が飾ってあった。
「カール?」
ユーコがその絵を見て、呟いた。
執事は一瞬、怪訝な顔をしたが、その絵の説明を始めた。
「こちらが、アレキサンダー家の初代当主であり、この国の初代皇帝である『アレキサンダー・カール』様でございます。現在の当主であるヨッシー様はアレキサンダー家の15代目に当たられます。」
(こんな偶然もあるものだ・・・)
俺はそう思いながらユーコのほうを見てみると、ユーコは何も言わずに、ダイアモンド付きの首輪を触っていた。
・・・
ヨッシー公との対面は、いたってくだけた感じだった。
禅譲の知らせがあったものの、没落してしまっているため、頼りになりそうなものに声をかけているということだ。
それというのも、国の役人には国の予算から給料が出るが、王家には公領を与えられるものの、基本的に私財で生計を立てなければならない。
「ヨッシー、これ、返す。」
突然、ユーコが首輪を外して、ヨッシー公に渡した。ヨッシー公も最初は子供のオモチャかと思って、笑いながら受け取ったが、
「おっと・・」
その重さにビックリした。
「こ、これは・・・」
「ああ、ユーコの家の先祖はカール皇帝と関係があったそうだ。何かの予感がしたのか、カール皇帝から頂いたという家宝を身に付けてきたらしい。」
俺は話が面倒くさくならないように、咄嗟に作り話をした。
「な、そうだな。ユーコ。」
「そう。元々この家のもの。返す。」
ユーコも話を合わせて答えると、ヨッシーは涙を浮かべてユーコに感謝した。




