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上空の使者



次の日……



寝ぼけながら出された朝食を食べるリコ

ルイが嬉しそうにその様子を見ていた



「では、リコ様行ってまいります」


ルイがリコの横に立ち少し寂しそうに言う


「いってらっしゃい…頑張ってね…」


リコは寝ぼけつつ、ゆっくり瞬きして笑顔で答える



いつものようにルイがいなくなったかと思うと…




「行ってきます」




椅子に座るリコを後ろからギュッと抱きしめて、耳元で嬉しそうに囁いた



……………!?!?



「…えっ!///」



寝ぼけてたリコは一気に目が覚めて驚いて固まる



スッと離れて


「挨拶です」


優しくルイが笑って家から出て行った



固まっていたリコは何事も無かったように朝食を食べ終えて、お皿を片付けて…



――外の空気を吸おう…



お気に入りのバルコニーに出て海を眺める




「あぶねーーーー!!!!」



溜めていたものを吐き出すように海に向かって叫んだ



――やばいやばいやばいって!!危なかった…

ちょっと思わずトキメキそうになったよルイ!

アタシに従順で可愛いと思ってたルイが…

あんな事してくるとは思ってなかったから!

確かに昨日ハグは挨拶って言ったけどもあんな大切そうにバックハグしてくるとは思わないじゃん!///


このままだとダメだ…天然タラシになる可能性があるよルイ…本人無自覚でやってるから尚更ダメなやつだし…しかもあのビジュアルで…


どうすんの外で会ったちょっと知り合った人とかに挨拶のハグですとか言ってやっちゃったら

あの外見でそんな事されたら女子達絶対勘違いしちゃうから!!あれ直させないとダメだ!!

それに毎朝あんなんされたらこっちも心臓がもたんわ!!




ブワッと強い風が吹いてリコの髪を揺らした



「今日風強いな…」


気持ちいいほど晴れた空を見上げて呟き

また強い風が吹いて髪を抑えて思わず目を瞑る


目を開けると…


なぜか変わらず目の前が真っ暗だった




「えっ!?!?なに!?」



顔に柔らかい布をみたいなものが巻きついていて視界をふさがれて怖くてパニックなるリコ



無理矢理引き剥がすと…





「絨毯…」



両手に掴む絨毯が嬉しそうにバタバタ動いた



――嘘…やっと、やっと帰って来た!!



「絨毯!!!やっと帰ってきたーー!!ずっと心配してたんだから馬鹿!!1ヶ月くらいどこ行ってたの!!」



リコは思わず思い切り絨毯を抱きしめる

絨毯が嬉しそうにリコを抱きしめ返した



感動の再会を果たして大喜びする



絨毯を抱きしめて触っていると…

ふとある事に気付いたリコ



「ん?絨毯なんかついてるよ…?」


リコからは見えない場所に何か違う手触りがしたのでソッとついてたい物を摘んで取ってあげると…




「羽…?」


小さな白い羽だった…




その瞬間




バサッバサッ




聞いたことがある大きな羽の音に全身が凍りつく





黒いローブを着てフードを深くかぶった背の高い男がバルコニーに舞い降りた…



見覚えてのある白い大きな翼をバッと一度広げてスッと背中にしまった…



その姿を見て血の気が引いて…絨毯を抱きしめながら後ずさりするリコ

絨毯も怖がってリコに思わずピッタリとくっついた…





「ほう…随分と眺めの良い家に住んでるではないか」




リコと絨毯に近づきながら黒いローブのフードを取る






「我が主人(あるじ)






クロードが恐ろしい目つきでリコを見て口元を緩ませて主人を強調するように言った




「ぎゃーーーーー!!!!」




驚きと恐怖でパニックになるリコが絨毯を思い切り抱きしめてクロードに向かって叫んだ




「絨毯の馬鹿!!とんでもない奴一緒に連れて来てるじゃん!!むしろアタシを裏切った!?この悪魔連れて来たの!?」


バタバタ暴れて否定する絨毯を抱きしめながら急いでクロードから距離を取ろうとするリコ



「と、とりあえず!!逃げて!めっちゃ逃げて絨毯!

!!」


リコは絨毯に乗ろうとパニックになりながら言う



――目がまぢで怖い!!口は笑ってたけど目が一切笑ってなくて、ブチ切れてるのが一瞬でわかる!!



自分の身に危険を感じて逃げようとするリコ




「今日は随分といい風が吹いているな、上手く操られるか不安だ」



フッと意地悪く笑いわざと困ったように言うクロード




「きっと風で八つ裂きにされる…」


絶望してリコが呟く


――クロードは風を操る魔法を使うから、こんな風通しの良いところだと絶好調に魔法使えちゃうじゃん!!逃げないと!!



「とにかく超逃げて!!絨毯!!」


絨毯に飛び乗って絨毯がすごい早さで空に舞い上がった



「俺を相手に空に逃げるか?相変わらず低脳だな」



上空の絨毯とリコを見上げて馬鹿にしたように呟くクロード




「絨毯ナイス!!全然これなら逃げれる!!」


すごい早さでベランダから離れたが…




ブワッ!!!!



