第8話 暗殺者雇用作戦
復讐計画第2章を始めることにした。
自分で動けないなら、人に頼む。手駒を使う。それが策謀家というものだ。
シェイドを呼んだ。諜報部長だ。暗殺の1つや2つ、お手のものなはずだった。
「アレンを仕留めろ」
シェイドが笑った。いつもの顔で笑った。
「承知しました」
あっさりしていた。逆に不安だった。
「できるのか」
「やってみましょう」
「……慎重にやれ。気づかれるな」
「はい」
シェイドが消えた。
3日後、シェイドが戻ってきた。
「どうだった?」と私が聞く前に、シェイドが言った。
「難しいですね」
「……何が」
「アレン殿、隙がないんです」
「お前は諜報部長だろう」
「はい。だからわかります。あの方、常に半歩引いたところで周囲を見ています。気配を消して近づいても、消しきれる前に気づかれます」
シェイドが笑ったまま続けた。
「試しに3回、背後に回りました。3回とも振り返られました」
「……それで」
「4回目は振り返る前に『何か用か』と言われました」
私は黙った。
「5回目は——」
「もういい」
(所要時間、3日。成果、ゼロ。シェイドが5回見つかった)
「ところで魔王様」
帰りかけたシェイドが振り返った。
「アレン殿と少し話しました」
「……何を話した」
「『最近、誰かにつけられている気がする』とおっしゃっていたので——『気のせいではないですか』とお伝えしました」
「お前が言うことではない」
「そうですね」とシェイドが笑った。「でもアレン殿、『そうか』と言って信じてくれました。素直な方ですね」
私は額に手を当てた。
「帰れ」
「承知しました。また来ます」
シェイドが消えた。
(諜報部長が暗殺に失敗して、ついでに疑惑を消してきた)
使えない、という言葉の意味を、今日初めて実感した。




