執事クビ?
――ムカつくムカつくムカつくムカつく!!
勝手にお風呂を借りてイライラしながらゴシゴシ体を洗うリコ
――何が酒飲むなだよ!!ただからかいたかっただけでしょ!!ほんと性格悪いよあの執事!!!
絶対クロードが居ないところで浴びるように酒飲んでやる!!
体を流しシャンプーを手に出す
髪の毛で泡立てて洗うと…
――く、クロードの匂いがする…
さっきまで目の前にいたクロードから爽やかなハーブ系の良い香りがしていたのを思い出すリコ
改めてクロードの部屋に居たことを実感する
――アイツと同じ匂いとかほんと最悪!!
しかも、あんな…///あんな変な嘘までついてアタシが信じて落ち込むの楽しんでたんだ!!ムカつくムカつくムカつく!
シャンプーを洗い流しトリートメントをつけていく
――すぐにでも王様に言ってクロードに執事を辞めてもらう!!そしたらシアンにも痛たぶられなくて済むし!そしてアタシはハッピーだし!
バシャっとお湯を浴びながら
ふと、
クロードにキスされた事を思い出してしまったリコ
――!?!?///ちがうから!!アレはキスじゃないから!誓いだから!///手と手を合わせる的な感じで唇と唇を合わせただけだから!!
と意味不明な事を考え自分にとにかくキスではないと言い聞かせる
勝手に入れておいた湯船に浸かるリコ
「ふぅ…」
二日酔いで少し頭がガンガンしているがお風呂に浸かるとちょっと楽になった
「そういえば…」
――昨日の記憶を呼び戻さないと…
まず、絨毯と宴会してたらクロードが来て…何話したっけ…全然覚えてないわ…
あ!!第四皇女と話した時、婚約し直したかと思ったけどしてなかったって話!
後…酔っ払ってたけどクロードがアタシの事綺麗って言ってくれた事…
遊宴の中で一番地味だったと思うけど…
クロードにとっては遊宴にいる中で一番美しいってことかな…
後は…全部忘れちゃった!!
嬉しさと恥ずかしさで、顔がニヤける
バシャっと湯船に潜った
お風呂から上がるとわかりやすいところにタオルと下着と着替えが置いてあった
――むっ…
刺繍が華やかな細身のドレスは自分1人でも着れるけど背中のボタンを閉める事ができなくて髪が濡れたまま苦戦していると…
ガチャ
「ちょっと着替えてるの!!勝手に入ってこないでよ!!///」
――馬鹿変態嘘つき執事め…
いつの間にか着替えたいつものクリームぽい民族衣装に髪を一本に縛ってるクロード
縁が銀色の綺麗な刺繍がされていた
裾の長い服に胸元をがっつり空けていつものスタイルだったけど、まだ大ぶりの首飾りはつけていなかった
「勝手に人の部屋の風呂を借りておいて言える立場か」
クロードが悪びれる様子もなく堂々と入って来た
「どうせ背中が閉められないのだろう」
と言いつつクロードが背中の閉めてくれた
――むむっ…
さっきまでクロードにムカついていたの、困ってるのをお見通しで来てくれた事に助けられてイライラの行き場がなくなるリコ
「お前こんな髪が濡れた状態でずっとこんな事してたのか…風邪を引くだろが」
――むむむっ…
馬鹿がと言うとパッと部屋を出て
なぜかシルバーでできた大きいブルーの石がついた指輪を中指にはめながら戻ってきた
――指輪を取りに行ったの…?なんで…?
そのままリコの後ろに立ち髪を触ると
ブワッ!!!
「わぁー!!」
突風が吹き髪を風が乾かす
「ま、魔法!?」
「ああ」
「すごい!!髪の毛がすぐ乾いていく!」
わぁー!と目をキラキラさせて振り返るリコ
「少しは機嫌が良くなったか?」
さっきまでブスッとしていたリコが笑って喜ぶのでその顔を見てクロードが優しく聞く
ハッとしてさっきされた事とイライラを思い出す
「早く乾かして!!あと二日酔いに効くお茶持ってきなさい!!」
リコは意地悪をやり返してやろうとワガママを言う
リコの乾いた髪を櫛でとかしなながら
「言うと思ってもう用意してある」
ふっと笑うクロード
――むっーー!!///
てか、そんなお茶あるとは思ってなかったー!!
