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メドゥーサの涙
神々の怒りに触れ、恐ろしい呪いを背負わされた存在――メドゥーサ。
その瞳を見た者は誰であれ、たちまち石と化す。
遥か遠く、アルテミス山脈にメドゥーサの巣があるという。
俺とユーコはさっさく旅立った。険しい道を越え、暗き洞窟をくぐり、ついにメドゥーサの住まう古代神殿へと辿り着いた。
メドゥーサはいた。だが、俺が想像したような怪物ではなかった。
蛇の髪を持ち、鋭い視線を宿しながらも、その顔には深い疲労と孤独があった。
「お前も私を倒しに来たのか」
低く、乾いた声。
「涙を少し頂戴したい。それだけだ」
メドゥーサは少し笑った。
「私の呪いは神々のもの。私自身でさえ、解けぬ。…涙ぐらいであれば好きに持って行くがよい。」
メドゥーサは鏡を取りだし、鏡の中の醜い自分を見つめ、涙を一筋だけ流した。
皆に恐れられたメドゥーサも、運命の犠牲者に過ぎなかった。




