貴方の奴隷
優しい風が吹きリコの髪を優しく揺らす
「ちょっ…ちょっと待って…そこまでしなくていいから!!アタシが勝手にやった事だし、ルイがそこまで気にする事じゃないし!魔法道具を壊したのだってアタシじゃなくてルイの力がだよ!?とにかく顔上げてってば!」
アワアワしてリコもしゃがみこみルイに言う
「リコ様に使っていただければなんでもいいのです。それ以外何も考えられません。」
なんだかとても嬉しそうに顔を上げて言うルイ
「ちょっと待ってアタシそんな事してもらうほど大層な事してないし!!自由なんだからもっと他に自分の為になる事しなよ!」
リコは驚いて止める
「リコ様にとってはなにげない一瞬の出来事だったと思いますが、何もない私にとっては一生忘れない人生を変える出来事だったんです。貴方のお側で役に立つ事が私の今一番やりたい事です。」
口元が優しく笑うルイ
――そんな…ルイは今までどんな人生を送ってきてたのよ…アタシは具合悪そうにしてたから水をあげただけなのに…きっと奴隷なんて呼ばれてたもん…散々酷い目にあっていたのかもしれない。
「それに私は心配でたまりません。」
「心配?」
「リコ様のようなか弱い女性一人で街に買い物に出るなんていつ襲われてもおかしくありません。」
真剣な声で言うルイ
――ま、まぁ確かに?ルイがいなくて、もしあのおじさんに絡まれてたらアタシ終わってかもしれないけど…
それよりも…気になる事がある…
「ルイ。これから帰る場所はどこかある?」
リコが心配そうに聞く
「いえ…私には家族も何もいません。孤児で道端に転がっていたところをジャージルに拾われてからずっと使われて生きてきたので」
静かに答えるルイ
「じゃあ、まぁ…とりあえずうちに来なよ。そのアタシの役に立つとかよくわかんない話しは置いといて、まずは今日の宿を確保しないとじゃん?」
ふっと笑うリコ
「いいのですか!?」
驚くルイ
「家だけは広いからね、体の大きいルイでもくつろげるよー!」
「何から何までありがとうございます…感謝してもしきれないです」
嬉しそうに喜ぶルイ
「あっ!!けどちょっと買い足しものある!!」
バッと立ち上がるリコ
――うちの家には男ものの服とか一切ない!!流石に上半身裸で家をうろつかれるのは心臓に悪いし
「はいっ」
まさか自分の為とは思ってないルイが喜んで返事をする
・
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その後、ルイが泊まれるお泊まりセットを一通り揃えて、プラスで食材も買って家に戻った
けど、何故かルイは街の中は歩かず隠れるようにして行動していた
「いや〜助かったよ〜!ルイがいるとなんでも買えちゃうね!!ここまで持ってくるのが大変でさ、いつもは全然買えないんだよ!」
リコは家の鍵を開ける
「お役に立ててなによりです」
嬉しそうに笑うルイは
片腕に大きな荷物を担ぎ、もう片腕には大量の袋も持ってリコには一切荷物を持たせなかった
中に入ると…
「とても綺麗な家ですね…リコ様にぴったりの住まいです…」
ルイが部屋を見渡して言う
「どこがアタシにぴったりなのこんな綺麗な家…」
「リコ様の旦那様にご挨拶を…」
キョロキョロして言うルイ
「いや、旦那様なんていないから!!一人暮らしだから!!」
――確かにこんな広い家にいたら誰かと住んでると思うよね…けど、やめてくれ。逆に傷つくから!!独身の独り身だから!!むしろ最近失恋してその傷癒したいくらいだから!!
まぁ、広いって言ってもお城のアタシの部屋とそんな変わらないんだけど…てか、お城で用意されてた部屋がでか過ぎるんだけどね、ワンルームに住んでたアタシには衝撃的だったわ…
「一人暮らし…ですか…?」
信じられない…と驚くルイ
「そうだよ、とりあえず荷物ここに置いて〜」
と呑気にリコが言いテーブルの上に荷物を置くルイ
「リコ様危険過ぎます!!」
買ってきたものをしまっていたら、急に大きな声を出すルイにびっくりするリコ
「びっくりした…どうしたの急に」
驚いてルイを見る
「女性一人で暮らしているなんて!私決めました。リコ様の護衛としてこの家の外で暮らします。」
真剣な声のルイ
「そ、そんな危ないかな…けど、アタシ何にも強くないから護衛は嬉しいかもな…」
――そしたら、アイツの命も気にしなくて済むし…
「本当ですか!?」
ダッと駆け寄るルイ
「うん、けどアタシ給料あげれるほどお金ないから、ここで暮らす代わりに護衛はどう?」
リコがひらめいたように言う
――お金はあるっちゃあるけど、これそんな使っていいお金かわからないし…
「もちろんです!そのほかの家事すべてやります!リコ様のお側にいれるのならば!」
とても嬉しそうなルイ
「おおー!家事もできるのルイ!?じゃあお願いしちゃおかな〜」
極度のめんどくさがり屋なリコの顔が楽ができるとニヤける
「とりあえずさ、砂すごいからお風呂入ったきな」
ルイにさっき買った寝間着を渡して場所を案内するわリコ
「これ私が借りていいんですか!?」
驚いて受け取りリコの後について行くルイ
「男もんの服なんてなんもないんだもん。早く入ってきて、ほらご飯も作ってくれるんでしょ?」
ニヤッと笑うリコ
「はいっ!」
すごく嬉しそうなルイにリコまで笑顔になる
それからリコはテーブルに座り
――やっべえええええ!!!!
