ブロッコリーは木材
昼時。学生を主として、〔教師〕や〔裏論〕研究の職員、〔論害〕に破壊された校舎の補修作業に従事する、建設系〔企業群〕の作業着姿が賑わう〔裏飯屋〕にて。
「こんにゃことをして、私の機嫌をとっているつもりにゃにょか?私はお前がこの3日の間、教室にも現れず、〔模擬論戦〕の観戦にもこにゃかったせいで、ずっっっっっっっっっっっと!飲まず食わずで過ごしにゃんだぞ!?」
一虎は先ほど声をかけてきた、ウェービーな金髪を陽光に揺らす〔拘束衣〕の女。今は左隣の席に座って少年の手による餌付けを受けるアイン・シュバルツにそう言われ、
「結局一番大事なのは、〔竹叢が〕天出雲に勝つってことだ。だが、ただ勝つだけじゃダメだ。俺はその過程で、〔反咲工房〕をアピールしたい。今回の場合は、〔裏論武装〕である赫夜の凄さをな。そうなると、一番印象に残るトドメの一撃は、竹叢の手によるものがいい」
右向かいの席に座る反咲柳児にそう言われ、
「イッコ!イッコ!そのニンジンちょうだい!?」
右隣の席に座る赫夜にそう言われ、
「ソウナルト、〔抜刀〕タル赫夜様ヲ活カス攻撃、ツマリ、抜キ撃チニヨル高速ノ斬撃、〔抜刀術〕デ、トドメノ一撃ヲ狙ウ。トイウノガ最前カト思ワレマス」
左向かいの席に座る桧王にそう言われた。
だから、
「ちょ!?聖徳太子も真っ青だよ!?そんないっぺんに来られても答えられないから!」
一虎はそう叫んでみんなを一度黙らせた。
そして少年は、
「えっとまずアイン先生!なんかすいません僕も色々考えたいことがあって!桧王に提案された〔計画〕をどうするか悩んでて!すいません!次に反咲くんと桧王!確かにこの計画には〔反咲工房〕のアピールが不可欠、っていうかそれがないと反咲くんは協力してくれなかったわけだけど、僕はそもそも〔抜刀術〕なんて使えないよ!?最後に赫夜!ニンジン欲しいならその脇に避けてるブロッコリーを先に食べてから!いい!?」
と、一息に全てに答えた。
一瞬の間が空き、一虎の言葉がそれぞれに浸透したと同時、
「クソ!じゃあどうすんだよ!?俺はてっきり少しは心得があるから形状を刀に指定したもんだと思ってたのに!誰かに訓練してもらうにも、実戦に耐えうる〔抜刀術〕は〔剣術系〕の中でも特殊だからそうそう使い手もいねぇぞ?じゃあアレだ、この間桧王の右腕ぶっ壊した〔傀儡正拳〕撃つか?」
「やだやだあ!ボロッコリなんて木材だもん!木材は食べ物じゃないんだもん!ねえねえ!アイちゃん木材食べる!?」
「アノ技ハ、全身ヲ〔裏素材〕タル〔金剛ヒノキ〕ニヨッテ作ラレ、元来カナリ丈夫ニ出来テイルワタクシガ、〔自己保存〕ヲ優先シテ身体強度ヲ高メナケレバ、自壊シカネナイ威力デス。竹叢様ノ体ハ、五体満足デイラレマスデショウカ?」
と、柳児と赫夜、桧王が一斉に話を再開し、一虎は「だあああもうだからいっぺんになんか僕ダメでごめんなさいいいいい!」と頭を抱えた。
そんな混乱の中で、
「〔抜刀術〕を学びたいにょか?にゃらば、私が教えてやってもいいにゃ?」
「「・・・え?」」
猫語のアイン・シュバルツ仮名が、一虎と柳児に、口をモニャモニャさせながらそう言った。




