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不安

「や、やっぱり、どこかおかしいですか!?制服は深夜さんのものを借りたんですけど、やっぱりどこか違いますか!?どこがおかしいですか!?やっぱり下着はちゃんと着けたほうがいいんでしょうか!?でもでも今日初めてこの姿になったから用意が無くて!ああでもでも深夜さんのだと胸がキツくて!私、私どうしたらいいんでしょうか!?」



 不安な声を出し、さらには爆弾発言をしながら、四つん這いになった赫夜が一虎にズイッと顔を寄せる。

 途端、一虎の心臓が少女の醸す可憐なシャンプーの香りに早鐘を打つ。意識しまいとしても、男の性が否応なく一虎の視線を動かす。必死の色を宿して、うっすらと濡れた真紅の瞳。引き結ばれた、健康的な艶を放つ桃色の唇。そして、少し大きく開かれた白いシャツの胸元を見て『結構大きいんですねそして着てないんですよね下着けしからんですね!?』と内心でツッコんだ一虎は我に返り。



「かかかか赫夜!?あのもう少し離れてくれないかなその僕〔女の子〕にこんな近い距離に来られたことなくてだってこのままじゃバッキバキだもんだってそりゃねえバッキバキだもん男の子だもんそれはヤバいからけしからんからうんんんんんんんんんん!」

「え・・・?私、ちゃんと、〔女の子〕、ですか?」

「うんだからホラ、ね!?〔僕の化身〕がスタンディング・オウ・イエーイする前に少し離れてくれないかなゴメン悪気はないんだ別に赫夜が嫌いなわけじゃないんだけど男には色々!」

「あ、あ、すみません!」



 やっとのことで体を離してくれた赫夜から目を逸らし、一虎は自分の脚に小さくなって座る少女、そのほんの少し手前にあるモノが〔スタンディング・オウ・イエーイ!〕しそうになるのを必死の過呼吸(ヒッヒッフー)で抑える。するとそこへ、申し訳なさそうな少女の声。



「すみません。わ、私、〔化身化〕したのはこれが初めてで。〔裏論〕とか、戦闘関係の知識は沢山あるんですけど、〔人間〕の常識とか疎くて。その、男性の色々は、知らなくて。〔成長〕したこの姿なら、子供形態の時より、裏性(りせい)で本能的な行動も感情も抑えられるんですけど、でもその・・・どうしても、確認したくて」



 今にも泣きだしそうな赫夜の深紅の瞳を見て、一虎にゆっくりと冷静さが戻る。同時に一虎の乾いた口が、沸いた疑問を口にする。



「ちゃんと〔人間(ひと)〕に見えるかを、そんなに確認したかったの?あ、もしかしてそれでこの〔時環帯〕、裏性(りせい)の働く時に、僕の所へ?」



 赫夜が俯けた顔を小さく頷かせ、呟く。



「自分で、選んだんです。〔人間〕として、生きてみたいって・・・でも、大和さんや〔兄妹達〕から離れたことなくて・・・」

『〔人間〕として、生きてみたい・・・』



 赫夜のその言葉が、一虎の心の深い部分に差し込まれる。そして同時に蘇る、昼間の柳児の言葉。つまり赫夜のその願いは、昼間の柳児の言葉を引用すると、彼女の本体たる〔ジン核〕に〔再武装化〕と〔化身化〕という過負荷をかけてまで成し遂げたいものだったのだ。

 しかし、その願いが叶った瞬間、赫夜を襲うものがあった。

 それは、



「・・・つまり、不安、だったの?〔再武装化〕されて、初めて〔化身化〕して、〔人間(ひと)〕の姿で出歩いて?」



 一虎の問いに、コクンと肯定の頷きを返して、赫夜は言った。



「〔ジン核〕って、元々1つの〔論派〕しか知らない未熟な魂っていうのは、知ってますよね?」

「うん。ついさっき本で読んだし、昼間反咲くんと桧王も言ってたしね」



 一虎が、示すように薄っぺらい参考書を赫夜に見せる。意を得た赫夜が、続けて言った。



「じゃあ、使い手と〔ジン核〕が同じ〔論派〕なのは、〔共感状態〕を作るためだっていうのも、大丈夫ですね。つまり・・・」



 話を続けようとした赫夜に、一虎は慌てて叫ぶ。



「ゴメンそこまではわかんないかな!教えてくれる!?」



 一瞬キョトンとした赫夜は、すぐにクスリと微笑んで頷いた。


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