皇女遊宴【宴中】
シアンはリコの手を引いていたが、途中でサッと離してリコの前を歩く
「姫様こちらでしたらゆっくり過ごせますよ」
ニッコリ笑うシアン
王の石段の裏の方で誰も人がいなかった
飲み物を渡されて受け取るリコ
「ありがとうございます」
――クロード大丈夫かな…なんかちょっと心配になってきた…余計なことしちゃったかな…
モヤモヤと考え込むリコ
「改めまして、シアン・ジェルナンと申します。私も気軽にシアンとお呼びください。」
シアンが目を伏せて丁寧にお辞儀する
「私はリコ・シェリアーナです…私も気軽に呼んで下さい」
ニッコリ笑うリコ
――前も見たけど、本当に男なんだよね…?
綺麗なシルバーの長い髪はサラサラだし…
中性的な顔立ちだけどパーツが骨ばってるから男か…クロードよりは華奢だけど体格も男の人だしね…
透き通るような白い肌にグレーの瞳…優しいタレ目で綺麗な顔の人…
クロードと真逆で首がしっかり詰まっているシルバーで刺繍された白い民族衣装がすごく似合ってた
「私は王に仕えています左大臣です。右大臣のクロードとはよく共に仕事をしています。」
「あ、そうですよね…存じ上げております…」
――ちょっと待て。アイツ一言もアタシに右大臣やってるとか言ってないんだけど!!
知らない方がおかしいと思って思わず合わせちゃったじゃん!!てかこの人も左大臣って!!
えっ、右大臣!?ってすごいよね!?多分!!
すごい人だと思ってたけど実際の役職聞いたらビビるわ…
「リコ様とこうやってお話しするのは初めてですよね?光栄です」
優しく笑うシアン
「光栄だなんて!!やめてください!私の方が光栄です!!」
――こんな美人と話せるなんて…
「王が言ってた通り、本当に心が綺麗な方なんですね…」
「えっ…?」
「先ほど少し話を聞いてしまったのですが、クロードと第四皇女のラナ様を2人にしてあげようとする姿…とても素敵でした。従者の幸せを願う主人なんて早々いませんよ」
ニッコリ笑うシアン
「そんな大層な事は…」
フルフル首を横に振るリコ
――ん?ただ話して来なよって言っただけで『従者の幸せを願う』なんてそこまで言う…?
「クロードはリコ様につきっきりなのですが、私は他の皇女と関わる事がありまして…ラナ様はずっとクロードに謝りたくて、開かれる遊宴に参加されていたんですよ…宮殿ではクロードが避けていたので絶対に会えないとわかっていたんです。」
「クロードが避けていた…?」
――待って…思わず聞いちゃったけどこれアタシ聞いていい話…?ダメな気がする
「あっ、やっぱ…」
とリコが言いかけた瞬間
「ラナ様はクロードの元婚約者ではありませんか」
――えっ…
「昔家同士が決めた相手で二人は愛し合っていたのに、ラナ様は王の皇女にすべく2人は両親に引き裂かれてしまったという話はご存知ないですか?」
驚いた顔で話すシアン
「し、知りません…」
「申し訳ございません。てっきりクロードが話しているのかと…それでリコ様はクロードとラナ様を話合わせようしていたのかと思っておりました…」
口元に手を置いて驚いて謝るシアン
――あーあ。ピンときちゃうんだよなぁ…自分が性格悪いとさ、性格悪い奴がよくわかるんだよ…
なにそのわざとらしい言い方…アタシの傷つく姿でも見たかったわけ?なんなのさっきから?
アタシが気に食わないのかな?その話を聞かせて邪魔者なんだよとか?
いやいや、まずクロードはただの執事であってアタシの事邪魔とすら思ってないから。
「全然気にしないで下さい、どうぞその話続けてください」
ニッコリ笑ってシアンを見るリコ
――さっきからおかしいと思った、アタシが話についていけてないのにわざと説明するように言ってくるから…こんな人に言いたくないような事をしかも人の話を…今会ったばっかりの相手に話すなんて頭イかれてるとしか思えない
それよりなにより…
アタシに危害を加えたいとして、
クロードを巻き込む事が本当に許せない。
その顔を見て驚くシアン
「それで続きはなんですか?よくまぁそんな2人の問題をベラベラと他人に話して、どんな気持ちか気になるんで最後に感想教えて下さい!白々しいにも程がありますよ〜アタシが知らないの知っててそんな話しするなんて!すごーい良い性格しますね?シアン様!」
ふふっと口元に手を添えて笑うリコ
シアンの顔が一気に変わり無表情になる
その豹変した表情を見てゾクっと背筋が凍るリコ
「どうやら貴方はそこまで頭が悪くないようですね…クロードが頭が悪いと言っていたのでこれくらいの嫌味なんて気づかないと思ってましたよ」
ふふと口元は笑ってるのに目が一切笑ってない
「回りくどいのやめて、言いたい事があるなら直接言ってもらった方がいいんだけど」
リコは身の危機を感じ一歩下がる
「貴方に危害を加えるつもりはありませんよ?そんな怖がらないで下さい」
グイっとリコの手首を掴んで引き寄せる
「っ!」
思わず小さな悲鳴が出るリコ
「じゃあそのアタシの事をゴミを見るような目やめてもらっていいですか?怖いんで」
