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右と左の気遣い



リコは部屋に戻ってすぐ着替えて

クロードのローブはとりあえずクローゼットにしまって置いた



その後リコの部屋にシアンが来て夕食がたくさん運ばれて来た

リコと面会が許されている人が立ち会っていれば、使用人は部屋を出入りして良い事になっていた



――そういえば昨日の夜から何も食べてない…それどころじゃなくてすっかり食欲を忘れてた



「ねぇ…アタシどれだけ食べると思ってるの…2人分あるじゃん…」


一つの料理に対して全部二つずつあった



「私の分です」


ニッコリ笑うシアン


「えっ…一緒に食べるの!?」


食事をする時はいつも一人だったので驚くリコ


――クロードに監視されながらご飯食べた事はあるけど、一緒に食べた事ない…

クロードに好き嫌いすると無理矢理食べさせられた事はあるけど…誰かと向かい合って食べるのは初めてかも…


二人がけのテーブルにはいつも一人分の食事しか並ばないのに二人分ある事が不思議な感じがする…



シアンが目の前に座る



「いただきます…」


――なんだが変な感じ…



楽しく話しながら食べるわけでもなく、二人きりの部屋で静かに夕食を食べる


目の前で綺麗に食事をするシアンをジッと見るリコ



「そんなに見られては食べ難いです」


目を伏せてナイフとフォークを使うシアンがパッと目を上げてリコを見る




「ねぇ、もしかして気にしてるの…?」



リコが静かに聞く



「何をです?」


シアンが無表情で聞き返した



「言っとくけどシアンのせいじゃないし、今回の件は誰のせいでもないよ。」


リコは強く言うとシアンの視線を無視してスープを飲む



シアンがここに来てからたまに見せていた、思い詰めるような表情をリコは見逃さなかった



――最近よく一緒にいたからね…アンタが考えそうな事なんて大体わかるんだよ…柄にもなくこんな事しちゃって逆に気になるわ!



リコは自分の面倒をシアンが見るようになったタイミングで拐われたので、もしこれが今まで通りクロードだったらこんな事にならなかったのではないかと

また自分とクロードを比較して負い目を感じているのではないかと思っていた



「……気にするに決まっているでしょう」


静かに言うシアンの顔は怒りに満ち溢れていた



「リコが一人になる時なんて今までいくらでもあった、だが私が…」


「それ以上喋ったら手にフォーク突き刺す」


リコが怒ってシアンを見る




「アンタがそんな事言い始めたら、アタシが一番悪いよ。あの日久しぶりにクロードに会って浮かれて、その夜にお茶なんて出されたもんだから信じちゃって…お茶飲んで…」



リコが静かに話す



「だから、この話はもうやめよ。こんな事する奴が一番悪いし、シアンが気にするとアタシがあの時もっと警戒して部屋に入れたりしなければ、シアンがこんなに思い詰める事もないのに…ってアタシが気にする。皇女なんだからもっとしっかりしてアンタを守ってあげる立場なのに…ってかなり凹むから」


