間抜けな女神
街への買い出しは結構時間がかかっていて、
家に戻ると日が沈みかけていた…
「疲れた〜」
買ってきたものを置いてソファに座るリコ
その後は外の屋台で買った食べ物を食べてお腹をいっぱいにしてから
王様とシアンに慣れない文字で手紙を書いた
内容は綺麗な家で絨毯と一緒に何不自由なく暮らしているので安心してっていうことと、
シアンに向けてはリコのドレスプロデュース計画は作成中で今はまだ落ち着いているけど、これからまたドレスの案が欲しいって言われたらリコの部屋にあるタンスの引き出しにいっぱいあるから使ってって事、従者の契りを解く方法を見つけるって事を書いた
最後に当分帰らないので探さないで欲しいって書いて封筒を閉じた
――クロードには書きたくない。
リコはもう傷つくのが怖くなり、クロードに心を閉ざして関わることを恐れるようになっていた
――シアンなら今のアタシの状況を一番わかってくれてるから、きっと王様にも上手く言ってくれるはず…
クロードとどうこうあったなんてクロードの立場が悪くなるから絶対言わないし…
誘拐されたその恐怖からお城にいるのが怖くなったとか言ってくれてると余計な誤解を招かないから…そう言うってくれてるといいな…
『勝手に消えたりしないでくださいよ』
ふとシアンの言葉を思い出すリコ
――ごめんね…シアン。
リコは手紙の封をしっかり閉じて心の中で謝った
「ねぇ絨毯…郵便局とかあるなかな…」
首を傾げる絨毯
「というかお城に手紙って届くものなのかな…この手紙が王様のところに届かなくて、安否確認できなくて大騒ぎになってアタシに賞金とかかかったりしないよね?」
自分の妄想でつのる不安
「えっ、絨毯これ届けてくんない?」
リコが手紙を絨毯に差し出す
バッと驚く反応する絨毯
「それが一番早くて安心じゃない!?絨毯が届けたらアタシが書いたって信じてもらえそうだし」
うーんと考え込む絨毯
「大丈夫、大丈夫!絨毯が居ない間は家から出ないようにするからさ!」
そういうとコクリと頷く絨毯
「ふふっ、やっぱり心配してくれてたんだね、優しいね絨毯は」
リコが優しく絨毯を撫でた
「今日は疲れたから休むけど明日は何日も家から出ないように備蓄しよう!」
絨毯が賛成するようにバタバタ動いた
・
・
それから…備蓄を済ませて絨毯は手紙を持って旅だった
幸いな事にリコは民衆に第五皇女としてお披露目されていないので、顔が知られていなかった
もちろん念の為に顔を出さないようにして買い物に出かけたが、皇女なんてバレることはなかった
そして、リコは備蓄する時に一緒に買いだめした本をずっと読んでいた
魔法を解く方法
特別な魔法の使い方
神力と魔法
太陽と月の力
神々の力
などなど…
ちょっとでも関係してそうな本をまとめて買って読んでいたが…難しくてわけがわからない事だらけで…
「あーー!!!もう無理!!」
絨毯が旅立って2日で限界が来ていた
海の見えるバルコニーに出て
「もうこの景色最高。けど何故こんなに天気がいいのに引きこもってんだアタシ…」
柵に肘をついてニイっと口元を釣り上げて悪い顔して笑うリコ
「そういうばちょっとばかし水がね〜足りないのよね、飲み物がないとね…やっぱり生死に関わるし」
楽しそうに出かける準備をして外に出るリコ
――絨毯ごめん!!たった2日で約束破って
少し反省をして街に出るリコ
「やっぱりいいねー!!賑やかな街!」
少しずつ街にに慣れてきたリコは今日は少し探検しようかとニヤニヤする
――いつも長居しようとすると絨毯がバタバタ暴れるからさー
リコはあまり肌を出さないように深くフードをかぶり丈の長い服に、長い袖で肌を隠すような格好をしていた
アクセサリーや可愛い器や雑貨をゆっくり見るけど、無駄遣いはダメだと全部我慢した
――きっと普通の皇女様なら欲しいと思ったものは全部買うんだろうなぁ…けど今アタシは一人暮らしの身だからね、必要なものだけ
飲み水を大量に買うリコ
重い飲み水を持ってフラフラ歩いて
少し休憩しようと人が居ない路地の前で休もうとすると…
「えっ……人!?」
路地裏で壁に寄りかかってぐったりしている人がいた
リコは思わず
「大丈夫ですか!?」
荷物を抱えたまま走り出す
そこには、地面に座り込み壁に寄りかかってぐったりしている男の人がいた
黒に近い焦茶色の髪に少しウェーブがかかり、柔らかそうな髪は首ぐらいの長さで、長い前髪で表情が見えないが反応が無い
体格がかなり良くて、ズボンを履いて上半身裸の肌は焼けていた
「嘘でしょ!?脈を!ってどこら辺!?」
リコその人の横にしゃがみ込み手首の脈っぽいところを、触るとドクドク動いてたので少しホッとする
すると急に男が少し首を動かして
「私に関わってはダメです…」
と力なく言った
よく見ると首に厚い鉄の輪をつけて手首と足首にも同じ鉄の輪がついていて裸足だった
その男の人は疲れ切っていてかなり弱っていた
「ちょっと何言ってるかよくわかんないけど、とりあえず水を!!」
リコは全然空気を読めずとりあえず男に水を飲ませようとする
水を飲ませようとと少し屈んで水の入った大きな瓶を男の口に優しくあてると
フードからチラリと見えた白い肌に逆光での神々しく美しい顔に見惚れる男
「貴方はもしや……女神なのですか……?」
チラリと長い前髪から見えた綺麗なグリーンの瞳が少し輝きリコを見た
――綺麗な瞳…宝石のエメラルドみたい…
って、この人…アタシが女神って、大丈夫か!?幻覚見えてる!?
