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Galactic Coordinate 〜地球はどこでしょう?〜  作者: 十 円
ビフレストのその先へ
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卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵

卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵

卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵卵


そこにあるのは見渡す限りの卵!


そこは宇宙回廊から遠く離れた第五土星周回軌道上。

卵のサイズは小惑星ほど。

それが推定300,000,000個もある。

分厚い膜に包まれた細胞は、確かに生体反応を示し、星喰と識別された。

しかしそれ自体が襲ってくる訳でもなく、いまのところは変化もないので脅威はまったく感じない。


その為そのまま放置して、みんなの援護に向かったのだけれど、いつまでもこのままという訳にはいかないよね。


星喰の卵…

エネミー図鑑にも設定にも載ってない、この世界の誰も知らない未知の物体。

どれくらいの期間で孵るのか、どんな姿で孵るのか…

考えたところで答えはなく、ただ黙って時を過ごすなら、まずは何かをやってみよう!

という事で、一つ割ってみる事にした!

ちょっと怖いけど…

「マスターはやればできる子!」→「うん…」

卵の膜は意外と柔らかく、ブリュンヒルデのグラーネで突っつくとブヨブヨしている。

グラーネのグリップをグッとやってガッとやって変形させたビームソードで斬り裂くと、奇妙な液状の物質が溢れ出た!


『いや〜ん!!!』


それは液状の物質がビームソードに触れた瞬間でした。

もうね。目の前が真っ白ですわ。大爆発です。

お利口さんのブリュンヒルデは、こんな時でもこの物質の解析を始める。

結果は全てが謎…しかしソール恒星系には存在しない高エネルギー物質だと確認された。


この情報はブリュンヒルデからヘイムダルへ。

そして全世界へと伝わった。


喉元過ぎればなんとやら…

つい先ほどまで世界が終わると大騒ぎしていたのに、宇宙マンボウを倒した途端すぐこれだよ…


『卵を全部回収して!!』


それはすっかり社長の顔に戻った茜と、ヘイムダル機関長の梓の声。

確かにこれだけの数の未知のエネルギーとなれば、その価値は計り知れない。

ユグドラシルにしろ、三星重工にしろ、それぞれの研究機関は喉から手が出るほど欲しい代物だろう。


しかし、社長自らノリノリの三星重工はともかくとして、人類救済の為に第五地球で奔走したユグドラシルの徳川社長が何と言うか…


卵とはいえ、これは宇宙マンボウ!

万が一、回収の途中で孵化でもしたらどうするつもりだ?

それに安全に回収する為には、捕獲器を使用しなければならない!

集めた捕獲器は、残り半分ほど。

しかも捕獲器に収容できる対象はひとつだけなので、物理的に数が足りんのよ。

だから捕獲できる分は回収し、残りは全て破壊する!

それが正しい選択なのだよ。

分かったかね二人とも。

徳川社長もきっと同意見のはず!

ソール恒星系を代表する二大企業の社長ともなれば、自社の利益だけでなく、もっと大局を見てもらわなければ!

それに妹のわがままを嗜めるのも、お兄ちゃんの役割だからね!

「ちょっと待ってて!」

梓とお兄ちゃんとの数分の話し合いの後、第五地球政府より正式に卵すべてを回収する緊急クエストが発行され、回収にはユグドラシルと三星重工の回収班が対応する事が決定された。


お兄ちゃん…


でも…何で第五地球政府からなん?

この未知のエネルギーがもたらす恩恵や利益は、人類みんなで共有すべきもの。

でも、そうはならない。

この世界にも平等はなく、力のある者だけが全てを独占する。

そして、富める者はますます富、貧しい者はますます貧しくなる。


資本主義は資本による支配体制だ。

資本を持つ者は支配者であり、資本を持たない者から搾取する。


第五火星の人々が人間と認められても、それは決して這い上がれない最下層から…


まあ、金持ちが悪いという訳ではないけれど、せめてチャンスだけは平等じゃないとね。


「グダグダやってないで早く準備しなさいよ!この穀潰しが!」


言葉のご褒美ありがとうございます!茜さま!


ヽ(# ゜Д゜) ノ┏┘∑( ノ´Д`)ノ


なんだこれ?


