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論派と純度

「3つ?あ、1つはわかるかな。〔どんな論派の裏力でも抽出出来る代わりに、出力が最も小さいジン核〕が、確か〔ハン核〕だよね?」

「ソノ通リデス。非常ニ的確ナ表現ダト判断シマス」

「あ、僕、父さんが〔ハン核〕のエンジニアだから・・・」



 褒められたことに照れて頬を掻いた一虎に、桧王がまとめの言葉を放る。



「普段〔人間〕ガ活動ノ中デ自然ニ体外ニ放出シテイル〔裏力〕ヲ抽出シ、生活ヲ支エル現象ニ変換スル、汎用タイプノ〔ジン核〕ヲ、〔ハン核〕ト呼ビマス。情報統合端末ヤ、様々ナ家電、施設ノ動力トシテ使ワレテイルモノガソレデス」

「じゃあ、残り2つは?」

「2ツ目ハ、〔ハン核デハ起動デキナイ、裏論武装ナドノ高出力ヲ必要トスル装置ニ使ワレテイルモノ〕。一般的ニ、〔ジン核〕ト呼バレルモノデス」



 ソシテ、と桧王は前置いて言った。



「ワタクシノヨウナ、〔人間ト同ジレベルノ魂トシテ完成シ、裏力ノ自己生成ガ可能ニナッタモノ〕、〔シン核〕デス」

「〔ハン核〕と、〔ジン核〕と、〔シン核〕か・・・」

「ソレゾレノ違イハ、コノヨウニナリマス」



 桧王の赤い単眼から光が放たれ、中空に3つのディスプレイが開く。

 そこには、



〔ハン核〕・・・あらゆる〔論派〕の〔裏力〕を抽出出来る、汎用性が高い核。あらゆる〔論派〕の〔裏力〕を抽出するがゆえに〔裏力〕の〔純度〕が低く、出力が低い。そのため展開出来る〔裏論〕は小規模。未完全な核。



〔ジン核〕・・・設定された1つの〔論派〕の〔裏力〕を抽出出来る核。抽出する〔裏力〕を1つの〔論派〕に限定しているため、〔裏力〕の〔純度〕が高く、出力が高い。〔裏論武装〕などの大規模展開が可能。未完全な核。



〔シン核〕・・・〔人間〕の魂と同じレベルの完全な核。自ら〔裏力〕を生み出せるため、〔肉体〕にあたる〔化身〕や〔躯体〕を与えれば、〔人間〕同様の活動が可能。作り出すのに〔ハン核〕や〔ジン核〕よりも遥かに時間がかかるが、〔ハン核〕以上に様々な〔論派〕に適合出来、その上で〔ジン核〕以上の高出力を出せる。



 と3つ表示される。

 それを読んだ一虎は、問いを投げる。



「この、〔裏力〕の〔純度〕っていうのは?」

「ハイ。前提トシテ、〔人間〕トイウ生物ハ、個々ニ〔論派〕トイウモノヲ持ッテイマスネ?」

「あ、うん」



 一虎の裏解を促すように、新たなディスプレイが展開。

 そこには、



〔論派〕・・・その人間の活動の方向を決定する、根本的な性質。〔本能〕の色、価値観や世界観、感性や性格などと呼ばれるもの。



 と表示され、



「例エバ柳児様ハ〔目的ノタメナラ手段ヲ選バナイ〕トイウ性質ノ、〔異論派〕デス。先程ノ母上様ヘノ仕打チガ示ス通リ、柳児様ハ、卑劣ト呼バレル行為デアッテモ〔最善〕ト感ジタ行動ニ出マス」



 全員の視線が、改めて軽蔑の色を纏って柳児を見る。

 対して、



「・・・だが、そもそも〔人間〕って奴は1つ以上の〔論派〕、つまり、異なった考え方や価値観を〔本能〕の中に持ってるんだ」



 柳児は無裏やりに話を逸らそうと、面倒くさがっていた解説に加わる。柳児に対する印象はさておき、一虎は問いを返した。



「1つ以上の〔論派〕が〔本能〕の中にあるってことは、じゃあどういうことになるの?」

「お前は迷ったり悩んだり、他人の考え方や価値観に共感したりしたことないか?」

「ある、かな」

「それは、〔本能の中に異なった論派があるから可能〕なんだ」



 柳児の言葉に、合点のいった一虎が応える。



「そうか!迷ったり悩んだりするのは、異なった価値観、異なった〔論派〕が魂の中にあるからってことだね?そして、他人の考え方や価値観に共感出来るのは・・・」

「ソノ相手ト同ジ〔論派〕ヲ、自分ガ持ッテイタカラ、トイウコトデス」

「一般的に〔論派〕と呼ばれるのは、その〔人間〕の中で最も決定力のあるものだ。俺なら〔異論派〕、天出雲なら〔戦論派〕って具合にな」

「そういえば僕、どういう〔論派〕か聞いてない気が・・・」



 呟いた一虎に、珍しく深夜が声を上げた。



「・・・一虎、母さんと同じ〔論派〕。でも、公式記録に前例がない。だから未分類」



 少し浮ついたように聞こえるその声音は、やや熱を帯びた視線と共に一虎に向かった。「そうなんだ」と答えた一虎は、その視線と声音の意味が裏解出来ず、やや戸惑う。

 そんなことに気づくはずもなく、柳児は解説の続きに入る。


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