た~まや~ん!?
「貴様あああ!この私があああ!〔大蛇〕と呼ばれたこの私があああ!娘のために!事を穏便に運んでやろうとどれだけ我慢したと思っているのだあああああああああああああああ!?」
「それはそれは、大変な失礼を!ですが!私には私の言い分と教育者の矜持があります!」
「知ったことかああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ベランダに出た一虎達は、裏野の建物上を飛翔する2つの黒い影、逃げる鎌足と追う大和を目で追っていた。遠目でよくはわからないが、明らかに大和がその両手に得物を握っているのを一虎は確認し、言った。
「あ、あの、天出雲さん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」
相変わらず嫌悪の感情を瞳に浮かべた深夜が一虎を見返し、少年はやや怯んだ。しかし、やっと返事をしてくれたことに勇気を得て、一虎は問いを続ける。
「あれ、絶薙さん、マズイんじゃない?だってアレ、追いかけてるの裏野の先生でしょ?」
しかし、それに対し、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫」
深夜は、なぜか不機嫌の色まで含んだ声音でそう言った。そして、少女は遥か彼方で開始された戦闘を眺め、ハッキリと言い放った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母さん、強い。あの教師、死ぬ」
「いやいやいやだからマズイんじゃないかな!?死ぬって殺るってことだからね!?」
鼻からフンと息を吐いて誇らしげに小ぶりな胸を張った深夜の天然発言に、一虎が叫ぶ。
それでも、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母さん、負ける。一虎は、そう思う?」
深夜はそのツッコミの意味を裏解していないらしく、一虎に不機嫌な蒼の視線を向ける。どうやら母親の実力を疑われたと思って、気分を害していたらしい。
深夜とのコミュニケーションの難しさに頭を抱えて唸りだした一虎の横で、
「どうだ?桧王?流石にこの距離でアイマスクしてたらわかんね」
「オ察シノ通リ、鎌足全学年主任ハ本気ヲ出ス気ハナイヨウデス」
「う~ん、まあ、それでもいいか。桧王、撮影は続行で。これ以上撮っても、鎌足の戦闘力に関する有力な情報は得られないだろうけどな」
「ワタクシモ、同ジ判断デス。デスガ、マタ機会ハアルデショウ。ソノ時ニ、鎌足全学年主任ノ弱ミヲ握リ、学校生活ヲ有利ニスル状況ヲ作リ出セバ良イデショウ」
「この状況でも全くブレない自己中ぶりはさすが〔異論派〕だね!?」
不穏当な言葉を呟いていた柳児と桧王のコンビに、一虎はやけくそ気味にツッコむ。
そして、
「サヨウナラだ、鎌足!〔絶薙流〕・〔逆手弐刀〕!」
「おやおや、いきなり全力の大技ですか!」
「わ~、花火なの~!?た~まや~ん!?」
大和と鎌足の大激突と大爆発の余波を赫夜が両手を叩いて迎え、一虎の「たまやんって誰!?玉屋的な!?」というツッコミは真っ白な爆光に呑みこまれた。




