アイアン・ウルフ
それは、
「おつかれさんです~」
そう言って1年7組の生徒と引率する鎌足に近づいてきた2人の男と、彼らの胸の高さほどしかない小柄な女。街路樹の並ぶレンガ敷きの小路で、市街戦仕様の白っぽい戦闘用迷彩服に統一された屈強な男2人が立ちはだかる。
そして、
「アナタ方は?」
と問いかけた鎌足に、小柄な女、屈強な男達に挟まれて一際異彩を放つ、長い灰色のツインテールを揺らす人物が言った。
「美作・裏野担当官の依頼を受け~、本日着任致しました~。〔企業群〕所属・民間軍事企業・〔アイアン・ウルフ〕の鋼坂少尉であります~」
灰色のツインテールは語尾を伸ばした気だるい調子で、鋼坂と名乗る。地面に着くほど長い服の袖を引きずるように手を振り、改造された都市迷彩仕様の戦闘服に包まれた細すぎる体躯を左右に揺らして、女はヘラリと灰色の瞳を笑みに歪ませる。そのまま笑っていない笑顔で鋼坂と名乗る女は鎌足に近づくと、無暗に長い袖を垂らしながら左手を伸ばす。そこには灰色を基調とした3次元ディスプレイが握られており、それは女の操作で空間に映像を投影した。
「おはようございます、鎌足全学年主任」
そう言って、映像の肉体を鎌足の前に姿を現した金髪オールバックの男に、一虎は見覚えがあった。それの名を、微笑の鎌足が小首を傾げて言った。
「〔政府団〕所属、裏野高校担当官、美作さんですか」
応じて、清潔感のある青いスーツに白シャツ、赤いタイを着用した美作がニタリと笑う。
「覚えていていただいて光栄です。本日は、とある用件でお伺いしました。申し訳ないのですが、私と正々堂々お話を・・・」
しかし、美作が最後まで言い切る前に、
「なるほど」
鎌足が、それを無視して言葉を挟む。ペースを乱されて一瞬の間を作ってしまう美作。それを対峙した男は見逃さなかった。




