表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/112

超過出力状態

「いやあ、これはまずいですねえ」



 鎌足のその言葉に、一虎は思わず叫んでいた。



「あ、あの!早く助けないと!あれじゃアイン先生が!」



 だが、その叫びに答えたのは、別の人物だった。



「・・・違う」

「え?」



 彼女、なぜだか不機嫌そうな気配を漂わせる深夜に向けて、一虎は振り向く。すると今度は彼女の側にいた赫夜が口を開いた。



「ええ、違います。まずいのは、柳児さんのほうです」

「へ?」



 1人事態を掴めず、一虎はオロオロと視線をさまよわせる。すると、再びぶっきらぼうな口調で深夜が言った。



「・・・あんな強い〔裏論〕使う。反咲柳児、もう〔裏力(ストレス)〕が限界」

「あ・・・」



 一虎は、反射的に映像に目を戻す。そこには、



「く、そ・・・」



 息を切らし、肩を揺らす、柳児の姿があった。それは〔裏力〕を〔発散〕する際の精神的・肉体的疲労を示しており、さらには、



「そう、か。幾ら挑発されたことで一時的に〔裏論〕の〔出力〕、〔裏口径(うらこうけい)〕が広がって、〔超過出力状態(ストレス・フル)〕になってたとしても、こんなに強力な〔裏論〕を展開したら・・・」

「ええ。2種類ある〔裏力(ストレス)〕のうち、今の攻撃で、反咲くんは〔揺さぶり〕によって発生した突発的な感情の揺らぎ、目の前の事象から瞬間的に生まれる〔突発的裏力(バースト・ストレス)〕を使った。ですがそれに引っ張られて、〔精シン世界〕の〔器〕に溜まっているもう1つの〔裏力(ストレス)〕、日々の生体活動の中で蓄積される〔慢性的裏力(カロニック・ストレス)〕も放たれたでしょう」



 しかも、と言い置いて、鎌足は言った。



「そもそも反咲くんは、竹叢くんとは全く逆の体質です。1度に展開出来る〔裏論〕の〔出力〕、〔裏口径〕が大きい。つまり、1度に〔発散〕出来る〔裏力(ストレス)〕の量が多いのです。しかしそれは、普段から〔裏力(ストレス)〕を行動や言動の中で〔発散〕してしまう性格を示している。要するに、〔慢性的裏力(カロニック・ストレス)〕を溜める〔器〕が小さいことをも意味しています」

「と、いうことは・・・」

「もう彼の〔器〕には、ほとんど〔裏力(ストレス)〕が残っていないでしょう」

「・・・〔論戦(ディベート)〕で、我を忘れる。致命的」



 深夜が会話締めくくり、一虎は戦慄に身を強張らせる。さらには、倒壊し、煙るビル群から現れた人影に、少年は恐怖した。



「これだけ強力な〔裏論〕を撃てるとはな。そうするように誘導しておいてなんだが、少々効いたぞ。だがもうお前の〔器〕には、欠片の〔裏力(ストレス)〕も残っていないだろう。〔裏力〕を発散出来て、さぞ気持ちよかっただろうな?」



 人影、灰色の煤だらけになったアインが、ゆっくりと瓦礫から身を起こし、柳児に歩を進める光景。冷や汗が一虎の背を流れ、しかし〔発散〕に並行して発生する疲労に蝕まれた柳児は、かの脅威を睨むことしか出来ない。



『ま、ずい』



 そして、そう思った一虎は聞いた。



「・・・いい加減に、して」

「え・・・?」



 苛立ちを隠そうともせず、元々悪い目つきをまっすぐに一虎に向ける深夜の声を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