いきなり下から突風が吹き上がりリコと絨毯を引き剥がしてリコは空中に飛び上がった



「えっ…」


絨毯がいない状態で空中にいる自分が一瞬理解できなくて…



「ギャアァァァァァァ!!!!」



そのまま色気のない悲鳴を上げて空から下にある海に向かって真っ逆さまに勢いよく落ちる



――し、死ぬぅぅぅぅぅ!!!



あまりの恐怖にギュッと目をつぶり目尻から涙の粒がポロっと流れた




ガシッ



海に落ちると思ってたのに…



背中と膝の下に腕が回ってお姫様抱っこをされる


恐る恐る目を開けると…




「俺から逃げれるとでも思ったか?リコ」





神力を使った翼の生えたクロードが意地悪く笑い

ギュッと強く腕と足を掴まれた




久しぶりに見た神々しい美しい姿に思わず胸が高鳴った…




空中でリコを抱き止めてそのまま空を飛ぶクロード



「ま、待って!!アタシお城には戻らない!!」


ハッとしてクロードの肩を掴んで強く言うリコ



「お前に選択肢があるとでも?」


少し怒った声で言うクロード



「戻りたくないの!!」


イヤイヤと首を振り暴れるリコ



「そうか、そんなに落とされたいか」


クロードがフッと鼻で笑って言う



その言葉にピタっと動きを止めるリコ



キュッとクロードの胸元の裾を掴んだ




「大人しくしていろ、街の外れに馬車を止めてある」



風で吹き飛ばされた絨毯がクロードに怯えながら、ふよふよと飛んできた



「絨毯…絨毯に乗るから降ろして」


さっき絨毯を吹き飛ばした事にムッとしてリコがクロードの事を拒絶する



「駄目に決まっている。また逃げるだろ」


リコの言動にイラっとするクロード



「このまま無理矢理お城に連れ戻す気?」


クロードと目を合わせないように視線を落として聞いた



「本来いるべき場所に戻るだけだ」




――どうしよう…このままじゃルイに何も言えないままいきなりいなくなる事になっちゃう…

びっくりして心配しちゃうよね…外から誰も入れないようにしてたのに…まさかの上空から…


それならせめて置き手紙だけでもしたい。

少しでも心配しないように…

せっかく仕事も見つかって普通に生活できるようになったのに





「クロードお願い…さっきの家に戻って…少しでいいから時間ちょうだい!持って行きたい荷物があるの…」


静かに言うリコ


――ヘタにルイの事話したりして、巻き込みたくない…皇女と住んでたのに王宮に報告しなかったとかなんか罪をなすりつけられたりされるかもしれないし…



「後で全て運ばせればいいだろ」


当たり前のように言うクロード



――これだから金持ちの発想は…



「全部運ばなくていいから!!少しだけ持って行きたいの!!後はそのまま残して行きたいの!!」


――せめてルイがあのまま生活できるように全部残したい




「お願いクロード!!なんでも言う事聞くから!!」




リコがギュッと目を瞑り両手を合わせてお願いする

その姿を目だけ動かしジッと見つめるクロード




「………わかった。けど約束しろ、なんでも言う事聞くと」




クロードが方向転換して家に戻る



「絨毯は先に城に戻っていろ」


ピクリと絨毯が反応してふよふよとリコを心配するように近づいてきた



「大丈夫だよ、アタシもちゃんと行くから」


絨毯を優しく触り言う


クロードに捕まった時点でリコは城に戻ろうと諦めていた


絨毯がリコの言葉を聞くと城に向かって飛んで行った




さっきの場所に戻りベランダに降ろされた




クロードから逃げるように家に入り、急いで手紙とペンを用意する


荷物を持つふりをしてクロードから隠れるようにルイに手紙を書いた





______________________________



ルイへ


アタシは急遽元いた場所に

帰らないといけなくなりました。

実は元々お城に住んでいて心配して

迎えが来てしまい…


今まで秘密にしててごめんね。


なので、決して誘拐されたとか

家出とかではないので心配しないでね?


この家はルイに譲ります。


この家にあるものはお金も含めて

すべて自由に使って下さい。


いきなり居なくなってごめんなさい。

また遊び来ます。

体に気をつけてお仕事頑張ってね。


リコより


_______________________________





――正直、ルイが文字が読めるかわからない…

けど、今はこれしかできない

ほんとはもっと書きたい事がたくさんあったけど時間が無い


ルイはアタシが嫌がる事気にしてる事は絶対してこなかったから…

アタシがルイの事を聞くとなんでも教えてくれたのに、自分の事を話さないアタシには何も聞いたかなかった

こんな形で伝える事になるとは思ってなくて最悪だけど、ルイに心配かけたくないし…

というかお城に住んでいてって信じてくれるかな。



「リコ、まだか?」


リビングで立っていたクロードが低い声で言う



「もう終わった!!」


クロードにバレないように咄嗟に手紙を冷蔵庫にしまい、

テキトーに詰め込んだ荷物を持ちクロードに駆け寄った



――思わず、冷蔵庫なら何か食べる時開けるだろうと思って入れちゃったけどお願いだから見つけてね、ルイ…




その後またクロードに抱えられて今度こそ馬車に連れて行かれた




――ごめんねルイ…また会いに来るからね…




急に別れが寂しくなり、しかもこんな形でさよならするなんて思っていなくて、リコは少し涙目になりながら遠くに見える自分の家をいつまでも見ていた




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