「通りすがりの普通の人間です!貴方具合悪すぎて幻覚見えてるよ!!水飲んで水!!」
水を飲ませるリコ
「ありがとうございます…女神様…」
力なく言って水を飲む男
「いやいやいや、だから違うって!幻覚がすごいけど大丈夫!?どうしよう…病院とか行く?」
アワアワするリコ
その様子を見てクスリと笑う男
「この街に降りた女神様は随分可愛らしい方なのですね」
優しく言う
「いや、だから違うって!!話し聞いてる!?聞こえてる!?」
「ありがとうございます…少し脱水症状だったようです…だいぶ楽になりました」
会話が噛み合わないまま体を動かそうとする男
「無理して体を動かさない方がいいよ!こんな日が差してるんだから水飲まないとダメだよ!アタシ水買い過ぎて持ち帰るの大変だし、それあげるからちゃんと飲みなね」
リコは飲みかけの大きな水の入った瓶を置いて立ち上がる
――にしても…なんでこの人こんなボロボロで…
首とか手足に手錠みたいな鉄の輪つけてるんだろ…
けど、鉄の輪に薄紫の石がついてるからアクセサリーなのかな?この街ではこんなハードな感じのアクセサリーが流行ってるの…?ちょっと理解に苦しむわ…
だってこれじゃあ…
奴隷とかそういう風に見える…
そんなわけ無いと思うけど。
てかこの人、かなり鍛えてる…胸筋とかすごいし、アタシの好きな腹筋もバキバキで…ってバカバカバカ。変態かっ!
けどさ、ここに来て思ったけどこの街の人暑いからなのか露出がすごいんだよね…
女の人とか普通にヘソ出してるし…
男の人もズボンだけ履いて上半身裸とか普通だし…
なんならこの人もズボンだけ履いて上半身裸だし…
見せてるんだから見ちゃってもしょうがないよね!?ってバカ。
なんて自分に一人でツッコミをいれていると…
「ルイ、こんなところで何をしている。頼んだ用は済ませたのだろうな。」
いかにもお金持ちそうな厳しい顔をした叔父様が腕を組んで路地裏に入って来た
――えっ、何このすっごい偉そうにしてるおじさん…
すごい目つき悪いし、着ている服は派手な赤に金の刺繍で派手だし…
他にはたくさん高そうなアクセサリーつけて、首にもたくさんつけて、ターバン巻いてる…
絵に描いたようなお金持ちみたい…だけどすごい性格悪そう…ヒゲも口と顎に蓄えて…それに肌そんなに焼けてない…
……えっ、そしてルイってもしかしてこの男の人の事かな?
「ご主人様…」
怯えるような声を出す男をバッとリコが見て驚く
――ご、ご主人様!?!?
えっ、何このおじさん怖っ!!
もしかしてこの男の人がかけられてる、首輪とか手錠みたいのってこのおじさんつけさせてるの!?
え!?どんなプレイ!?怖いんだけど…
ドン引きしておじさんを見るリコ
――まぁ、とりあえず…どんな趣味があるにしても、このおじさんと男の人知り合いみたいだし…具合悪るそうなのなんとかしてくれるでしょ…
「では、私はこれで失礼します〜」
リコがそそくさとおじさんに背を向けて退散しようとした時
「待て、お前は私が誰だかわかっているのか?そして、我が所有物に勝手な事をして許されるとでも?」
馬鹿にしたように笑いリコを見る
「すみません…存じ上げないです。それに所有物ってなんのことですか……」
――えっ、この人誰?知らんし…
しかも所有物ってなんのこと言ってんの?何の話ししてるの?
………もしかして所有物ってこの男の人の事言ってるの!?だからどんなプレイなの!?
「違います、この方から私が水を奪って飲んだんです」
何故か男の人がサッと立ち上がりリコの前に立った
――えっ…?なんでそんな嘘を…?
というかおじさんが主人ならこの人助けてあげたアタシにまず、ありがとうでしょうがこのクソジジィ。
「お前は主人に嘘をつくのか?」
楽しそうに笑うおじさん
「とにかくこの方は関係ありません…」
逆らえないのか静かに言う男の人
「そういう事なんで失礼しま…」
リコが逃げようとすると…
「さっきからこの無礼者!!私にはひざまづいて話せ!!」
怒鳴りつけて怒り意地の悪そうな叔父さんが手をバッとかざすすと…
ドサッ!
リコは体を叩きつけられるような衝撃に地面に這いつくばるような体勢で思い切り倒れた
――痛っっぁ!!!
何これ!金縛りにあったみたいに体がゆうことがきかない…もしかして…魔法!?
目には見えない力で押さえつけられるリコ
「おやめください!!」
リコの前に立ち大きな声を出す男
「私に逆らうのか貴様。もしかして、その女が気に入ったのか?それは面白い。じゃあお前が殺せ」
高笑いして今度は男に向かって手をかざすと
「それだけは…ご勘弁を…」
苦しそうな泣き出しそうな声を出す男
リコは押さえつけられていた魔力がなくなり、やっと体を起こせるようになると…
目の前に男が立ちはだかりすごく苦しそうな顔をしてリコを見ていた…
そして
リコの首に手を回した




