基本と特性
すると、
「おいおい。〔外部保護殻〕もそうだったが、〔内部保護殻〕もいやに分厚いな。それにこの、出力にかかった3つの使用制限項目は何だ?元々の形態である〔大太刀〕から、〔抜刀術〕に向いた〔抜刀〕の形態へ〔再武装化〕されたのに合わせたのか?」
「ええっと・・・?」
柳児の疑問に答えられず、一虎は意味のない言葉を零す。それには構わず、赤い単眼をしきりに動かして柳児が赫夜の内部に潜っていく。
「1日3回しか刀を抜けない〔抜刀回数制限〕に、最大出力を出すには〔特定の型〕の使用を強要する〔特定型解放仕様〕?その上で任意に設定された〔時環帯制限〕だと?なんだよ、これは。確かに制限が多ければ、〔裏論〕展開時に生じる赫夜の負担は減るかもしれないが、こんな制限ばかりで、まともに〔特性能力〕が使えるのか?」
「あ、あの・・・?」
今度は柳児の話す内容についていけず、一虎がおずおずとそう聞いた。
だから、
「桧王」
「ハイ。一虎様ハ、〔裏論〕ト〔裏論武装〕ニツイテ、ドノ程度ゴ存知デショウカ?」
「え?え~っと」
一虎は、少ない知識をなんとかまとめ、問う桧王に答える。
「えっと、〔裏論〕っていうのは、まず人間の〔裏力〕を〔ジン核〕によって抽出して、そのエネルギーを変換して生み出される様々な現象のこと、だよね?で、〔裏論武装〕は、それらの現象や超常現象を、戦闘で使えるように調整した超兵器、かな?」
一虎の探り探りの言葉に、柳児の頭の上で桧王が赤い単眼を光らせて言った。
「ソノ通リデス。チナミニ、〔裏論武装〕装備時ニ付与サレル、2ツノ基本恒常能力ハゴ存知デスカ?」
「基本恒常能力っていうと、どの〔裏論武装〕にも付いてて、装備中は基本的に常に発生する能力ってことだよね?え、っと・・・」
一虎はわずか考えて、言った。
「1つはあらゆる物裏的な干渉に対して抵抗力を持つ〔論裏障壁〕かな。さっき〔論害〕が襲撃してきたとき、えっと、鎌足、先生?だったかな?その人が展開を指示してた不可視の障壁がそれだね」
「ハイ」
「ええっと、もう1つは、常人を超える肉体強度や自然治癒力を付与する、〔身体能力強化〕、だよね?僕を守ってくれた天出雲さんのお母さん、絶薙大和さんが、〔論害〕の繰り出した校舎大の骨を片手で受け止めたのが、それかな?」
「校舎大ノ骨ニヨル攻撃ヲ片手デ受ケ止メル、トイウノハ、〔裏論使イ(ディベーター)〕ノ中デモ規格外ノ使イ手デスガ、基本的ニ〔裏論武装〕トハ、ソノ2ツノ〔基本能力〕ヲ備エテオリマス。ソシテソレニ加エ、〔裏論武装〕ハ、武装ノ〔象徴〕カラ導カレル、〔特性能力〕ヲ持ッテオリマス」
「〔象徴〕から導かれる、〔特性能力〕?」
「ハイ。赫夜様ノ場合ハ、ソノ〔象徴〕ハ見タママ〔竹〕デス。ソシテ〔特性能力〕ハ、〔竹〕トイウ〔象徴〕ニ基ヅイタ〔何カ〕ナノデスガ、ソレヲ現在、柳児様ガ解析中デス」
桧王の言葉に、一虎が何かを掴んだように言う。
「えっと、つまりその〔特性能力〕が、さっき反咲くんが言ってた、赫夜にかけられてる〔制限〕と関わりがあるの?」
「ハイ。現在赫夜様ハ、〔再武装化〕ニ伴イ、一虎様ノ体格ニ合ワセテ、〔抜刀術〕ニ適シタ重量・全長・重心ヲ持ッタ〔抜刀〕ニ〔再武装化〕サレテオリマス」
一虎が頷いたのを確認し、桧王が続ける。
「シカシドウヤラ、〔再武装化〕ト同時ニ、赫夜様ハ〔裏論武装〕トシテノ能力ノ大半、武装トシテノ強ミデアル〔特性能力〕ノ大半ヲ、幾ツモノ項目ニヨッテ制限サレタヨウナノデス」
「なんで、そんな制限を?」
「ソレハ、マダナントモ」
「そう、なんだ。じゃあ、その制限って、どんなものなの?」
「ハイ。例エバ・・・」
桧王が、一虎の疑問に答えようとした瞬間、
「ちょっと待ってくれ」
柳児が真面目な調子でそう制止する。




