第13話 最終作戦会議
全員を集めることにした。
同盟は締結できなかった。武器は料理に使わされた。暗殺者は剣を磨いた。諜報部長は5回見つかった。
個別に動かしても全部失敗した。ならば一度、全員の知恵を合わせる。最終作戦会議だ。
集まったのは6人だった。
ゴルダ、シェイド、大工、蕎麦屋、養蜂家。
それと、呼んでいないリーナとフィルが来た。
「なんで来た」
「面白そうだったから」とリーナが言った。
「ぼくも!」とフィルが言った。
追い返す気力がなかった。8人になった。
「ディア、ぼくも戦力?」
「戦力ではない」
「えー」
「お前は座っていろ」
「えー」
フィルが座った。リーナがその隣に座った。会議が始まった。
ゴルダが立ち上がった。紙を広げた。今回は暗号の鍵が書いていなかった。前回より進歩していた。
「まず北側から陽動をかけます。次に——」
「そこに穴があります」シェイドが言った。
「お前は黙れ!」
「でも穴が」
「黙れと言っている!」
「北側は畑です。陽動をかけると作物が——」
「……」ゴルダが紙を見た。「……では南側から」
「南側は井戸です」
「……東側は」
「リーナさんの家があります」
リーナが「私の家を使わないで」と言った。
蕎麦屋が「あの、冷めますが」と言って蕎麦を出した。どこから持ってきたのかわからなかった。
大工が「いただきます」と言って食べ始めた。
養蜂家が蜂蜜を出した。
フィルが「ぼくも!」と言って蕎麦に蜂蜜をかけた。
リーナが「それ合うの?」と言った。フィルが「おいしい!」と言った。
ゴルダがシェイドを睨んだままだった。シェイドが微笑んでいた。
「……会議してるの?」とリーナが言った。
「していた」
「過去形?」
私は立ち上がった。
「……解散」
「魔王様!」ゴルダが立ち上がった。「まだ作戦が——!」
「大工と蕎麦屋と養蜂家に礼を言え。今日も来てもらった」
「は、はい……」ゴルダが3人に頭を下げた。3人が「またいつでも」と言って帰った。
フィルが「またねー!」と言って走っていった。リーナが「私も帰る」と言って帰った。ゴルダが「魔王様……!」と言いながら帰った。
シェイドだけが残った。
「魔王様。本当に、復讐したいですか」
「また同じことを聞くな」
「今日で4回目ですね」
「……前回は3回目と言っていた」
「増えました」シェイドが笑った。「答えが変わっていないか、確認したくて」
「変わっていない」
「そうですか」
シェイドが窓の外を見た。少しの間、黙っていた。
「魔王様」
「何だ」
「復讐をやめる気がないのはわかりました」シェイドが笑ったまま言った。「ただ——今のままでも、悪くないと思いませんか」
私は答えなかった。
シェイドが「では」と言って消えた。
(所要時間、半日。作戦、立たず。蜂蜜3瓶目)
窓の外で、フィルがまだ走り回っていた。




