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天球儀

「私ノ記憶データニ、興味深イ記載ガアリマス。〔強烈ナ経験ノ連続〕ガ、眠ッテイル〔意志〕ヲ刺激、内部変化ヲ促スヨウデス」



 桧王の言葉に、指先をキーボードでも打つように動かす柳児が聞いた。



「〔強烈な経験の連続〕?そういえば、眠っている〔ジン核〕は〔裏論使い〕に〔裏力〕を流し込まれて〔裏論〕を展開すると、その場にある〔現実世界〕の〔夢〕を見るんだよな?じゃあ〔裏論〕をめちゃくちゃ使って、〔ジン核〕がめちゃくちゃ沢山の強烈な〔夢〕を見たら、それが刺激になる。〔強烈な経験の連続〕になるってことか?」

「ハイ。簡単ニ言ウト、ソウナリマス。ソシテ、ソレガ赫夜様ノ〔意志〕ヲ覚醒サセルキッカケデハナイカト愚考シタシダイデス」

「なるほどな。まあ確かに、元々の使い手が俺の親父と同レベルの使い手、〔侍〕・絶薙大和なら、それは十分にありそうな話だ」

「た、確かに絶薙さんなら、凄い敵とやりあってそうだね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それは、確実」



 一虎が大和を思い出し、あの女傑ならばさもありなんと感じた直後、追随した深夜のお墨付きが桧王の推測と柳児の分析に説得力を与える。

 次いで、



「〔精シン世界〕の構造を視覚化し、簡易様式で再現する。展開準備」

「了解シマシタ」



 柳児の声に応じ、〔頭部〕のない桧王の胴体、〔本体〕の木製の両腕が動く。突然動いたそれに思い切り身を竦ませた一虎を全員が無視。

 そして、



「来るぞ。ビビるなよ?」



 柳児が告げ、桧王の胴体が左右にパカーンと割れて一虎が驚いたのと皆がそれを無視したのと同時。深い青の光が、開かれた胴体から溢れた。



 ブワッ!



「う、わ・・・」



 その光景の広がる様を、一虎はそんな擬音に感じた。桧王の胴体から放たれた深い青の光は、刀の柄から現れた球体を中心に、それを包むようにさらに大きな青い球体を展開する。しかもその球体状の青い光の膜は、一枚ではない。幾重にも幾重にも、赫夜の〔本体〕たるビー玉サイズの〔ジン核〕を中心に部屋に溢れ出す。さらには青い半透明の球面には、万にも届こうかという黄金色の文字列が光っていた。

 それはまさに、



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・綺麗」



 無口な深夜が思わずそう零すほどの、天球儀そのものだった。



「〔外部保護殻〕の状況を固定。完了。よし、では本題と行こう」



 そう言った柳児の指先が層状となった球体群の中心、〔ジン核〕へと伸び、直接それに触れる。


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