ヤツのいにょちはにゃいにゃろうにゃ!
5品もの定食を前にして、それらをモグモグ咀嚼するアイン・シュバルツは一虎に言った。
「そみょそみょ私は、鎌足縁に頼まれてここに来たにょだ!」
「あ、はあ」
「だというにょにだ!んぐ!だというのにだ!あむ!私にょ〔裏論武装〕、ちょうど今みょ着ている、超重量ゆえにスピード皆無。しかし〔銃士〕垂涎の一品。〔コピーによる弾丸の補給〕と〔重層論理障壁〕を展開できる〔裏地鉄板〕に、〔拘束機能〕を付加するにゃんて!んぐ!確かに私は囚人だし、必要なのだろうが、わざわざ私のお気に入りの名品に付ける必要はなかっただろう!?あむ!」
「あ、はあ」
生返事をした一虎を気にもとめず、アインは続ける。
「さらにヤツは何と言ったと思う!?んぐ!ゴックゴック!ぷひゃっ!あむ!私は両腕両脚にゃどの身体の自由を奪われ、食事もままにゃらにゃくにゃった!そんにゃ私に対しヤツは、〔じゃあ生徒に食べさせてもらってください〕にゃどと!ヤツ自身によって凶悪犯罪者と触込みゃれた私に、誰が近づくもにょか!犬食いにゃどは、もってにょ他だしにゃ!んぐ!」
「それで、僕に食事の世話をしてくれと?」
一虎は言ってから、白米を呑みこんだアインに、さらに茶碗からもう一口を箸で運ぶ。一口大に切られた生姜焼きの一切れを続けて運ぶのも忘れない。するとアインは、口中に広がるその味に頬をやや赤く染め、うっとりと目を細めてから言った。
「こにょ、奴によって改造された〔裏地鉄板〕たる〔拘束衣〕を着てから三日、何も食べていなかったものでにゃ!食事を断たれた状況を想定した訓練も受けていたにょだが、視界は定まらにゃいし、立っているだけでふにゃつくし、参ったにゃ!だがにゃ!もしこれ以上何かいらにゅもにょを付けようもにょにゃら、ヤツにょ命はにゃいにゃろうにゃ!」
「あ、はあ」
『とりあえず後半何言ってるかわかりませんけど、これ以上なにか付けていいなら、なんか猫耳のカチューシャとか似合うと思います先生』
一虎は相当鎌足に対して〔裏力〕を溜めていたらしいアインの頬に付いた米粒をとりながらそう思い、〔にゃんこ教師〕へ苦笑して見せた。
だが、
「・・・一虎さん、何でここにいるんでしたっけ~?」
一虎は少し離れた位置からそう言われ、ビクリとその背を震わせた。引きつった笑みを浮かべながら振り返った先には、不機嫌そうに頬杖をついた赫夜の姿。彼女は冷ややかな横目で一虎を見、さらに言った。
「なんかさっきまで深刻な顔してたから心配してたのに、とっても楽しそうですね~?」
「い、いや!別に楽しいわけでは・・・」
「そうですか~?〔内心餌付け出来て嬉しいけど表面しょうがないなぁ感〕が出てますけど~?」
「や、その・・・」
一虎は今までにない赫夜の敵意に、
『だって意外だったんだよ!さっきまで僕を殺そうとしてた人が撃って変わって〔にゃんにゃん〕て!先生だけど18歳だし、このギャップと親近感は仕方ないじゃないかあああああ!』
と、汗をダラダラ流しながら思った。
しかし、
「もう一口」
そう催促し、3日ぶりの食事を雛鳥のように口を開けて待つアインに、一虎が逆らえるはずもなかった。
その上、
「「あ」」
赫夜の敵意に震えた一虎の手元が狂い、米粒が落ちた。そこは、18歳の少女でもあるアインの身体の一部、〔拘束衣〕を内側からこれでもかと押し上げる部分。双丘。翡翠色の瞳が一虎の瞳と眼鏡越しに出会い、パチクリと瞬く。
そして、
「・・・仕方ない」
アインがそう言って、少しばかり頬に赤みを奔らせる。次いで椅子に深く身を沈めて、拘束された両腕に挟まれた胸、米粒の付いた男殺しの凶器がバインと強調される。
彼女の意図を悟って狼狽えた一虎は、
「でもでもいやあのこれだって赫夜に頼んでそうだそれがいいそうしましょうね!?ね!?」
などと早口でまくしたてた。
しかし、
「君には、一飯の恩がある・・・その、だから、少しくらいなら・・・」
アインはそう言って一虎を、羞恥に潤んだ瞳で見つめ、胸の米を取るように促した。同時に一虎の背後から、アインとは対照的に冷え切った視線が注がれる。
一虎は自分の状況を思った。
『ジレンマ?おお、ディレンマ!?』
瞬間、窮地の一虎を救う音が、食堂の入り口扉から響いた。




