溢れる想い
「わっ!」
クロードに思い切り手を引かれて、真横に座るとするりとリコの腰に手が回った
――コイツはすぐこうやってくっついてきて…///人の気も知らずに!!///
「これで安心して城に戻れるな」
リコに顔を近づけ少し嬉しそうに笑うクロード
「ち、近いってば!!///そもそも、アタシがあんな目ににあったのはクロードのせいじゃん!クロードが第四皇女とくっついてればこんな事にならなかったし!完全に巻き込まれたんだけど!!///」
アワアワしてリコが逃げるよに顔を背ける
――また思ってもない事を…テンパるとこれだから嫌になるよ、アタシ!!
「こんな事になるとは思っていなかった、だがもう俺はラナと婚約するつもりはない」
はっきり言い切るクロード
「あんな嬉しそうにちゅーしてたくせに!?」
「フッ、やけにそれを気にするではないか?」
クロードが意地悪く笑う
「べ、別に全然気にしてないんですけど!!///」
――クロードが全然わからない…婚約するつもりはないとか言って嬉しそうにキスしてたじゃん
「あれは最低だったな。」
クロードが思い出したように鼻で笑う
「何が!!」
「ラナの事だが、神力を使って熱が下がると言われたいたが、不審な部分がいくつもあってな。問い詰めたら、あの日噴水の前で全て正直に話した、冥王の残党の呪いで熱が出るなんて嘘だったんだ」
「えっ!?嘘!?どういうこと…」
「高熱が出ていたのは事実だ。残党に襲われたであろう傷もあった…それも事実だった。だが、高熱は特殊な薬を使って無理矢理出していた…そんな薬があるとは知らずに信じ込み、俺は無駄な神力を使ってラナの側にいただけだった。神力を使うこと自体は体に影響は無いからな」
――自作自演…そこまでしてもクロードの側に居たかったんだ四皇女様は…だからってそんな相手を騙してもいいの?どんな手を使ってでもクロードが自分の事を見てくれればそれでよかったのかな…
「だが、高熱を出すのも限界がきてな…体に異常が出始めてその薬を使うのをやめたら一切熱は出なくなった。」
「そこまでしてクロードの事を…」
「あぁ、俺が自分を見てくれるならなんだっていいと言っていた…だが、そんなくだらない茶番に付き合わされた俺は怒りしか湧かなかった。執事の事もあってその後、ラナは王族から外されて城から追放された」
「追放!?」
――そっか…執事の事もあるし、責任取らなきゃいけなくなったんだ…
それに、怒りしか湧かないってクロードは言ってるけど…きっと、第四皇女様はそこまでしても貴方を思ってますと…伝えたかったのにクロードにとっては逆効果だったんだね…
嘘つかれて騙されて無駄に神力使ったって事だから、本人は怒るよね…普通ならあんな綺麗な皇女様がそこまでしてくれたら心が動くけど…相手が悪過ぎるよ…
こんなひねくれてる意地悪な奴相手じゃ…
「ラナが最後に願いを聞いてくれたら諦めてもう関わらないと約束すると言った」
「まさか……それがキス!?」
「そうだ、もちろん承諾した」
――王道かよ…さすがお姫様…綺麗に涙を流しながらキスしたんだろうな…最後の思い出にと…
けど、なんでクロードはあんなに嬉しそうにしてたんだろ…第四皇女に対して怒りが湧いたって言ってたのに
眉間にシワを寄せて考えながらクロードを見ると…
「やっとお前の元に戻れると思うと自然に笑っていた」
優しく笑うクロード
「えっ…え、えっ?それで嬉しそうにしてたって事…?」
「俺はお前のせいで随分愚かになったようだ…その後思い切りラナに頬を殴られた」
――えっ、えっ…ちょっと待って、クロードの言ってる事が本当なら、それはそれは第四皇女様怒るよ…やっと離れられると思って…なんなら他の女の事考えてキスされて…
だから、クロードは『あれは最低だった』って言ってたってこと?………確かに最低だけど……って、えぇ!?!?///
バッと立ち上がってクロードから離れるリコ
「アタシのとこにそんなに戻りたかったって事!?///」
「そう言っただろうが」
立って恥ずかしがるリコを座って見上げるクロード
――違う違う!クロードのお前の元に戻りたいはアタシが主人だからね、だから戻りたかったとか言ってんだよ
はいはい、いつもの従者の契りね!
「主人の側にいるのは従者として当たり前だもんね!」
平静を装って言うリコ
――クロードの事を好きって自覚してから、いちいち変な言い回しされるとその言葉に勘違いして、喜びそうになるから本当に嫌!!ほんとこの従者の契りって本当にめんどくさい!!
「正確に言うとただお前の側にいたいという事だが?」
フッ笑ってリコを見るクロード
「あ、あのねえ!?///あ、アンタのそういう変な言い方とか、思わせぶりな行動とかほんと直した方がいいよ!?///アタシは絶対に勘違いしないからまだいいけど!?///もし他の人にもそういう事して勘違いされて、す、す好きになられたりしたらどうするつもり!?///」
動揺して声を震わせながら言う真っ赤なリコ
――すでに、もう好きになってしまいましたが…
これ以上、振り回されるのはごめんなの!!
ちゃんと諦めて、さっさと忘れたいのに!!
