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唯一の味方



その後は仕立屋のニーナが驚異の早さでドレスの試作品を持ってきたり、もっと一般人向けに着れるものデザインして欲しいなど色々話し合って


着々とドレス実売の準備が進んでいた


シアンとは少し距離が縮んだと思っていたのに馴れ馴れしくするとやっぱり嫌がられるので、あの出来事はきっと気のせいか幻だったとリコは少し落ち込んだ


けど、その落ち込む自分の姿を見て気分が良さそうにしているシアンにはリコは気付いてはいなかった



クロードとは相変わらず会う事はなく、寂しい気持ちが強くなっているのに気付いたリコは目の前のやる事に夢中になり考えることをやめた




そんなある日…



「ねぇ〜ちょっと休憩したい〜」


リコは最近部屋にいる事が多かった為、シアンが今日は運動がてら舞の練習を入れられていて、舞が終わったらすぐに打ち合わせというハードスケジュールを組まれていた



舞の練習が終わったリコを迎えに行き、廊下を歩くシアン


「貴方にそんな時間はありませんよ」


嫌がるリコの顔を見てシアンが笑顔で言う


「ちょっとでいいから〜これじゃあ疲れて良い打ち合わせができないー!」


リコは文句を言いながらシアンの横をダラダラと歩いていた




この後すぐに湯浴みをして仕立屋のニーナを迎える予定なので休憩無しだった


「湯浴みを念入りにするのをやめて…」


「そんな不潔な姫がどこにいますか」


「いや、お風呂に入らないとは言ってないじゃん!侍女達に湯浴みしてもらうと丁寧過ぎて時間かかるからサッと1人で入るって事!」


ぎゃーぎゃー文句を言うリコ


「そんなに元気があるなら休憩などいりません」


全然相手にしないシアンはなんだか楽しそうだった



ダラダラ歩いていたリコの前にシアンがサッと隠すように立った



急に目の前に現れたので



「いてっ、どうしたのー」


シアンの背中に普通にぶつかって一歩後ろに下がるリコ



「あら、シアン」


廊下の突き当たりからいきなり誰か現れたらしい



ヒョコっと顔を出そうとするとシアンは振り向きもせずにリコの頭をガシッと掴み無理矢理後ろに隠れさせられる


シアンも背が高く肩幅は広いのですっぽりリコが隠れた



――乱暴だな!誰がいるの!


シアンの腕の隙間からチラッと見えた



「あっ…」


思わず声が漏れるリコ


――第四皇女様…一人でいる……



………クロードは一緒じゃないんだ…




薄い茶色の髪にブルーとグリーンの混ざった瞳に綺麗な顔…優しく微笑む姿はまさにお姫様だった



「第四皇女様、こんなところにお一人で出歩いていらっしゃるのですか?体調はもうよろしのですか?」


シアンは優しい笑顔で言うわりに少しトゲがある言い方だった



「クロードが遅いので迎えに行こうと…」


優しくてそれはそれは嬉しそうな声がした

見えなくても少し顔を赤くしてクロードの事を思って笑う第四皇女の姿が想像ついた



リコはその声に少しショックを受けた



――そういう関係なんだ…姫と右大臣とかそんな関係じゃなくてもっと親密な関係…そりゃ元婚約者だもんね…



いつか戻ってくると思っていたクロードはいつの間にかもう手の届かないのところにいて

戻って来ないような気がして悲しくなるリコ



「クロードとすれ違ってしまうと思いますので自室で待っていた方がよろしいのでは?」


シアンの声が少し怖かった



「そうですね…もしすれ違って私が部屋に居なかったら心配してしまいますものね…」


ふふふと笑う第四皇女



「ですが、シアン。第五皇女様にご挨拶だけさせて下さい」


ピクッとリコの体が反応する


――シアンの後ろにすっぽり隠れているつもりだったけどやっぱりバレてる…


や、やだ…挨拶したくない…なんでだろう…第四皇女様の顔を見たくない…どんな顔すればいいんだろう…

アタシの婚約者に執事なんてやらせやがってとか内心怒ってて…嫌味とか言われたらどうしよう…



ギュッ


思わずシアンの背中の服を両手で掴むリコ




「皇女同士の接近は禁じられていますので、結構ですよ」



何故か怖いシアンの声



――えっ…

もしかしてアタシが嫌なの察して…庇ってくれた…?