リコはパッと手首引いて離れる
「申し訳ございません。皇女様…そんなつもりはないんですがつい…」
困った顔をした後にニヤリと笑う
「まぢ良い性格してる…」
リコも苦笑いする
「クロードが従者の契りをしている以上、貴方は絶対殺さないのでご安心ください姫。」
「なんでそれを…」
「私は左大臣ですよ?クロードの横に立つ者。知っていて当然です。ですが、貴方が来たあの日…居合わせなかった事を本当に死ぬほど後悔しています…私がいればクロードがこんな愚かで品のない、頭の悪い姫と契りを交わす事も執事をする事も止める事ができたのに…」
「…言われなくてもそんなのわかってるから。もういい?言いたいのはそれだけ?せっかく王様が開いてくれた遊宴をこんな時間に使いたくない…」
――そんなの一番アタシがわかってる…あの日クロードにムカついた勢いで、従者の契りなんて命がけの契約を訳もわからずさせられて…執事になれなんて言って…本当に後悔してる…言われなくてもわかってる。
けど今はせっかくの遊宴を少しは味わいたい。ここに来たいい思い出として…
「何もわかってないないからわざわざお前などに会いに来たのではありませんか…宮殿ではクロードがいつも見張っていて会うことができないから…いいですか?クロードの執事を解消するように今すぐ王に頼みなさい。クロードはお前のような者に構ってる暇はないのです。クロードの横にふさわしいのはラナ様のような知性があり、美しい姫なのです。お前ではない」
怒りを露わにして言うシアン
「クロード、クロード、クロードって…
なに?もしかして…クロードの事好きなの?」
――まぁ、これだけ美人なら好きになるかもね…中性的だし?
ニヤリと笑ってリコが言う
――普段はこんな挑発みたいな事絶対しない…
けど、殺されないってわかってるからこんな強気なんだ…結局またクロードに守られてる…
ムカつく、ムカつくムカつく。
わかってる事を改めてこんな何にも知らない、いきなり現れた奴に言われて…図星なのがさらに悔しい…
そうだよ。コイツの言う通り言えばいいじゃん。執事辞めてって…
クロードといるのが楽しくなっちゃって言い出せなくなってたんじゃないの?
クロードがなんでも助けてくれて、居なくなるのが怖かったんじゃないの?
本当に最悪だアタシ。自分の事ばっかりで…甘えて…クロードの事何も考えてない…
「お前…」
すごい形相のシアンがリコの首に手を回す
「ちょっと…殺さないんじゃないの?てか、皇女様殺していいの?左大臣様?王様に言っちゃうよ?」
――ダメだ…止まらない…イライラして…
「別に死ぬギリギリまで痛めつければいい話です…クロードには傷はつかないですし…」
ふふと笑うシアン
――目が本気だ…
ゾッと血の気が引くリコ
「シアン〜こんなところで今日の主役を独り占めはないぜ〜」
と明るい声がした
パッとリコの首から手が離れる
「アルフレッド…」
不満そうな顔で声のする方を見るシアン
――た、助かった…
リコはバッと離れる
「貴方にはまだ話したい事があります。」
ニッコリ笑うシアン
「奇遇ですね!アタシもです!またゆっくり話しましょうね」
ニッコリ笑うリコ
――本当にムカつくけどアタシの良い駒になって貰うよシアン様
シアンは背を向けて去って行った
「逃げる事はねえのになー罪を認めてるようなもんだぜ」
赤髪に裸が少し焼けている男が駆け寄ってくる
「大変助かりました…」
ホッと一息ついて言うリコ
「大丈夫か!?首掴まれてたよな!?」
リコの首を確認する
「大丈夫です!あれはちょっと私も悪いので…挑発し過ぎました…」
頭をかいて笑うリコ
「はははっ!!シアンを挑発?噂は聞いてたけどほんとに何者だよ!」
大笑いしてリコを見る
「あ、申し遅れました!俺は近衛隊隊長のアルフレッド・トロリアと申します姫」
リコの手をスッとすくって手の甲にキスをした
――な、なにそれ!初めてやられた!!姫っぽい!めっちゃキュンとする///
しかもこんな近衛隊隊長のイケメンに!?///
ボッと顔を赤くするリコを見てニカッと笑う
アルフレッドは綺麗な赤髪をウルフカットのような髪型で胸元まである髪をを下ろしていた
綺麗なブルーの瞳に肌が少し焼けていて鍛えられた体
クリーム色した胸元の開いた裾の長いアラブ風の民族衣装にゴールドの大ぶりな首飾りをつけ
高級感のある赤い羽織りを肩からかけていた
耳にもゴールドのピアスをしていた
――クロードは綺麗系なら、この人はカッコいい系って感じ、ニカッと笑う笑顔が素敵だわ…
にしてもこの人はだけ過ぎじゃない?結構胸元開いてるけど…まぁ、焼けた締まった体だから見えててもなんの問題もないけど…
てか、肌が焼けてるイケメンってこの世界に…この砂の国にはぴったりじゃない!?
ずっと宮殿にいたから全然忘れてたけど、ここ砂漠に囲まれた国だもんね!
シアンに散々嫌な思いをさせられたのに明るく笑う近衛隊隊長に救われたリコだった