力なくリコが笑う


――クロードにも対してもそう。なんでいつもだったらすぐアタシを怒るくせに、自分の事ばかり攻めて自分を追い詰めるの…馬鹿…。




「随分と立派になられたましたね第五皇女」


フッとシアンが笑った


「そりゃ毎日厳しくてうるさいのと一緒にいますから」


嫌味のように笑ってリコがいる


「うるさいのとは誰のことでしょう?」


ニッコリいつもの笑顔になるシアン


「あれ?心当たりがございませんか?」


ふふっと笑うリコ



――よかった。いつものシアンだ。

きっと、アタシの気持ちを察してくたんだ…



シアンは優しく笑うリコを見て、これ以上自分を攻めると酷い目に遭って辛いはずなのに、更に本人を苦しめてしまうと思い考えるのをやめた



「まったく…もっと皇女らしくしなさい」



シアンが優しく笑った


もっと皇女らしく、お前は使えない、配慮が足りないなり、早く犯人捕まえろなどと怒鳴りつけてくれた方がまだマシだと思っていた

そっちの方が慣れているのでこういう時どうしたらいいかわからないシアンはリコが望むまま気にする事をやめた







その後は湯浴みの手伝いが必要ならクロードを呼ぶとシアンに言われたが丁寧にお断りし、お風呂に入ってベッドに入った



――アイツ…顔出すと思ったけど…もう第四皇女につきっきりなんだね…



リコはクロードが疲れ切った顔で馬車に揺られていた姿を思い返した



――あんなに疲れてたくせに…大丈夫かな。



少し心配になったけどリコはギュッと目を瞑り布団に潜った





………



夢を見た



今日襲ってきた男二人がアタシを人気のない崖に連れていき、高い高い崖から突き落とす夢…

事故に見せかけようと殺そうとするところだった



どんなに叫んでも声は出なくて、

アタシは何故かクロードの名前を何度も何度も叫んでいて…


誰も助けに来てくれなくて…


真っ暗な闇に突き落とされる夢



………



「はっ………!!!」



リコはバッと目を見開くとベッドの上で見慣れた天蓋ベッドの柔らかい布が天井に見えて



ホッとすると同時に夢でもかなり現実的だった為怖くて怖くて…



寝返りを打つと




「えっ…?」


あまりの驚きに固まって思わず声が出るリコ



長い黒髪を下ろしたローブのような寝間着姿のクロードが眠っていた



薄暗い部屋に綺麗な寝顔で眠り、大きく開いた胸元はかなり色気があって思わずドキリとし

寝間着だからか、いつもより緩く開いた胸元からは従者の契りで交わして入ったタトゥーが見えるほど開いていた



「夢の中では何度も呼んでも来てくれなかったくせに…」


リコはボソッと呟いてフッと笑う



――なんでいんの…いつからいるの…心配して見にきてくれたの…?




それなら、今だけ今だけでいいから…




ギュッ



リコは眠るクロードのそっと抱き着いた



――すごく怖い夢を見て起きたら目の前にアタシが一番安心できる存在のアンタがいたら…飛びつきたくなるに決まってるでしょ…



いっっっつもアタシの事守ってくれるんだから。



だから…



今だけはアタシだけの執事でいて…






今だけは第四皇女ではなく自分の隣にいてくれる事がとても嬉しかった




リコがクロードに抱き付いて目を瞑ると




「………」


クロードがスッとリコの背中と後頭部に手を回し抱き寄せた



――お、起こしちゃった…?///


驚いて恐る恐る顔を上げてクロードを見るリコ




「…怖い夢でも見たのか?」


眠そうなクロードの声は優しく

ゆっくり瞬きして優しい表情でリコを見た



――うっ…///なんでわかったの…


「うん…///」


あまり見られない無防備な表情にドキドキするリコ




「安心しろ…俺がいる」


眠そうに優しく返すクロードがグッとリコの後頭部を引き寄せる



「寝ろ…」


リコの耳元でクロードが優しい声で囁いた


ドキドキして逆に目が覚めてしまったリコ



「寝れない…///」


思わず本音か溢れるリコ



すると…

寝かしつけるかのように優しく優しくリコの頭を撫で始めた



ドキドキする胸を抑えてリコもゆっくり目を瞑った…







朝起きるとクロードはもうそこにはいなかった




――なんか、一緒に寝てたのかも夢なんじゃないかって思っちゃう…




リコは起きて顔を洗っていると



コンコン



「おはようございます」


シアンが入ってきて朝食を持ってきてくれた

いつもは侍女達と湯浴みが先だったが、朝食を済ませて自分でお風呂に入った



お風呂から上がるとシアンがテーブルに大量の書類を広げて椅子に座っていた

チラッと見ると難しそうな書類ばかりで…



「えっ…まさか…ここで仕事すんの!?」


驚いてリコが言う



「貴方を誘拐した犯人が捕まるまでは当分はそうなります」


ニッコリ笑って言うシアン


「そこまでするの…」


「当然です」



その後はシアンと向かい合ってリコもドレスのデザインの案を考えていた


後はこの国についての本をシアンに読まされたり

リコが好きな本を読んだりして自由に部屋の中で過ごした


時間になったら軽く会話をしながらご飯を食べて…



そんな日を過ごして3日経った


――なんだかシアンが部屋にいるのが当たり前になってきたよ…




その内の一度だけシアンに連れられて王様に会いに行った


王様に聞いた話だとまだ絨毯が帰って来ないとか…

それを聞いてリコも少し心配なっていた

また、どっか異世界に行ったんじゃ…と思ったけど、

絨毯は出かけると中々帰って来ないらしいので気長に待つ事が多いとか…

異世界に行った時はあまりにも長過ぎて驚いたと言う話を聞いた


色々寄り道したり道に迷ったりして帰ってくるので、一度出ると中々戻って来ないとか…



そして、



クロードとはあの日以来、また一切会わなくなった

それを寂しいと思うリコだった







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