思わずノリと勢いと楽ができるからってルイの事雇うみたいになったけど大丈夫だよね!?
あんな従順そうな優しいルイだけど、一応男じゃん!!
1つ屋根の下でなんか起きたらどうしよう!?
大丈夫かな!?だ、大丈夫。信じるしかない…
テーブルに膝をつきガッと両手で頭を抱えて考ん込んだ…
「リコ様ありがとうございました」
お風呂上がりの少し髪の濡れたルイが出てきた
「えっ、上の服は?」
驚いてルイを見るリコ
ルイはまた上半身裸で寝間着の柔らかそうな薄いベージュのズボンしか履いていなかった
「入りませんでした…」
と少し落ち込んで手に服を持っているルイ
「いや、どんだけガタイいいんだよ…」
ツッコミ入れるリコ
「すぐに食事の支度をしますね、何が食べたいですか?」
すぐさまキッチンに向かうルイ
「肉ー!!」
リコがルイの引き締まった背中に叫ぶ
「では、リコ様に喜んでいただけるように頑張ります」
子どものように叫ぶリコの姿に癒されたのか優しく笑うルイが…
少し濡れた顔に張り付いてた前髪をかきあげてリコを見た
「えっ!!!」
ガタッと思わず立ち上がるリコ
「どうしましたか…?」
不思議そうにリコを見るルイ
「い、いえ…何もないです…///」
スッと座るリコ
また、テーブルに両肘をついてガッと両手で頭を抱え込むリコ
――待って待って待ってー!!
何このまた乙女ゲームみたいな少女漫画みたいな展開!!!
長い前髪に隠れていたルイの顔は整っていて超絶イケメンって…
いや、綺麗なグリーンの瞳はしてるし、鼻筋通ってたからブスではないとは思ってたけど、
あんなイケメンとは思わないじゃん…
焼けた肌に綺麗なグリーンの瞳がすごく合っていて…しかも、クロードと同じくらいの背丈で2メートルくらいあると思うし…おまけに良い体してるって…
アタシあんな心臓に悪いイケメンと暮らすの!?
無理じゃない!?大丈夫かアタシ!?///
「あ、先にお風呂入ってくるね〜」
はははーと力なく笑ってお風呂に向かうリコ
「お手伝いしますか?!」
当たり前のように聞くルイに
「しなくていい!!///」
バタン!!とお風呂のドアを閉じた
・
・
それからお風呂からあがると…
前髪が顔に被さったいつものルイがテーブルの横で立って待っていた
「えっ、まさかずっと立ってたの!?」
驚くリコ
「はい」
それなのに嬉しそうなルイ
「いやいやいや!座っていいよ!なんでずっと立ってんの!?疲れるじゃん!!」
リコはルイの横の椅子を引く
「主人より先に座るなんて事は絶対に許されませんし、基本的に床が汚れるので地面以外は座れません」
普通に答えるルイ
「ねぇ、ここで暮らすならそうゆう今までのルール全部忘れてもらうから、それ普通じゃないのわかってる?」
ルイの扱いが酷かった事に腹を立てるリコ
「申し訳ありません…」
シュンと落ち込むルイ
「ルイに怒ってんじゃなくて、今までそういう扱いしてきた奴等にムカついてんの!!ほら、早く椅子に座る!!」
ルイを無理やり座らせて、リコも向かい側の席に座った
「ありがとうございます…」
またリコにうっとりするよな声を出して感謝するルイ
「てか、すごいね夕食!!!」
テーブルにたくさん並ぶ肉料理メインのお皿達はバランスよく野菜もちゃんとあった
「基本的な事はなんでもやらされてましたので…」
少し照れて笑うルイ
「いただきま〜す!」
リコがルイの作ったご飯を嬉しそうに食べる
「おいし〜!!」
目を輝かせてルイを見て、並ぶ料理を次々に口に運ぶ
その姿をジッと見て口元が優しく笑ってルイ
「私は今、産まれて初めて奴隷で良かったと思いました」
優しい声で言うルイ
「えっ…」
「きっと奴隷でなければこんなリコ様に喜んでもらえる事もなかったです。」
嬉しそうに笑うルイ
「その、ルイが奴隷って言うのは本当なの?この国はそんな事許されてるの?」
リコは静かに聞く
「いえ、禁止されています。ですが、ジャージルは魔法道具を使って私の体を操り奴隷のように扱っていました。本人もそう言ってましたし…ジャージルが命令した事は全てやっていました…私は人のようには扱われず、道具のように扱われてましたから」
――だから…アタシにとって当たり前の事もルイにとっては感謝されちゃうのか…
「本当に最低だよね、そのジャージルっておじさん」
リコが怒って言う
「ジャージルはこの街を支配する貴族です。街に住んでいる人は誰も逆らう事ができません。少しでもジャージルの機嫌を損ねると全て奪われ生活ができなります…それか私に酷い仕打ちをされます。」
辛そうにルイが話し出した
「私はジャージルの命令に従う事しかできず、この街の人に散々酷い事をしてきました。なので私が歩くだけで怯えられて、近づく者は誰もいませんでした。ですが、リコ様は違いました…」
痛々しく残る首輪をはめられていた跡を触るルイ
「だから街を歩く時ずっと隠れてたのね…」
さっき買い物をする時に一緒について来たものの人から隠れるように動いてた
――みんなを怖がらせないようにしてたんだ…
こんなに優しい人なのに…自分がやりたくてやった事じゃないのに…
「はい…」
落ち込むルイ
「ルイ!!今日からアンタは生まれ変わるの!!今までの嫌だった自分は全部忘れなさい!!」
強い声でリコがまっすぐルイを見て言った




