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王の右腕と左腕



「く、クロード!!///」


「なんだ」


「なんだじゃないから!!///」


馬車が宮殿に着いて城の中にいた




「さすがに降ろして欲しいんだけど!!///みんな見てるから!!恥ずかしいんだけど!!///」



クロードはリコをお姫様抱っこしたまま城内を歩いて王様の部屋に向かっていた



「何を今更、日々醜態を晒しているでわないか」


フッと笑うクロード



「はぁ!?///いつどこでアタシが醜態を晒したっていうの!?とにかく恥ずかしいから降ろしてよ!///」


クロードの肩を掴んで暴れるリコ


――けっこう力を入れて暴れているつもりだけど全然ピクリとも動かないんですけど!!にしても恥ずかしいんだけど!!///王族の人やら使用人の人が廊下の端に寄って頭を下げてるとは言え、その前に見られてるんだもん!!



「第五皇女、また醜態を晒すつもりか?素足で城内を歩こうとするなんて」


馬鹿にしたようにブルーの瞳がリコを見る


リコは拐われた時にいつのまにか素足になっていた



「なっ!!///じゃあ靴持ってきてよ!!常に皇女が万全な態勢でいられるようにしっかり勤めなさいよ!この馬鹿執事!!」


馬鹿にされて腹を立てたリコが文句を言う



「俺が馬鹿だと?ではお前は何になるというのだ。馬鹿の意味を理解してから使えこの馬鹿」


無表情で答えるクロード


「はぁ!?!?馬鹿の意味がわかってるから、今こうやって正しく使えてるんでしょうが!!」


ギャーギャー言って暴れるリコを相手にしなくなるクロード



その2人の会話聞いて、廊下の端に寄って頭を下げている王族や使用人達が



……この国で恐れる者もいるほど、敬意しか払われない右大臣様に向かってあんな事を言うなんて…一体何者なんだ第五皇女様は……


……第五皇女様は王様が認めた鬼才があると聞いていたが、鬼才とは一体なんなんだろうか…まさか!!アスファ様にも匹敵する魔力や何か特殊な力があるのではないのか!?でなければアスファ様にあんな大口叩くまい!!……


……あ、アスファ様が姫を抱き抱えて城内を歩いていらっしゃるわ…///なんて羨ましい光景なのでしょう…アスファ様がお城の中であんな事をするなんて信じられません…///第五皇女様は本当に凄い方なのですね……



と内心思う王族や使用人達



この国では神力を持つクロードは崇敬され、特別に扱われるのに関わらず、ましてやこの国の右大臣に対してリコの態度があまりにもデカ過ぎ、いつのまにか第五皇女に関しての色々な噂が出回っていた


元々いきなり現れた情報がなにもない、無名なリコが第五皇女になった為、有る事無い事言われそのせいで城内では恐れられる存在になっていた、もちろん当の本人は何も知らず呑気に過ごしていた





昨晩リコが拐われた事は騒ぎになると面倒なので、王族でも階級が下の者には知らされていなかった。

上級の者達は姫が拐われたと聞くと大騒ぎで近衛兵を出し捜索をさせていた。


そして、無事に今クロードが第五皇女を連れ帰ったと報告が上がり、



その報告を聞きつけて…



「リコ!!」


後ろから声がしてクロードの肩越しに振り返ると



「シアン!!!」


リコが身を乗り出してシアンに両手を伸ばす


普段は滅多に走らないシアンが心配した顔でしなやかに駆け寄ってきた


クロードも顔を少し横に向けシアンを見たが歩く足は止めずそのまま進んだ




「ねぇ、ちょっと!!はぁ!?」


リコがクロードに向かって言う


「普通止まるでしょ!!シアンが心配して来てくれたのに!なんなら降ろしてよ!!」


――感動の再会じゃんよこれ!!シアンがあんな心配な顔して!!一生拝む事ないよあんな顔!!


ギィー!!とクロードの腕を掴んで暴れるリコ



「リコ、なにを勘違いしているのですか」



いつのまにかクロードの後ろにいるシアンがリコに言う



「えっ?」


クロードの肩を掴んで身を乗り出してシアンを見るリコ



「貴方の心配などしていません。クロードの命の心配をしていたのですよ」


ニッコリいつもの笑顔なる


「えっ…」


――そ、そういうことか…アタシ自身の心配じゃなくて、クロードの命がかけられてるアタシを心配してたわけね…


そうだった…シアンはアタシのこと嫌いだし、何よりクロードを優先するのを忘れていたよ!!

最近一番一緒にいる存在だったからちょっとでも心配してくれたと思った自分を殴りたい!!


ぐっと目を瞑り悔しがるように目頭を抑えるリコ

その姿を見て自然な笑顔になるシアン



「安心して下さい〜この通りアタシは無傷で救出されたので〜」


リコがシアンに向かって太々しい態度でクロードの肩から身を乗り出す



「当たり前です、誰が助けに行ったと思っているのですか、クロードの命が無事で良かったです」


そう言うとシアンが


スッとリコにの頬に手を伸ばし優しく添えた



クロードの命が無事で良かったと言うわりにすごく安心したような優しい表情でリコを見るので…



「ほんと良かったね」


――その顔でその行動はアタシを心配してくれてたように見えるけどね


少し嬉しくて照れたようにリコが笑った





王様の部屋に着くと


「リコ!!」


王様が王座から立ち上がる



クロードが


「椅子と靴を用意しろ」


近くにいた王族に言うとすぐに椅子が用意されてクロードがリコを座らせた



王様が駆け寄って来て


「怖い思いをしたな、大丈夫だったか…?」


心配そうにリコの前に立ち優しく手を握る王様


「はい、なんとか!」


心配かけまいと笑うリコ



その後は王様に何があったか全て話した……



リコはクロードを気遣って本人に言っていなかったが、侍女を入れてしまったとだけ言うと、王様に不審がられてので、正直にクロードからお茶が届いたと聞いて安心して侍女を部屋に入れてしまった事も王様の前ではすべて話した