クロードに敵わなくてさらに悔しがるリコ
椅子に座っていると目の前にお茶が置かれた
「今日ってアタシお休みでいいんだよね?」
――遊宴の後は1日ゆっくりしていいと先生に言われていた
準備を任された人達も疲れを癒す為にみんなお休みらしい
「あぁ、ゆっくりしてろ」
クロードが向かい側に座る
「いただきまーす」
お茶を飲むリコ
「んん!!おいし…」
クロードがお茶を飲みだから楽しそうにリコを見ていた為
「おいし…くない!!!」
とすぐに言い直した
――ほんとは香りが良くてすごく美味しいけど、クロードを喜ばせるのは今は絶対イヤ!!
「まるで子どもだな」
馬鹿にしたようにお茶を飲みながら言うクロード
「クロードはそんなのんびりしてていいわけ!?休みなの!?」
怒りながら言うリコ
「俺に休みなどない」
ゆっくりお茶を飲む
「じゃあ早く行きなよ!!」
「今執事として働いてるだろうが」
リコを見て答えるクロード
――あっ…そうだ…
「……その、執事の件だけど、ちゃんと王様に言って辞めさせてあげる」
リコが真っ直ぐクロードを見て言った
「ほう、急にどうした」
ふっと鼻で笑うクロード
「迷惑してんでしょ!それに忙しいんでしょ!」
「お前はそんな簡単に俺を捨てるのだな」
クロードがゆっくりお茶を飲む
急に静かになったクロードを見てなんだか自分が悪い事をしてる気分になるリコ
「捨てるって…そんなんじゃなくてクロードは忙しいからアンタの為に言ってるんでしょ…!!それにアタシみたいななんの品も取り柄もない姫の隣にいるとクロードの評判が悪くなる!」
喜んで辞めると思ったら…思ってた反応と違い戸惑う
――シアンの言ってる事と全然違うじゃん!!どういうこと!?
「周りの評判などを気にする小さい男と思われていたとはな…心外だな」
「………」
――た、確かに…クロードなら言わせておけとか言いそうだよね…
黙り込むリコ
「どちらにせよ、主人の命となれば仕方あるまい…従う事しかできないからな俺は」
クロードはテーブルに肘をついてリコをジッと見る
リコはうつむいてクロードと目を合わせないようにする
――こ、これでいいの。クロードの為。右大臣なんて忙しいしアタシなんかの面倒見てる場合じゃない。
それにこれ以上一緒にいたら離れるのが辛くなる気がして…アタシも少し怖い…アタシは元の世界にもどるんだから…
「昨日は俺がいないと寂しいと言っていたのにな」
リコが酔っ払って第四皇女にクロードを取られたと寂しがっていたのを思い出すクロード
「えっ…そんな事言った記憶ない…」
――えっ…昨日!?酔っ払ってアタシそんな事言ってたの!?もしかして
「リコのそばにいれないのか、寂しくなるな」
少し楽しそうに言うクロードの声
「っ!///また嘘ばっか!!」
思わずバッと顔を上げてクロードを見るなり
「嘘ではない…そうだ、神に誓うか?」
クスリと笑うクロードを見て
ガタッ!!!
リコが勢いよくから椅子から立ち上がり
「誓わなくていい!!///」
さっきの誓いのキスをまた思い出して顔を真っ赤にした
完全にクロードのペースに持ってかれるリコ
「それに俺より強い奴はこの城に居ないのだぞ、俺より弱い奴がお前の横にいるのは不安で仕方ないんだが」
呆れて言うクロード
「……確かに…」
――それが本心か!!けど確かにアタシの命は自分の命同等に大事だからね…
「そういうことだ。この話は無しだな」
クロードが立ち上がる
「わかった…」
――何も言い返せなくなっちゃった…とりあえずあの使える駒になるであろうシアンに相談してみよう…
クロードが安心して執事を辞めれるのは従者の契りを解かないとダメだ。
意外な事に自分以外がアタシを守るのはダメらしい…クロードよりは弱くてもお城にいればそんなに危なくないから護衛なんて誰でもいいと思ってた…
とにかくシアンに相談しよう。もしかしたらアイツなら従者の契りを解ける方法見つけれるかもしれないし…左大臣だし…アタシのこと嫌いだし…
引き出しからシルバーの首飾りを取り出すクロードが目に入る
「えっ…!!」
――もしかして宝石箱!?見たい!宝石見るの好き!
