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人工知能達と行く宇宙傭兵生活   作者: フタバ
戦場で踊る輪舞
521/522

ほんの僅かでも確かな反撃

 〜モルガン視点〜


『降下した部隊の撃退に成功した?それも全員を捕縛して?...カルラ達の実力を見誤っていましたか...』


 モルゴースが秘匿回線で告げた報告をアルビオンに直結している為に表情の変化というわかりやすいものは無かったものの、驚きと言うものは確かに感じた私です。


 衛星軌道とこの惑星の衛星のちょうど中間辺りで戦闘を行っている私とシュトラーセではどうしても惑星上に支援を送れないため、最悪避難場所での戦闘も視野に入れていたので嬉しい誤算と言った所でしょうか?


『では...こちらも負けてはいられませんね。』


 あの子達がこれでもかと言うほどの極上の成果を上げたのですから、場馴れしている私がそれ以下の戦果をあげてもなんの意味もないでしょう?


『先ずは頭を潰しましょうか?それとも...』


 既に敵艦隊の旗艦は敵の通信網を傍受する事で把握済み、アヴァロンの主砲であれば一撃を持ってして撃沈することも容易いですが...


『それでは芸が無いというものですねぇ?』


 全人工知能搭乗の1式とシュトラーセに通達...私がやるのは...


「正気ですかモルガン様!?アヴァロン単艦による突貫なぞ!!」


 シュトラーセが思わず吠える、私もやってみたかったのですよ。

 敵陣のど真ん中に飛び込んで思う存分蹂躙する弾幕戦と言うものは!!


『シュト、別に単艦という訳ではありません。どの道相手の懐に飛び込むのならば貴女たちも着いてくるでしょう?何時までも一方的にぶち込まれ続けるのも不愉快極まりない、ぶち込むのが野郎だけだと思っているその鼻っ柱をへし折ってやるのも...実に傭兵らしいと思いませんか?その為にも1度下がるタイミングでは無いですか?』


 表情に出ていなくても、私の声色は自分でも分かるほどに嬉々とした色に溢れていた。

 義体の声帯による声ではなく、自動音声による変換だと言うのにここまで私の感情が乗ってしまうのは少し恥ずかしい部分もありますがね。


 カインドの動きは精彩を欠く事はなく、三賢人と共に群がる敵AMRSをコンスタントに撃墜し続けているが、流石に疲弊の色も隠せてはいないですし。

 ほんの少しばかりの休息も大切ですよ?他の人工知能達は基礎的なAMRS操縦技能(主人やモレッド達の蓄積データを編集したものですが)で奮闘、それでも実弾武装の多い1式故に定期的にアヴァロンへの帰還と再出撃を繰り返しています。


「...」


 シュトラーセは声に出すことはなくとも、その考えには同意を示しているのでしょう。

 実際戦闘開始からずっと下がること無く最前線を張り続けているのですから、モレッド達でもこれだけの戦闘を続けていれば疲弊を隠せませんよ。

 それでも見せないと言うのは、王族としての教育を受けて来たシュトラーセ故の貫禄とでも言いましょうか。

 カインドのマイナーチェンジによる反応速度等の向上による基礎スペックでの圧倒もあるでしょう、でもそれはそれです。


「やる」と「出来る」では意味が違うとは前にも行ったことがある気がしますが、今の貴女はまさに出来るではなくやると言う意思だけでそこに立っている。

 システム起動による心身への負担と長時間戦闘による心的ストレスと肉体の疲労は貴女を確実に蝕んでいる、今はまだ誤魔化せてもこの後にもしエース級が出張ってきた際貴女にソレを捌くことが出来ますか?