前に、シアンに初めて会った遊宴の時に、クロードの横にふさわしいって言ってた人の前なのに…?


リコは庇ってくれたシアンの背中を驚いて見た



「ご挨拶だけでもダメですか?第五皇女様には遊宴の時にクロードとの時間を作っていただいて、とても感謝しているのです…」


少し困った声で言う第四皇女



シアンは振り返り背中にいるリコを見る


シアンを不安そうに見上げてフルフル左右に首を振るリコ


その姿を見てフッと笑うシアン



「今の第五皇女は舞の後でとても人前に出れるような姿ではありません。こんな姿で出るのは第四皇女様に失礼だと恥ずかしがっていますのでお許し下さい」


リコの縋るような姿を見て楽しそうな声で言った


「無礼をお許しください。第四皇女様…」


リコがシアンの背中越しに言う



「そうですか…」


残念そうに第四皇女言うと…




「ラナ、そこで何をしている…」



ピクッとその声に反応するリコ


「クロード!」


嬉しそうな第四皇女の声



「これはこれはクロードまで」


シアンが笑顔で二人を見る



――きっとクロードも嬉しそうな顔してるんだろうな…



仲睦まじい二人が想像ついて、従者の契りなんて交わしてるクロードの主人の自分が申し訳ない気持ちでいっぱいになる



――完全に邪魔者だアタシ…


クロードの嬉しそうな顔を見るのが怖くてシアンの背中にぴったりとくっつき隠れるリコ




「ラナ、部屋に戻るぞ」


クロードの静かな声


「ごめんなさい。探していましたか?」


ふふふと笑う嬉しそうな第四皇女



――あーあ。何だろう…すごくモヤモヤして嫌だなぁ…何だろうこれ…アタシもしかしてすごく嫉妬してる…?クロード取られちゃって目の前で仲良くされて…クロードはなんか疲れてそうな声だけど、


それでも…アタシの横にはいなくて…




「リコ、私達も戻りましょうか」



シアンがわざとらしく言って振り向いた



少し驚いてシアンを見るリコ


――シアン……



「うん!!」


すぐさま笑顔に変わりニッコリ笑った


仲睦まじいところを第四皇女に見せつけられて、何故かショックを受けていたリコだったが、シアンがそう言った時、味方になってくれてる気がして…一人じゃないって思わせてくれた気がして嬉しく微笑むリコ



第四皇女がいなくなるヒールの足音がした


ラナを先に歩かせてその後ろを歩くクロードは角を曲がっていなくなった


と思ったら…



バッ


クロードがいきなりリコの横に現れた



「えっ!」


シアンの後ろに隠れてたリコが驚いてクロードを見た


ものすごく不機嫌そうな顔のクロードが…




「シアン、皇女との距離が近い」




リコを思い切り自分の方に引き寄せてシアンから引き剥がした



「それはそれは、申し訳ありません」


なんだか楽しそうなシアンがクスクスと口元に手をあてて笑う



シアンをジッと見てからリコを横目で見て


掴んでいた手を離してすぐいなくなった



一瞬の出来事過ぎてフリーズするリコ


――なっ…///なんなのアイツ!!///



「あんなに不機嫌そうなクロードは久しぶりに見ました」


クスクスとシアンが笑っていた



クロードと第四皇女がいなくなって

シアンとリコも歩き出した




「にしても…随分と性格が良い女でしたね」


シアンのいつもの笑顔が徐々になくなり表情が怖くなる、口調も穏やかでなくなり少し驚くリコ



「性格の良い女…?」


リコが不思議そうにシアンの横を歩く


――このシアン表情だと性格の良い女ってすごい嫌味で言ってるよね…性格が最悪ってことだ…



「あの悪気があってやってない感じを出してるところが虫唾が走ります。気持ちが悪い。」


怖い顔をするシアンに驚くリコ



シアンはどんどん歩いて行くが、リコはポカンと驚いた顔して立ち止まる



「も、もしかして第四皇女様の事言ってんの!?」


驚いてシアンを追いかける



「それ以外に誰がいますか」


スタスタと歩き前を向いたまま無表情で答える



「えっ!!だって、だって!!遊宴の時、第四皇女みたいな人がクロードにはお似合いだって言って怒ってたじゃんアタシに!!」


驚いて言うリコ



「あの時も今も第四皇女の事全然知りませんし、大して興味も無かったです。クロードの元婚約者って事しか知りませんでしたし。それよりもリコに腹を立てていて、どうにかクロードから離したかったから勝手に名前を使っただけです。」


