3.一方その頃、元パーティー。
「どうして、そんな簡単なこともできねぇかなぁ!?」
「す、すみません……!!」
――その頃、アルドたちパーティーは。
ルドルフを追放して一ヶ月半が経過して、とある問題に直面していた。それというのも、彼が抜けてから新人たちの物覚えが悪くなったのだ。
いや、もっといってしまえば細やかなところで物事が円滑に進まなくなっている。
それによって、アルドたち主力のメンバーは苛立っていた。
「意味わかんねぇ、どうしてこれができないんだ」
「本当ね。こんな簡単なこと……」
「今回の新人は不作とか?」
彼らは揃って首を傾げている。
それもそのはずで、新人たちが悩んでいるのは基礎的なこと。いままで誰に教わるわけでもなく、自力でできていた『才ある者』のアルドたちには理解ができないのだ。――そう、基礎を教わるという当たり前のことが。
「あんなの、バッとやって、サッでできるよな?」
「そうね。そうじゃなくても、こう……スッと」
「どうして分からないかなぁ……?」
頭を悩ませるアルドと主力たち。
自分たちの説明が擬音ばかりになって、説明になっていないことに気付いていない。しかし彼らの中では伝わっているのだから、なおさらたちが悪かった。
そんな様子を眺めている新人たちは、困ったように顔を見合わせる。
「もしかして、このパーティー……ヤバいか?」
「でも、いままでどうやって新人教育を……?」
その答えこそルドルフ・ウィスコムなのだが、新人がそれを理解できるはずもなく。新戦力を育てるという重要事項は、完全に宙に浮いてしまっていた。
そんな中、アルドたちのもとに――。
「リーダー! 大変です!!」
「……あ? なんだよ、この面倒な時に」
「リヒト騎士団長が、このパーティーの視察にくるそうです!!」
「はぁ!? それってまさか、このパーティー出身の!?」
――超大物の先輩が、顔を出すという報せが届いた。
リヒト・マクラーレン。現在の王国騎士団団長であり、かつてはこのパーティーに所属していた人物。創設メンバーの一人として王都でも指折りの剣士となった後、冒険者としては初めて騎士団に徴用された大物だった。
間違いなく、すべての冒険者の憧れ。
そんな人物がこのパーティーの現状を知れば、どう思うだろうか。
「お、おい! 何としてでも、新人たちを見れるようにするぞ!?」
「分かってるわね、アンタたち! 下手なことしたら、殺すわよ!!」
「マジだからね!? 頼むから少しは役に立ちなさい!!」
アルドたちは全身に冷や汗をかきながら、そう叫んだ。
すると新人たちは、完全に表情を引きつらせて――。
「ま……マジかよ」
「俺、抜けるわ……」
――ある者は途方に暮れ、またある者は離脱を宣言する。
騎士団長の来訪まで一ヶ月と少し。
果たしてアルドたちは、パーティーを立て直せるのか。
その結果は現状だけでも、火を見るよりも明らかだったかもしれない。
真綿で首を締めるように、ざまぁします……!
ここまででオープニング終了!
次回から第1章!
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