クロードの横に駆け寄るリコ
「綺麗ー!!」
引き出しの中には大きな青い石がついた大ぶりの首飾りやバングル、指輪などクロードがいつも付けていそうなアクセサリーがたくさん入っていた
「なんだ、欲しいのか?」
不思議そうに横にいるリコを見ながらバングルをはめるクロード
「い、いいよ!全部高そう!」
フルフル顔を横に振るリコ
その姿を見てクロードが少し驚いた
――絶対純金とかプラチナだよねこれ…王族だもん…
それにしてもなんで全部青い石のしかないんだろ?せっかくなら他の色も買えばいいのに
「青好きなの?」
リコが引き出しにあるシルバーの指輪はめてきく
その指輪にも青い綺麗な石がはめられていた
「その青い石はただの石ではない。魔宝石だ」
「魔宝石…?」
「透明な貴重な石で魔力や神力を込める事ができる。その石を身につけていると魔力が使いやすい」
「えっ!?クロードその首飾りとか全部魔宝石なの!?」
「そうだ」
――ひぇえええ、お洒落かと思ったらそういう理由でそんないっぱいつけてたんだ!!護身用的な!?
「魔宝石は元々透明で魔力や神力を込めると色が変わる。俺が神力を込めると青色になるから青しかない」
「へぇ〜けど綺麗な青だね!」
指輪の石を見てリコがニッコリ笑う
「魔力だと薄い色だが、神力だとかなり濃い色が出る」
「もしかしてさっき指輪をはめて髪の毛乾かしたのは風の魔力を使う為!?」
「そうだ、神力まで使わなくてもあのくらい風は魔力で十分だ」
「へぇ〜アタシも使える!?」
ブカブカの大きな指輪を親指に通してクロードに向ける
「お前は元々魔力がないから無理だ、少ししか魔力がない者でも魔宝石を使うと魔力は倍増するがな、神力が込められているならすさまじい魔力が使える」
「結局アタシは使えないのかよーつまんないのー。」
落ち込むリコ
「お前はふざけてはめているが、俺の神力が込められているその指輪は貴族に召使い付きの豪邸と交換して欲しいと泣きながら頼まれた事があるぞ」
「え…えっ!?この指輪が!?」
フッと笑うクロード
リコから指輪を取り上げ自分の指にはめた
「リコ、お前ももう出ろ、いつまでも俺の部屋にいたら王が心配するだろ」
クロードが引き出しをしまい手をかざす
カチッと音がした
「何したの今!!」
「俺の部屋に忍び込んで盗もうとする奴が前にいてな、俺にしか開けられないように魔法をかけている」
「そ、そんなに貴重なんだ…すごいね…」
クロードは目の前に神力の込められた魔宝石があるのに欲しがらない人間を初めて見た為少し驚いていた
そして、自分の事を金や権力でしか見ない者が多い中でリコはそんなのにまったく興味を持たずクロード自身を見てくれているように感じていた
逆に執事を辞めさせようとしたり、何か欲しがるわけでもない、そんなリコの隣にいるのがけっこう気に入ってきていた
クロードがリコの頭にポンっと手を乗せて優しく撫でる
「な、何!急に!」
「もう二度と執事を辞めさせるなんて言うなよ」
優しくクロードが言う
「…それはどうかな?」
ニヤリと笑うリコ
そんなリコ見てクロードが…
「誓え」
笑顔で言う
「い、嫌ーーー!!///」
リコは逃げるように部屋を出て行った
「ただの口づけくらいであんなに効果があるとはな…」
クスクス笑うクロードがリコの後を追った