ユグドラシルと三星重工からやって来た卵回収班は、捕獲器不足の解決策を用意していた。

それはニャモと梓の合体魔法《こんな事もあろうかと!》によって生み出された超巨大特殊コンテナ。

バトルドールでも持ち運べるくらいの大きさの折りたたみ式のコンテナは、壁面すべてがエネルギーフィールドで出来ており、展開すると第五火星もスッポリ収まるほどの大きさになる。

相変わらず仕組みは良く分からんが、コストも安く造りも簡単なこのコンテナを、回収班は大量生産して持ち込んでいた。

エネルギーフィールドに卵が触れて爆発しないか心配したが中身が触れなければ問題ないようで、回収班がせっせと運んでキッチキチに詰められたコンテナは、ギルド艦が発射した捕獲器に見事収まった。


確かにこれなら全て回収できそうだ。

「でもこれ…何キッカケでいつ作ったの?どうしてこんなに都合良く、こんなタイミングで出てくるの?こんなのまるで…」

「うるさい!黙るニャ!」

「…。」


そこに補給と修復を終えた宇宙軍艦隊が、回収班の護衛の為に合流した。

多くの戦艦やバトルドールを失いながらも、この世界を守る事が出来た喜びで、宇宙軍兵士たちも浮かれている。


ちなみに浮かれているのは、ここだけじゃない。

いま須弥山では、宇宙マンボウから出現した謎のコロニーの調査を行う為、ユグドラシルから派遣された調査班の指揮のもと、嬉々として準備が進められている。

コロニーの牽引には宇宙軍の巨大戦艦大日如来と阿閦如来があたっているので、護衛の為の戦力は低下してしまっているが、これだけ士気が高まっていれば問題ないだろう。

それに今回は、宇宙マンボウの成体も捕獲に成功している。

これにより宇宙マンボウの生態が解明されれば、星喰の脅威から解放される日が来るかも知れない。


これまで誰も経験した事のないような熱気が、ソール恒星系全体を包んでいる。

世界中の人々の関心は、いまや全てこちらに向いてしまい、第五火星の人々の声や冒険者の彼女たちの想いは、もう誰の心にも届かない。


この世界が初めて経験する熱狂で、この世界が初めて経験した戦争が忘れられていく。

それはまるで何ものかの意志によって、わざと隠蔽されるかのように…


ずっと疑問だった。

なぜこのタイミングで宇宙マンボウが現れたのか。

なぜこんな未知のエネルギーや、謎のコロニーが現れたのか。

これまでの出来事は全て、誰かが事前に用意した、シナリオ通りに進んでいるだけなのではないか…

俺たちの起した行動も、実はほんの少しだけシナリオからずれただけで、簡単に修正できてしまうものなのかも知れない。

でもこのままじゃ終われない。

このまま無かった事になんかさせてたまるか!


「何やってんの!そこに居たって邪魔なんだから、あんた達はさっさとこっちに戻って来なさい!」

第五フォボスから届いた茜の声は、またいつもの感じに戻っていた。

「まだ終わりじゃない。私たちは、私たちの力で、誰にも邪魔をさせない自由を勝ち取るんだから。」


うん。


エインヘリアル艦隊が集めた捕獲器は回収班へ渡し、ラグナロクとエインヘリアルの両艦隊は、再び第五火星宙域へと移動を開始した。


\\\\ε٩(๑ÒωÓ๑)۶з////


ラグナロク艦隊とエインヘリアル艦隊は、再び第五フォボスを挟むように展開する。

ヘイムダルのブリッジに置かれた椅子に座り、モニターに映し出されたその光景を眺めていると、ちびっこマティーニが声を掛けてきた。

「またエインヘリアルに戻るんですか?」

気がつけば、みんなブリッジに集まっていて、俺のことをチラ見しながら何か言いたげだ。

「いいや。もうその必要はないよ。」

俺はちびっこマティーニを膝に乗せ、みんなにも聞こえるようにそう答えた。

「だったら、もう私たちが戦う必要はないじゃないですか!私たちが何をされたにしても、マスターさえ無事なら、私たちの目的は果たされたんですから。」

マティーニは彼らの事も、第五火星の人々の事も知っている。

短い間だったけど、直接触れて、直接話して…

だからもう嫌なんだよね。


「みんなはもう何もしなくて良いよ。みんなも疲れているだろうし、これ以上やったらケガだけじゃ済まなくなっちゃうからね。」


「マスター!終わったニャ!」

「ご苦労様。」

マティーニを膝から降ろし立ち上がる。

そしてみんなに告げたのは、これからのこと。


これから始めるのは、ラグナロクとエインヘリアル双方の代表者による一騎討ち。

その為に、ニャモには卵の爆発で傷ついたブリュンヒルデを直してもらっていた。


「マスターが行く必要はないじゃないですか!」

しがみついてくるマティーニを、みんなも同じ想いで見つめている。

俺は腰を落としマティーニの頭を撫でた。

「俺はラグナロクの…みんなのギルドマスターだもん。だから俺がやらなきゃね!」


「大丈夫よ!危なくなったら、私が止めるから!」

ヘイムダルを脱退し、今度は中立の立場からこちらを見ていた飯綱から通信が入る。

飯綱には先にエインヘリアル艦隊に向かってもらい、準備をしてもらっていた。


モニターに映し出された荼枳尼天の隣には、エインヘリアル代表の酒呑童子。


「あとを頼むねミルフィーユ。」

こちらを見ようとしないミルフィーユは、ただ黙ってうなづいた。


これでこの茶番劇も終わる。

あとは…彼との約束を果たすだけ。


(*`д´)ゞビシッ!


