ホンキのイッコ
彼女は振り向いた一虎に、言った。
「・・・私、赫夜を守るため、参加した・・・一虎は、戦うため、参加した」
「ぼ、僕は・・・」
『た、確かに僕は、自分の〔意志〕でこの交流に参加した、けど』
責めるような深夜の瞳に硬直し、一虎は身動きが取れなくなる。そんな一虎に、なぜか深夜が戸惑ったような表情を浮かべて聞いた。
「・・・どうして、戦わない?」
「え、っと、だって僕・・・」
うまく答えられない一虎に、深夜が、
「・・・だって、一虎は、本気の一虎は・・・とっても」
揺れる蒼い瞳で見つめて、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とっても・・・・・・・強、い?」
「え・・・?」
確認するように、そう言った。
その瞬間、一虎の中で、これまで彼女の言動に感じてきた違和感が繋がった。
蘇る、彼女の言葉。
柳児と深夜が一悶着起こした時、飛来する荷物を喰らいまくった彼女は一虎に問うた。
〔どうして避けないのか〕、と。
食堂で〔あ~ん〕をしてくれた時、一彼女は一虎に言った。
〔一虎は強者。侍と呼ばれた母さんのジン核、その貸与者〕、と。
そして、今。
〔本気の一虎は、強い?〕
一虎は、悟った。
この違和感の正体を。
彼女の勘違いが何なのかを。
つまり、
「僕、は・・・」
しかし、一虎が応えようとした、矢先。
「一虎さん!」
切羽詰まった赫夜の声で、一虎は戸惑う深夜から剥がすように視線を動かすと、映像の中の光景を見た。
瞬間、
ド!
柳児と右腕を失った桧王が同時に撃たれ、吹き飛んだ。
「ふむ。やはり〔ハン核兵器〕か。〔裏力〕が切れかけているとはいえ、〔裏論武装〕が常時展開する〔論裏障壁〕を破るには、出力が低すぎる」
アインは、柳児と、彼を庇おうと飛び出した隻腕の桧王の両者を無造作に撃った〔教師〕は、ぼんやりと〔早撃〕で自壊した拳銃を見つめ、捨てた。そして胴を撃たれ、苦痛に呻く柳児と、衝撃に揺らいでいる桧王に近づき、言った。
「まあ、数撃ちゃ死ねる。だろう?」
そう言って新たに取り出した拳銃を二人に向け、引き金に指をかける。
そして、
「手間が省けて何よりだ。自殺志願者B」
そのぼんやりとした翡翠色の瞳を、苦労丸の黒い膜から出てきた一虎に向けた。




