嫌いじゃけえねええええっ!?
「・・・ワシ鎌ちゃん嫌い・・・・・鎌ちゃんのそういうとこ嫌いじゃけえねええええっ!?」
長い沈黙を経て汚野が放った罵声は、小学生以下のレベルだった。
だが、そこには触れずに鎌足は言う。
「ありがとうございます。では、1つだけ言っておきましょうか」
「何この子、嫌われんの好きなん?なんかそういう気があるん?でも聞きたいワシがいる。だってあんな〔戦力〕、周辺一帯〔論害〕の〔巣〕だらけの裏野の校長として、見過ごせんもん。大分生徒も増えてきた昨今、それは見逃せんもん」
「そのことですが、ザユトウトスは、〔絶対に生徒を守ることはしません〕」
「んん!?」
「むしろ、アレは〔次世代〕を憎んですらいる。だから私と馬が合い、だからさっきの演技の憎悪だけは本物で、だからこそ〔戦力〕にはなりません」
「は?なんじゃそら?」
「それ以上は、秘密です」
「何それ?ちょ、もうちょっとええじゃろ~!?なんで!?なんであの骨、〔絶対に生徒を守りゃせんの〕!?のう!?の~う!?」
喚く汚野を無視して、鎌足は左腕に巻いた今時骨董品に近い〔腕時計〕を見る。すると図ったように、執務机の背後の床が開き、中から3人の人影がエレベーターに押し上げられて現れる。鎌足と汚野が、振り返り、時計から目を上げた男が作り物めいた笑みを浮かべて言った。
「そうそう。これから校長には、予定している〔模擬論戦〕、その決勝日まで、また〔遠征〕に出て頂くわけですが、その前にちょっと紹介したい方がいましてね」
「いや、もう勝手に入室しとるし、また勝手に許可出した?それにのう、鎌ちゃん?」
「はい?」
「なんか、〔監獄〕の〔監獄官〕が2人いる気がするんだけど?ねえ、ワシ、サングラスとったほうがいい?なんかワシ、老眼?ワシ、ローガン?」
「いいえ。アナタはとても汚ならしい野原と書いて、とても汚野です。それに、サングラスをとっても現実は変わりませんよ?ちなみに紹介したい方は、彼ら〔監獄官〕の間にいます」
「・・・もおおおおおお嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ~」
笑みを浮かべる苛烈な教育者と、駄々をこねる不良でお茶目な校長を、夕日の残照は無言で照らした。




