意志と精シン世界
球体の真ん中には、真っ赤な種のような球体が1つ。その周りには黄色に塗られた果肉のような断面が広がり、それを太い黒の円、ゴムのような材質が閉じている。その太い黒の円の外側にはさらに青で塗られた断面が広がり、それは球体の円周まで及んでいる。
柳児の手が、中央に嵌った赤い種のような球体に伸びる。赤い球体が外されると、それにくっついて黄色い果肉部分、その外側に付いた、今は果物の皮のように表面を覆っている黒い部分もついてくる。
中心に赤い球体の嵌った半球を中空に浮かばせて、柳児は腰に手をやって仕切り直すように言った。
「この部分が、〔人間〕の魂の構造モデルだ」
「これ、が?」
裏解出来ずに不安な様子の一虎に、柳児は言った。
「さっき、〔人間〕の魂には〔現実を裏想に近づけようとする本能〕があることは確認したな?」
「う、うん」
「その〔本能〕をこのモデル図で言うと」
柳児の指が赤い球体を示す。
「これが、〔本能〕」
柳児が言うと同時に、赤い球体から赤い光の線が横へと伸びる。伸びた光の先に〔本能〕と言う文字が表示される。
「見て分かるように、〔本能〕は魂の中にある。そんで魂ってのは、この2つの領域、〔意志〕と〔精シン世界〕で出来ている。この黄色い果肉みたいな部分が・・・」
柳児が指を動かそうとした時、一虎は慌てて声を上げた。
「え、あの、ごめん!わかんないことがあるんだけど、質問してもいい?」
「・・・何だ?」
少し鬱陶しそうに促す柳児に、一虎は焦りながら問いかける。
「え、ええっと、そもそも魂には2つの領域があるって言ったけど、〔意志〕と〔精シン世界〕って、同じものじゃないの?な、なんか違いがわかんないんだけど・・・」
「そうだな・・・」
柳児が少し考える間をとって、言った。
「〔意志〕ってのは、〔俺達が普段認識し、コントロール出来る意識〕、〔自意識〕とでも言えばいいのかな」
柳児の指が動くと、中空に紫を基調にした3次元ディスプレイが展開された。空中に浮いた紙のようなそれに、〔意志〕=〔自意識〕と文字表示される。
「で、〔精シン世界〕ってのは、〔俺達が普段認識出来ず、コントロール出来ない意識〕、〔無意識〕って言えばしっくりくるか?」
柳児が言い終わると同時に、もう1枚3次元ディスプレイが展開。〔精シン世界〕=〔無意識〕と文字表示される。
「魂には、〔認識し、コントロール出来る意識〕である〔自意識〕と、〔認識出来ず、コントロール出来ない意識〕である〔無意識〕があるんだ。厳密な説明をすると時間がかかるからやめとくが、なんとなくはわかるだろ?」
「あ、うん、わかるかな。ということは、〔認識し、コントロール出来る意識〕が〔意志〕で、〔認識出来ず、コントロール出来ない意識〕が〔精シン世界〕ってこと?」
「そうなるな。ホントは最初から〔自意識〕、〔無意識〕って呼べばいいんだろうが、これには裏由があるから、言い方は〔意志〕と〔精シン世界〕で我慢してくれ」
「あ、うん、大丈夫」
「よし」
一虎が返事をすると、柳児が展開した2枚のディスプレイを並べながら説明を再開した。