第四皇女と結ばれなかったからって別に
アタシとクロードが結ばれるってわけじゃない
異世界から来た女なんて嫌だろうし…いつも馬鹿って言うし…
それにアタシだって元の世界に戻らないといけないから…
リコが少し落ち込んで考え込んでいると
「お前にしかしないし言わない、他の者には大して興味ないからな」
「だからそういうの!やめてって!!///」
――アタシもいちいち喜ぶなバカーーー///
コイツの前だと全然感情がコントロールできない!
表に出さないようにしてるけどすぐ顔が赤くなる…
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!///
「なんだ、さっきから」
クロードが意地悪く笑いスッと立ち上がる
「こ、来ないで!!///」
近づいて来たのでリコはクロードに背を向けて逃げようとする
「すぐ逃げようとする…捕まるのはわかっているだろ?」
後ろから楽しそうな声がしたと思ったら
グイッ
リコは思い切り手を引かれてクロードの胸の中収められて優しく抱きしめられる
「だ、だからこういうのを!!!///」
リコが怒って言うと…
「勘違いすれば良い」
クロードが静かに言った
「えっ…」
リコの後頭部と腰に手が回る
「俺が何故こういう事ばかりするのか考えて、お前は勘違いすればいいだろう」
リコの耳元で囁くクロード
――な、何言ってんのクロード……
勘違いしろってどう言う意味…?
アタシは馬鹿だから…
クロードの言ってる意味とは違うかもしれないけど…
これじゃあ……
好きなれって言ってるように聞こえちゃうんだけど…
クロードの言葉が理解できなくて固まるリコ
ドキドキうるさい心臓と熱い顔でいっぱいいっぱいになる
「お前は王のものだ…俺からは何もできない…」
ギュッとリコを抱きしめて少し苦しそうに言うクロード
「だが、それももう終わる…近々王が正式に婚約者を発表する。残念ながらほぼ王様に関わってないお前の可能性は低い」
――えっ…そうなんだ…確かにアタシには可能性ないけど…それって…
「やっとだ、やっとお前は王のものじゃなくなる…あと少し待っていろ…リコ」
少し感情的に喜ぶクロードが優しくリコの頭にキスをした
「っ!///……クロードが何言いたいのかアタシには全然わかんないよっ!!」
ドキドキうるさい心臓がドクドクと脈打つ
「お前は馬鹿だからな…あまり言い過ぎると変な事を考えてまた逃げ出すかもしれない」
くつくつ笑うクロード
「頭良くてもクロードの言ってる意味わかんないわ!!///」
「今日はもう風呂に入って寝ろ、明日は朝早くここを立つ」
クロードがソッとリコを離して優しく言う
「わ、わかった…」
恥ずかしくてクロードの顔を見れないリコがうつむいて返事をする
クロードが部屋から出て行こうとドアに向かう
その後ろ姿をじっと見るリコ
――散々意味わかんない事言われて、振り回されて恥ずかしくて顔を見れないのに…
居なくなったらなったで寂しいと思うアタシはもうすでに大分クロードの言う勘違いをしてる気がする…
リコはいつの間にか寂しそうにクロードの背中を見ていた
部屋から出ようとドアの前に立ったクロードが振り返る
「……そんな顔をするな、今日はお前の事を思って出て行ってやるのに」
フッとリコの顔を見て笑うクロード
「えっ!///」
――やばっ///顔に出てたアタシ!?
急に恥ずかしくなって驚くリコ
「一緒に寝てやりたいところだが、やっとの思いでお前に会えたのだ、何もしない自信がない」
意地悪く笑うクロード
「はっ!?///何言ってんの!!良いから早く行きなよ!!」
――な、なんなのコイツ!!///普通にそんな事言わないでよ!!///
「おやすみ、リコ」
「おやすみ!!!///」
クロードが部屋から出て行った
・
・
湯船に浸かって考えるリコ
フワフワした気持ちと暖まる体でぼーっとする
――クロードの…
『勘違いすれば良い』
あれってどういう意味なんだろう…
好きになれって事…?
クロードにとってそれは迷惑じゃないって事…?
『やっとだ、やっとお前は王のものじゃなくなる…あと少し待っていろ』
待っていろって何…待ってたらどうなるの…
更に体や温度が上がってぼーっとするリコ
――それに、結局…第四皇女とは何もなかった…
それに少しホッとするリコ
……………
って!!ことはアタシの家出はなんだったんだ!!
勝手に妄想かまして勝手に傷ついて失恋したとか落ち込んで家出したって事!?思い込み激しいかなりヤバい奴じゃん!!誰にも知られてないからいいけど、
今冷静に考えたら恥ずかし過ぎる!!///
うーっとうなって湯船に更に沈んだ
――もう何がなんだかわかんないよ!!
クロードがはっきり言わないのが悪い!
意味深な事ばっか言って!こうなったらクロードの言う通り、その勘違いってやつをアタシなりに解釈してやる!!
アタシは皇女で王様のものだから何にもできないって言ってたけど、男なら…
好きな女奪ってやるくらいのメンタル持ってなさいよ!!
もー!!と一人で暴走して湯船に溜まる親の水面を叩いてお風呂から上がった
リコはベッドに入りまた考え込む
――けど、もしも、もしも何かの間違いで
クロードがアタシと同じ気持ちだったもしたら…
アタシはどうするんだろう…
ここに残る覚悟はできるのかな。
元の世界に戻ることはちゃんと諦めつくのかな…
クロードの本当の気持ちを聞いたら…
アタシどうなっちゃうのかな
何も解決しないまま悶々として深く布団を被った