ブリュンヒルデのコクピットやギルド艦のモニターには、荼枳尼天から送られてくるカウントダウンが映し出される。


酒呑童子が手にしているのは、これまでずっと彼と一緒にこの星を守ってきた、ボロボロの両手斧がひとつだけ。

センサーのほとんどは機能せず、今の彼にはもうこれくらいしか使えない。

しかし博物館の展示物のような酒呑童子も、最新鋭機のブリュンヒルデと同じ最高ランクのLG級。

そしてたった一人で第五火星を守ってきたプライドが彼の身体を支えている。


STARTの表示と共に放たれたグラーネの攻撃を、紙一重で次々と躱す酒呑童子は、あっという間に間を詰める。

酒呑童子が振り下ろす両手斧は、グラーネのビームソードで受け止められ、ブリュンヒルデは酒呑童子を蹴り飛ばす。


全ての想いを込めた両者の攻撃は拮抗する。

だが繰り返される攻撃に、酒呑童子の身体は耐えられず、徐々に均衡は崩れ始めた。


ブリュンヒルデが振り下ろしたビームソードが、酒呑童子の右腕を切り落とす。

そして剣先を酒呑童子の首元に当てた瞬間…


それは起こった。


酒呑童子の身体を一筋の光が貫き、酒呑童子の胸から下を消滅させる。

それは第五火星周辺に漂う残骸に潜んでいた、須弥山防衛用のバトルドール持国天から放たれたビーム砲。


そして持国天は第五火星に向かって、何かを発射する。


…忘れてた…


持国天はブリュンヒルデのグラーネと、荼枳尼天の管狐に撃ち抜かれ破壊される中、発射したそれから現れた巨大な星に、核ミサイルを撃ち込む。


…なぜ回収しなかった…


それは核ミサイルの爆発で、さらに落下速度を増した第五ダイモス。


『止めろ!!』

一瞬の出来事に動けないでいた両艦隊は、白瀬の声で砲撃を開始する。

ラグナロク艦隊では鈴鹿姫が第五ダイモスの自爆を指示したが、返ってきた答えは…

起爆しない…

持国天が何かしたのか、それとも故障か。

理由は分からないが、遠隔操作で起爆できないのなら、残された手は直接起爆コードを打ち込むしかない。


私がやる。

全ての責任は私にある。


鈴鹿姫は不動明王の艦長職を副長に託し、自身のバトルドールで出撃したのだが…

艦隊の砲撃をかいくぐり、第五ダイモスへと突き進む鈴鹿姫のバトルドールの背中に蹴りが入る。

「危ないから下がってなさい!」

ブリュンヒルデにスラスターを壊された鈴鹿姫は、ブリュンヒルデへ向けて泣きながら銃を乱射する。


マスターの馬鹿野郎ー!


ハッキングにより起爆コードを入手した白瀬は、第五ダイモスに突入する。

そこは人間の欲と悪意に満ちた空間。

こんなものを第五火星に落とす訳にはいかない。

全てはここで終わらせないと…


起爆コードを入力しカウントダウンが進む中、ブリュンヒルデに戻った白瀬はコクピットの中で身体を丸くする。

あとは俺のイメージ次第…

ブリュンヒルデは膝を抱えて丸くなり、光の翼が幾重にも重なって包み込む。


第五ダイモスは中心からの爆発で大きく砕け、その破片は艦隊の砲撃により更に細かくされていく。

『マスターーーーー!!!』


《(」;∀;)」無事で〜すぅ!怖かった…》


だいぶ予定とは変わってしまったね。

第五火星を見つめるように漂う酒呑童子は、もう動かない。

酒呑童子を襲った持国天も、拠点防衛用の特殊ユニット金鎖甲と共に消滅した。


自らの意志で第五火星の人々を守った酒呑童子も、自らの使命を忠実に守った持国天も、どちらも人間が作り出したもの。

人間の持つ善意も悪意も、ちょっとしたきっかけで簡単にその姿を変えてしまう。

昨日までの考えが、今日変わったとしても、明日はどうなるか分からない。


だから忘れないように、人々の記憶に刻むんだ。

この光景を…

そしてそれでも生まれる悪意、不安や不満をぶつける為の存在を作ってやろう。


それでみんなが笑って暮らせるのなら…


第五火星を見つめたままの酒呑童子は、ブリュンヒルデが放ったグラーネの一撃により、完全に消滅した。


なんとか4月中にもう1本投稿できました。

世の中はゴールデンウィークですね…


私には関係なし!休みなし!

果たして代休は貰えるのでしょうか…

(´・ω・`)


未消化な代休がたっぷりの十でした。

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