その時にチラッとクロードを見るとすごくすごく怒っていてリコはすぐ目をそらした



「そうか…その侍女は随分と城内の事に詳しいな…リコがお茶を好きな事も知っていて、クロードの事を信頼した執事と言う事も知っている…それとも城内の者が外部の者を雇って伝えたのか…どちらにせよ」


王様が部屋にいる数名しかいない上級の王族を見回し




「城内に裏切り者がいる可能性が高い」




王様の目が少し金色に光り怒りに満ちた表情は頭を下げたくなるような気持ちになり、周りの王族達は後ずさりし怯えていた



――し、神力…?それとも王様の力…?どちらにせよこの人の上立つ、支配されるような感覚は何…


リコは自分に向けられていないのに王様の姿を見て少し手が震えていた



「だが、リコをその場で殺さなかったのはリコを警戒していたと考えられる…王族は基本的に魔力があるからリコも魔法を使えると思っていたのか、それとも未知な事が多い姫だから何か特別な力があると思っていたのか…抵抗されたら騒ぎになるからな。つまり、リコの事を詳しく知らない城内の者の可能性があるな」


王様が静かに言う



――そっか…アタシはまだ全然知られていないからかなり警戒されて誘拐されたのか…遠く離れた場所で事故に見せかけて殺そうとしてたんだねきっと…

お城をこっそり抜け出して荷馬車に忍び込み脱走した姫が事故死とか言う事にしてね…


そんな!!アタシがお城を脱走するわけ…



リコはそっと自分の胸に手を当てて



――思い当たる節があり過ぎて何も言えない!!最近シアンに外出たい外出たいってずっと言ってたし!!

だいぶ痛いとこ突いてる!!


もしかしてその会話も聞かれてたってこと!?

いやいや、もしかしたらアタシじゃなくてクロードに怨みがあるって事考えられるかも!?



考えれば考えるほど謎が増えて

うーんと眉間にシワを寄せて考え混んでいると




「リコ、散々な目にあったな…今日はもうゆっくり休め。当分はリコとの面会は我とクロード、シアン以外は一切禁ずるから安心しろ、この件は必ず解決してやるからな」


王様が優しくポンとリコの頭に手を乗せた



「ありがとうございます。王様」


リコは王様の頼もしい姿に安心して優しく笑う



その後リコは靴を履いて王族2人に送られて自室に戻った



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リコが居ないなった王室では会議が開かれようとしていた



「アフィリア王、私はシアンと共に調べたい事がありますので席を外します」


怒りを抑えているクロードが低い声で言う



「王様、失礼します」


シアンがクロードの横に立ちいつもの笑顔なのに声が冷たかった


二人は出口に向かう



二人共城内にリコを殺そうとした者がいる事は予想していて、リコを助け出したらすぐにでも行動しようと決めていた



「待て、今の頭に血が上ったお前達では何をしでかすかわからん。リコを傷つけた奴等に怒りを覚えているのはわかっているがもっと冷静になれ。それでは見えたものも見失い、すくい上げたものも手から溢れ落ちるぞ。」


王様が呆れて言う



「クロード、お前はわかっているのか?リコを襲った盗賊まがいの二人は罪を犯したとはいえ、重要な証人だったのだぞ、あんな半殺し状態の意識不明で連れ帰ってもいつ意識が戻るかわからん。それくらい判断が鈍っている。」


静かにクロードに言う王



「私の失態でご迷惑をおかけして申し訳ありません。違う方法で罪人を探し出して過ちを償いますので、お許しください。」


クロードは反省した顔は一切せず、真っ直ぐ王を見て言う



クロードの反応を見て、やはりな…と額に手をつき呆れる王様


「お前がそんな馬鹿げた事をするとは思えん、どうせ最初からそのつもりだったのだろう…殺さなかったのが唯一の救いだ」


はぁ……とため息を吐く王



クロードは最初からリコに危害を加えた盗賊2人を殺して、それでも犯人を捕まえようとしていた

証人がいた方が犯人探しは早いのは重々承知だったがそれでもリコを傷つけた盗賊が生きている事が許せなかった

犯人を探す方法は自分でいくらでも用意して必ず探し出すと…効率を考えて常に行動するクロードがこんなに効率が悪い事をする事はまずないが、それくらい怒りに満ちていた



「失礼します。」


クロードが王室から出て行く


「何かわかり次第すぐにご報告いたします。失礼します。」


シアンが笑顔で王に言いクロードの後を追った



王様は王座に座り



「まったく…王の右腕と左腕と謳われているお前達が何も機能していないではないか…

リコ…お前は一体何者なのだ…我の国の右大臣と左大臣を両方動かすなど…王以外できぬ事だぞ…」


呆れて笑う王様



「それに絨毯もリコは見つかったというのにまだ探しているのか戻って来ない…アイツは抜けているところがあるから仕方ないか…」


絨毯もリコが拐われた話しを聞いて飛び回っていた



「我も許しはせんが奴等があれだけ怒っているのだ、見つかった犯人に同情する…酷い目に遭うだろうな…」



王様がさっき怒りを抑えて話すクロードとシアンの姿を思い出し、諦めたように笑った



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