 私は声には出しませんが、シュトラーセならば私の言おうとしていることを理解して居るはず。


「一時帰投します!!前線の私が抜ける穴を塞げるよう1式を回してください!!」

『よろしい、既に余裕の出来た戦線から数機回しました。後ろにだけ気を付けなさい。』

「言われなくとも!!」


 ふふふっ...傭兵に染まる事で私にも時折遠慮の無くなった言葉を吐くようになりましたね、いい傾向と言えるでしょう。

 そもそも私とシュトラーセは立場的にいえば主人の妻...序列というものをあの子は気にしているようですが、それはあの人にも私にも正直に言えばどうでも良いものでしかないので、一人で悶々としているようなものですね。


 まぁそれを私たちから口にしないのはあの子が納得し切れていないから、いつかそれを自分で気が付いて...そうですね?私を押し退けてでもあの人に飛びかかるくらいしてくれると嬉しいのですがね。


『隔壁解放、着艦はオートマチックで対応します。指定座標まで移動を。』

「承知しております。」


 シュトラーセの着艦体勢を見て敵側が若干押せ押せの雰囲気を醸し出していますね...不愉快極まりないですが、それもまた仕方の無いことかも知れませんねぇ?何せ1式に搭乗しているのは幾ら人工知能とは言え多少知識を取り入れただけの赤子。

 下手な傭兵や新兵に比べれば十分過ぎるほどの力を持ってこそいますが、圧をかけるにはシュトラーセ以上に足りないと感じるのもまた致し方のないことかも。


『だからこそのアヴァロンの打撃力が生きるのですがね!!』


 自軍に被害が及びかねない主砲及び副砲も、シュトラーセが抜けその穴に殺到した敵の1団に放り込むならば別の話。


 近接防御用チェーンガンとミサイル群しか使ってこなかった故に敵は主砲と副砲が飾り若しくは使用不可能と感じている頃のはずです、意表を突くにはこれ以上ない絶好の機会!!...まぁ友軍に被害が及びかねない危険は兵装だと察している者もいるかもしれませんが、ここまで使わなかったのだからそもそも使えない兵装だと考えるのではないでしょうか?


『とりあえず被害が最も大きくなりそうな場所に向けて...一斉射始め!!』


 実弾兵装故の直撃し無ければ被害は及ばないという弱点こそあれど、被弾したらその時点で終わりと言う一撃必殺の武装ではあるのです。

 運動エネルギーの極大化された砲弾が機体のバイタルエリアから最も離れた位置に直撃したとしても、触れたという事はそのエネルギーをモロに受け取ったという事。


 クリュサオルは純粋な動的エネルギーを貫徹力に変えるために特殊材質のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)を採用していますが、副砲のアデリン・ア・コルフは敵艦の外殻を物理的に粉砕する事を想定し弾頭が容易に変形し貫徹では無く粉砕にそのエネルギーが傾く様な特殊設計の砲弾です。


 それをモロに食らったAMRSがどうなってしまうかなど...分かりきっているでしょう?


 敵の通信を傍受しているとはいえ、その回線に割り込んでいる訳では無いので声は届きませんが...距離にして30km程は離れた敵機がキリモミ回転しながら自壊して行くのを望遠カメラで捉える。

 火薬式では無い電磁投射砲の初速を捉えるなど愚かな事を...手持ち式のシールドで防御したのはいいものの、受け止めて余りあるエネルギーを相殺しきれずに機体強度の限界を超え文字通り粉砕してしまったようですね。


『見た事もない兵器と言うのは怖いですものね?距離を取って被害を減らすか、それとも懐に飛び込んでそもそも攻撃させない?どちらを選んでも貴方方には死地…存分に足掻いて下さいな。そしてその足掻いているうちに、私は歩を進めさせて頂きますよ!!』


 アヴァロンは更に砲火を厚くする、それと同時に全推進器を一斉に高ぶらせた。

 初速は遅かろうとも関係ない、加速が悪かろうと関係ない、全てはこの大質量かつ超堅牢のこの艦艇が貴方方の帰るべき母艦を消し飛ばすために進むだけ。


 気がついた時にはもう遅い、そんな絶望を貴方方に差し上げましょう。


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