淡々と答えるシアン


――そ、そうだったんだ…てっきりシアンは第四皇女とクロードに元に戻って欲しいのかとばかり思ってた…さっきの態度からしておかしいなとは思ってたけど…



「あんなに良い性格した女だとは思ってもいませんでした。化けの皮が剥がれてきましたね。クロードを手に入れる為に必死な姿が随分と滑稽です。それにクロードに神力をいつまで使わせるつもりですか腹立たしい。」


イライラして言うシアン


――酷い言われようですね…クロードに近づく女は結局みんなダメなんじゃないの?こんな事言ったら怒るから言わないけど



クスクス笑いを堪えるリコ



「リコ、早くクロードを取り返しなさい。」



この時だけリコの方を見て怒ったまま言った



「えっ……が、頑張る!」


リコはいきなり思ってもみなかった事を言われたので驚く



――えっ、アタシはいいの…?

それにさっきから第四皇女の悪口をアタシに言ったりして…シアンはアタシの味方をしてくれてるみたいな気がしちゃうよ…心強いし嫌われていると思っていたからそんな事言ってもらえて嬉しいし…

どうやって取り返せばいいのかわからないけど、

一つ言えることは



シアンがいてくれてよかった



嬉しくて嬉しくて笑ってシアンの横を歩いた





そのあとは仕立て屋のニーナと打ち合わせして、

リコが考えたドレスの準備が着々と進む

色んな案を出して実際に上手くいかないデザインとかもあってボツになる物も出てきた


最終段階まできていて、後はニーナ側はドレスの作成に集中するので少し時間が欲しいとの事

デザインの中にはかなり細かい作業を必要としてるので打ち合わせはとりあえずその日が最後になった

また出来上がり次第連絡をくれるらしい

リコはその間に次のデザインの案をまた色々考えていて欲しいと言われていた



打ち合わせが終わってニーナが帰り、ソファに座るリコとシアン



「出来上がるのが楽しみだね!」


打ち合わせが終わってニッコリ笑って言うリコ


「私も結局ここまで立ち会ったので後は結果が見たいです」


シアンがテーブルに広げられた書類達を片付けながら

いつもの張り付いた笑顔ではなく優しく笑った気がしてリコも嬉しそうに笑った




……………



そう、アタシはずっと何もなくて平和ボケしていた。

最近は目の前のことに夢中になっていたし、

元々危険な目になんて元の世界でもあった事ないし、ここはお城だし。

そんなのありないと思って考えてすらいなかった。



逆にここはお城。欲にまみれていて

お金や人…なんだって使って誰にも知られる事なく、

何でも出来る事を忘れていた…



………………






リコは夕食の前にいつも一人の時間がある



ゆっくり過ごしていると…




コンコン





――ん?誰だろう…夕食がもう来たのかな?




ガチャ



「第五皇女様、夕食前に失礼致します。クロード様からです。」



お茶セットを持って見たことない侍女が立っていた



「え、クロードから?」



――お茶セット…クロードから…?


今日の昼間ちょっと顔を見かけたから久しぶりに面倒見てやらなきゃとでも思ったのかな

だったら自分で持ってきなさいよね!!



「ありがとう」


基本的に侍女のアンがいない時は侍女を部屋に入れるのは禁止されている


だけど…


「お茶をテーブルまで運びますね」


と親切に言ってくれたので中に入れた



リコはソファに座る



侍女は慣れた手つきでお茶を入れて


リコの前にカップを置く


「また夕食の後に片付けに来ます。」


侍女はお茶セットを置いて部屋から出で行こうと出口に向かう



リコはお茶の香りをかぐ



――ん…?



「ねぇ」


リコは侍女に話しかける



侍女はパッとリコを見る




「これ本当にクロードからなの?」



「………はい。」



「そう…」



リコは納得しない顔でお茶を見る



――アイツ!会わないうち執事の腕が落ちた!!

アタシの好み熟知してて、外したことなかったのに今回のお茶は全然好みの香りじゃない!てかむしろキツイ!何この香り!!



ムッとしてリコはお茶をグイッと飲む



――あ………



待って…………ヤバい………何これ…………



一瞬で目が回り




バタッッ!




リコは気を失ってそのままソファに倒れた






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